『燃えろ!!プロ野球』は1987年6月26日にジャレコよりファミコン用ソフトとして発売された野球ゲーム。
ジャレコの代表作として、後年シリーズ化された。
頭身の高いリアルなデザインの選手グラフィックや合成音声による演出など、臨場感の演出によるリアル志向の野球ゲームであったが、バグや不具合が多発して超クソゲー認定された伝説のタイトルである。
2016年にメビウスの製作・発売という形で『燃えろ!!プロ野球2016』がPS4と3DSにて発売され一時レトロゲーマーの間で話題となった。
燃えろ!!プロ野球とは
野球観戦の醍醐味を再現するリアル志向の演出の数々が盛り込まれているが、肝心のゲーム性があまりにも悪かったため、伝説のクソゲーとなった超有名タイトルだ。
昭和62年に発売された本タイトルは、野球ブームの後押しや前年の12月に発売され大ヒットしたナムコの『プロ野球ファミリースタジアム』によるゲーマーの野球ゲームに対する期待の影響により大ヒットした。
上記の理由によりクソゲーでありながら発売初日から爆発的に売れ、ミリオン超えの売り上げ本数を叩き出したため、日本全国に被害者が続出した。
ちなみに最終的な販売本数は158万本であり、これはファミコンソフト全1252本の中でも13位の快挙である(笑)。
リアルを追求したゲームシステム
グラフィックや演出力は当時としては高かった。
選手のグラフィックはデフォルメ表現ではなく、高い頭身で描かれているので臨場感がある。
ホームランを打った際は、腕を振り上げて塁を回る打者とガックリとうなだれる投手をしっかり再現し、ホームランのすごさを演出している。
バッティング画面はナイター中継と同じピッチャー後方からの視点となっており、本物の野球観戦のような醍醐味がある。
各選手のピッチングやバッティングのフォームも一人一人しっかり再現されている。
さらにファミコンでは初となるパ・リーグ完全対応であり、ちゃんと12球団が揃っている当時は類を見ない野球ゲームであった。
野球ゲームとしてはこちらもファミコン初である合成音声を実装しており、審判の「アウト」「セーフ」「プレイボール」や監督の「タイム、ピッチャー交代」などがリアルな音声で聴く事ができとても臨場感があった。
ただし、ノーアウト満塁で三振したときの監督の「アホ」の一言には心から腹が立った。
ユーザーを混乱に陥れた無数のバグ
その野球のルールを完全に無視したゲーム性とあまたのバグ搭載が話題となりゲーマーの間に衝撃と爆笑をもたらした。
実際のプロ野球のセ・リーグ、パ・リーグ全12球団(+OBドリームチーム)を売りにしているのにも拘らず、全選手の9割以上が3割打者という驚異の低投打高設定。
バントであろうがなんであろうがバットに当たればホームランになる選手がいる。
これが本作の代名詞となったバントホームランである。
このゲームではファールの後はどんな暴投でもストライクの判定となる。
そして決してバットを振っても届かないような暴投でもキャッチャーミットだけが空中を彷徨いキャッチする。
この2つの仕様により、1ストライクの状態でファールを打ち2ストライクになると、次球はバットが届かない糞ボール球を投げられ確実に三振を取られる。
スリーバントを失敗すると、何故か次の打者が飛ばされて次の次の打者に打順が回ってしまう。
極め付けは強打者である王貞治の無限増殖が出来てしまう、訳の分からない裏技(というかバグ)も存在した。
これらの数々のとんでもない不具合に対し、開発スタッフはプログラムを直すよりこの紙1枚を封入するほうを選んだ。
つまりこれらの不具合はプログラムミスではなく仕様だという事にしてしまったのだ。
そのくせ二次出荷以降のリビジョンではいくらかのバグ仕様はこっそり修正されている。
クソゲーで遊んだのも大切な思い出
ファミコン時代は本作のみにならず数多くのクソゲーがあった。
体験版など無かった時代、ゲーム雑誌で発売前情報を読み漁って「これは絶対面白い!」と確信して購入しても実際にクソゲーをつかまされる事は多々あった。
燃えプロはその中でも代表格の有名なクソゲーだと思う。
でも当時の子供達は、クソゲーを買ってしまってもそれはそれで楽しくやり込んで遊んだものだ。
筆者もこの燃えプロを御多分に洩れず発売日に購入した1人だが、友達を2人自宅に招いて遊んだ際、皆でお母さんが出してくれたオレンジジュースを飲みながらプレイしていた。
初めてバントでホームランを見た時、3人揃ってジュースを吹き出して、お母さんの逆鱗に触れ家を追い出された事は今でも昨日のことの様に憶えている(笑)
クソゲーであるにも拘らず『ファイナルファンタジーⅠ・Ⅱ・Ⅲ』や『ドラゴンクエストⅠ』よりも売れた奇跡のタイトル。
158万本も売れたクソゲーは、勿論中古ショップに売却された本数もかなりの数で有り、たくさんの中古品が世に溢れている。
俄かには信じ難いがなんと燃えプロの中古ソフトを収集している人も存在するようだ。
しかしゲームを楽しむ為ではなくカセットでピラミッドなどのオブジェを作成すると言うのが目的であり、もはやクソゲーとしても扱ってもらえずブロックや積み木扱いであり笑いを禁じ得ない(笑)
筆者にとってもこの燃えプロというゲームは、紛れもなくクソゲーなのだが、楽しい思い出がいっぱい詰まった素敵なタイトルでもあるのだ。
名作ゲームの思い出も宝物。クソゲーの思い出も宝物。でも「アホ」だけは腹が立つ。
今回は『燃えろ!!プロ野球』の紹介でした。
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