『とびだせ大作戦』は1987年3月17日にスクウェアが開発してDOGブランドよりファミリーコンピュータディスクシステム用ソフトとして発売した3Dランシューティングゲーム。
別売りの「とびだせメガネ」を使用すると画面が立体的に見えるモードが選択可能で、これがタイトルの由来になっている。
DOGブランド
「ディスク・オリジナル・グループ」、通称「DOG」とは1986年に「スクウェア」を主軸にゲームメーカー7社で結成されたFDS専用ソフトの開発を手掛ける連合体のブランド名である。
残念ながらミリオンヒットは1本もなかったが、『水晶の龍』『クレオパトラの魔宝』『アップルタウン物語』『とびだせ大作戦』『ディープダンジョンシリーズ』などなど“良くも悪くも”ファミっ子の心に深く刻み込まれるタイトルを世に送り出した。
1988年以降ROMカードリッジの多機能化に伴いFDSの開発が下火になり自然消滅した。
尚、現在は加盟7社の内「スクウェア」以外は廃業、または既存していてもゲーム開発からは撤退している。
とびだせ大作戦
クォータビューの強制前方スクロールシステム。
ゲーム内容はプレイヤーキャラクターが敵を避け、穴を飛び越えながら画面奥に向かって疾走するというものである。
ワールドは全部で8つ。
それぞれ特徴を持ったマップに様々な敵がまちかまえている。
走って、飛んで、アイテムを手に入れ敵を攻撃してゆく。
各ワールドのラストにはドラゴンがBOSSとして登場し、これを撃破する事によりステージクリアとなる。
ドラゴンは各ワールドごとに特徴があり、後半ステージになると耐久力が上がり、倒しても複数回復活するようになる。
販売本数は30万本、書き換え回数は15万回となっている。
スペースハリアーのパクリゲー?
1985年にSEGAから発売された『スペースハリアー』にビジュアルや雰囲気が似ている為、パクリゲームとの批判もユーザーからあがったが、 “3DSTGである『スペースハリアー』と3DACTである本作は別物”というのが当時のゲーム業界での見解であった。
むしろ「3Dでアクションゲームをやろうという発想と、それを非力なファミコンで実現してしまった技術力は素晴らしいと言える」と賞賛されている。
ナーシャ・ジベリ&植松伸夫
それほど難しいとされた本作の立体表現プログラミングは、当時スクウェアに在籍していたイラン人天才プログラマーのナーシャ・ジベリ氏による物である。
BGMは植松伸夫氏が担当している。ステージ曲は1曲だけであるが、耳に残る名曲としてゲーマーたちに評価された。
この両名は、本作の発売より9ヶ月後スクウェアの看板タイトルとなる『ファイナルファンタジー』の開発にてプログラミングと音楽担当として再びタッグを組む事となる。
とびだせメガネ
本作の目玉となった立体映像システムは別売りの「とびだせメガネ」を利用して立体映像を実現する。
「とびだせメガネ」はアナグリフ式であり左右のレンズの色がそれぞれ青・赤と異なる色のメガネである。
ゲーム中SELECTボタンにより、3D表示と通常表示を切り替えられる。
「とびだせメガネ」を掛け、ゲームモードを3D表示にすると立体映像で遊ぶことができた。
1987年12月には続編である『JJ 〜 とびだせ大作戦パート2』がROMカセットで発売されたが、こちらは「とびだせメガネ」に対応しておらず、立体映像で楽しむためには「ファミコン3Dシステム」を別途購入する必要があった。
「ファミコン3Dシステム」は当時の周辺機器としては高額な6,000円という価格であったためほとんど普及せず『JJ』もあまり話題にならなかった。
最後に
昭和62年。
青赤メガネを利用したアナグリフ式の立体映像は衝撃的であり、子供達は初めて体験する飛び出す映像に夢中になりました。
現代の3D映像技術に比べると、比べ物にならないくらい稚拙であった立体映像でしたが、それでも当時は画期的であり、新しい未来の技術として感動したのを覚えています。
この立体映像の思い出は30年以上経った今でも鮮明に覚えており、子供ながら21世紀にはどんな凄い技術が開発されているのだろうかと胸を躍らせたものです。
筆者は映画が好きでよく劇場に行くのですが、最近の3D映画は本当にすごいです。
映像がスクリーンを飛び出し目の前に迫ってくる感覚はとてもリアルですよね。
この素晴らしい3D技術もこの昭和の青赤メガネの3Dから歴史を積み重ね進化した賜物かと思うと感慨深いモノがあります。
今回はファミコン初のド迫力立体ゲーム!『とびだせ大作戦』の紹介でした。
あわせて読みたい