1998年~2002年の間に4機種の次世代ゲーム機が発売され、シェア争いにしのぎを削った第二次次世代機大戦。
この大戦は1億5,000万台以上を売り上げた『PlayStation 2』の勝利となり、1994年『PS』から続くソニー政権は引き続きトップシェアを保持するのだった。
そして時は移り変わり2000年中期。
家庭用ゲーム機業界は次なる大きな局面を迎えていた。
そう、「インターネットとゲームの融合」という新たな時代に突入する事となるのであった。
前回までの歴史
黎明期編~戦国時代編(1979年~1983年)
絶対王政編~レジスタンス編(1984年~1990年)
文明開化編~第一次次世代大戦編(1991年~1997年)
第二次次世代機大戦編(1998年~2004年)
据え置き型ゲーム機の歴史(その伍)
ネットゲーム時代の幕開け(2005年~2011年)
2018年現在では家庭用ゲームとインターネットは密接な関係にあることは明白。
MMOや対戦型FPSなどのオンラインゲームは当然の事、ソフトの販売も電子媒体を介せず直接データをハードディスクにダウンロードするDL販売も可能だ。
ソフトのバグの修正や、新要素追加などもアップデートによって更新する事ができる。
ソフトに致命的がなバグがあっても販売してしまったらどうにもならなかった昭和と比べると本当に便利な時代になった。
明らかなバグを仕様と言い張った燃えプロの伝説などが懐かしい(笑)
ゲーム自体の話からは少し逸れるが、日本におけるインターネットの歴史と、その時代に発売されたゲーム機器を時系列で見てみよう。
日本におけるインターネットの歴史
1994年
日本で初めてダイヤルアップ接続でのインターネットサービスの開始。
まだインターネットを見るのに3分いくらで通話料金が掛かる時代であった。
この年に『PlayStation』『SEGA SATURN』などが発売された。
1995年
NTTが夜の23時~朝の8時までの通話に対して定額料金で使い放題の「テレホーダイ」サービスを開始。
この年に『バーチャファイター2(SS)』が発売された。
1996年
日本で初めてのポータルサイト『Yahoo! JAPAN』がサービスを開始。
この年に『NINTENDO64』『ファイナルファンタジー7(PS)』『バイオハザード(PS)』『マリオカート64』などが発売された。
1997年
日本で初めてのインターネット常時接続サービスが開始。
ちなみに128kpbsで月額38,000円。
PCにてオンラインゲームの始祖『Ultima Online』のサービスが開始。
日本におけるインターネット普及率『9.2%』。
1998年
日本におけるインターネット普及率『13.4%』。
この年に『サクラ大戦2 君、死にたもうことなかれ(SS)』『Dreamcast』『ゼルダの伝説 時のオカリナ(N64)』などが発売された。
1999年
ADSLが登場。
「2ちゃんねる」開設。
日本におけるインターネット普及率『21.4%』。
2000年
「Amazon」がサービス開始。
「Google」が日本語検索に対応。
日本におけるインターネット普及率『37.1%』。
この年に『PlayStation 2』『バイオハザード コード:ベロニカ(DC)』などが発売された。
2001年
『Wikipedia』日本語版が登場。
この年に『サクラ大戦3 巴里は燃えているか(DC)』『ファイナルファンタジー10(PS2)』などが発売された。
2002年
この年に 『Xbox』『デッド オア アライブ3(XB)』『ヘイロー(XB)』などが発売された。
2003年
家庭用向け光回線が登場。
日本におけるインターネット普及率『64.3%』。
2004年
「mixi」「Amebaブログ」「GREE」などがサービスを開始。
この年に『ドラゴンクエスト7 空と海と大地と呪われた姫君(PS2)』が発売された。
2005年
「YouTube」がサービスを開始。
日本におけるインターネット普及率『70.8%』。
この年に『Xbox360』が発売された。
家庭用ゲーム機とインターネット
サービスが開始されてから僅か約10年で普及率が7割を超えたインターネット。
ちなみに2016年時点では83.5%まで伸びている。
この普及率は「利用者数」と「日本国全人口」の比率であるので、赤ちゃんから高齢者まで含んでいる。
つまりもうこれ以上増えることはないくらい最高値までインターネットは普及しているという事だ。
インターネットとゲームの相性は非常に良い。
友達の家に集まって対戦したりしていたファミコン時代から見ると、自宅にいながら世界中のゲーマーと対戦したり共闘できるなど夢のような話だ。
当然、ゲームメーカー各社はインターネットが世に出た直後から、この新しい技術をどのようにしてゲームに取り込むか挙って検討した。
1998年にはセガの『Dreamcast』が家庭用ゲーム機としては初のモデムの標準搭載をされた。
マイクロソフトの『Xbox』もモデム搭載機であり、オンラインサービス「Xbox Live」を2003年1月に日本サービス開始をした。
続いて2003年6月にはソニーも『PlayStation 2』周辺機器として「PlayStation BB Unit」というオンラインを可能にするユニットを発売。
任天堂の『Wii』も初期の段階でインターネット接続が可能であり、「ニンテンドーWi-Fiコネクション」によりオンライン対応となっている。
などなど各社がこの時期試行錯誤していたが、この時期はまだ日本でのインターネット普及率は20%前後であり、それに伴いオンラインゲームの普及ペースも遅かったことなどにより一部マニア層にしか浸透しなかった。
しかしこの時に培った技術とノウハウは、インターネット普及率が70%を超えた2005年に開始された次世代機戦争において大いに役立つこととなる。
そして満を持して各社がオンラインとゲームという最先端のテーマを取り入れた新しいゲームハードを市場に送り出してきたのだった!
Xbox 360
メーカー:マイクロソフト
発売日:2005年12月
定価:37,900円
販売台数:国内159万台/世界8,580万台
名称の「360」は360度全方向のエンターテインメント体験を意味するとされる。
『Xbox』時代はサードパーティーから発売されるマルチプラットフォームのソフトが少なかったが、『Xbox 360』発売から1年後に『PlayStation 3』が発売されると、PS3と360で同時発売されるマルチタイトルソフトが増加した。
ゲーム開発側にとっては開発費が高騰し単独プラットフォームでは採算が取りにくいことと、現行機のシェア争いの行方が不透明でリスク分散が求められるためである。
その結果世界市場ではなかなかの売り上げを記録したが、日本市場では垂直立ち上げに失敗したマイナスを取り返すには至らず、最終的に150万台強の売り上げで終わった。
PS3
メーカー:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
発売日:2006年11月
定価:47,610円
販売台数:国内1,027万台/8,690万台
Blu-Ray Discドライブを採用。
ゲームアーカイブスによりPS用などのソフトを有償ダウンロードして 『PS』『PS2』のタイトルをプレイすることも可能である。
数年にわたって販売台数が伸び悩んだ。
2007年末には累計販売数が150万台に達したものの、その時点でのゲームシェアのトップであるWiiは450万台を販売していた。
『PS3 slim』を発売したことなどにより2009年後半頃から日本市場においてはシェアを伸ばし、2011年は本体の販売台数、ソフトの販売本数、共に据置機で年間トップとなった。
Wii
メーカー:任天堂
発売日:2006年12月
定価:23,810円
販売台数:国内1,275万台/世界1億163万台万台
直感的な操作ができるWii リモコンを搭載しているため、発売前から期待が高まっていた。
WiiはGCとの互換機能を搭載しており、GC用のメモリーカードとコントローラがあれば、GCソフトの全てがプレイ可能である。
さらにWiiでは、インターネットに接続することで、世界中のプレイヤーと対戦、共闘プレイをすることや、バーチャルコンソールシステムにより、『FC』『SFC』『N64』『MD』『PCE』『MSX』『NEOGEO』などのソフトを有償ダウンロードしてプレイすることも可能である。
Wiiの標準コントローラは、Wiiリモコンと呼ばれるリモコン型のコントローラである。
Wiiリモコン以外にも「ヌンチャク」や「クラシックコントローラ」などのWiiリモコンの外部拡張コネクタに有線接続する拡張コントローラも使用可能でより体感的にゲーム体験を楽しむことが可能である。
逆襲の任天堂
1994年に『PlayStation』にトップシェアの座を奪われてからというもの約10年にわたり、苦渋を飲んできた任天堂が反撃の狼煙を上げた。
この時代の次世代機売り上げの販売台数は『PlayStation 3』を超える1億台超えを記録する。
これは2018年現在歴代家庭用据え置きゲーム機において『PS2』『PS』に続く3位の快挙である。
競合機である『PS3』『XB360』がHD対応の中、『Wii』のみHD非対応にし最安値の価格でエンドユーザーに提供した事により、サードパーティーがマルチプラットホームで製作できないという大きなハンデを背負いながらも、次世代機売り上げ戦のトップに輝いたのは見事としか言いようがない。
任天堂はWii開発におけるコンセプトとして以下の事をコンセプトとした。
(1)ゲーム人口の拡大(ゲームから離れてしまった人を呼び戻す。女性や高齢者といった非ゲーマー層を取り込む)
(2)ゲーム定義の拡大(従来は存在しなかった作品を投入する。例:「Wii Sports」「Wii Fit」)。
(3)年齢や技量を問わず、誰もが同じスタートラインに立てること(コアゲーマーとカジュアルゲーマーが共に楽しめる)。
そのため、ユーザーインタフェースの改良によって「このゲームの操作なら、自分でもできそうだ」と普段ゲームをしないユーザーに体感させることを具体的目標とした。
その結果採用されたのが直感的に遊べる「Wiiリモコン」であり、これは普段そんなにゲームをしてこなかったライトゲーマー層に絶大な人気となりWiiの販売に大きく貢献した。
もう一つ、「バーチャルコンソール」で1983年~1993年前後までのレトロゲームを数百円という低価格でDL販売することにより、古い世代のゲーマーの懐古趣味を刺激したのも人気の要因になったと推測される。
とにかくファミコン世代の古いゲーマーとしては、久しぶりに元気な任天堂を見ることができて嬉しかった。
しかし爆発的ヒットを記録した『Wii』だが、2010年以降急激に販売台数が減少し、高い普及台数とは裏腹に最後まで低調な販売が続いた。
そのため逆に2009年以降売り上げを伸ばした『PlayStation 3』とは、累計販売台数では勝ったものの、シェア率としては最終的にほぼ互角であり、トップシェア奪還はさらに次の世代のマシンに持ち越される事になった。
【次回予告】とうとう「コンソール・ウォーズ」も現行機の時代に突入‼︎
任天堂の反撃が開始された!
『Wii』でシェア回復に成功した任天堂は後継機『Wii U』を投入!
ソニーは政権死守を賭け『PlayStation 4』を開発!
日本市場にイマイチ食い込めないマイクロソフトは三度目の正直『Xbox One』で三度襲来!
VR...なにそれ?美味いの?
そして…「カタチを変えてどこへでも」「いつでも、どこでも、誰とでも。」のあのハードが登場!
次回、いよいよ最終章「そして僕らは永遠に…」お楽しみに!
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