『ファイティング・ストリート』は1988年12月4日にハドソンよりPCエンジンCD-ROM²専用ソフトとして発売された2D対戦型格闘ゲームである。
オリジナルはCAPCOMが1987年に稼働させた『ストリートファイター』。
のちに『ストリートファイターシリーズ』としてたくさんの続編が製作される事となる格闘ゲームの金字塔の記念すべき第1作目であるが、2018年に『ストリートファイター 30th アニバーサリーコレクション』が発売されるまで、日本の家庭用ゲーム機としてはPCE版が唯一の移植だった。
ストリートファイター
1987年にアーケードにて稼働された『ストリートファイター』(以後ストⅠ)は当時類を観ない独特の筐体であり、大き目のアーケードスティックと巨大なラバーボタンが実装されていた。
ラバーボタンは2つあり、思いっきり殴る事ができる。
殴る強さで繰り出す技の強度が変わるという斬新なシステムだった。
本作のディレクター西山隆志は、アイレム時代に横スクロール格闘アクション『スパルタンX』をデザインした人物であり、攻撃が上下に使い分けられる事やジャンプやしゃがみのアクションができる事など、本作はその延長線上にある作品とも言える。
『ストⅠ』のみ後のシリーズとシステムが大きく異なるが、1vs1の対人格闘というゲーム性の基礎は本作で既に確立されている。
『ストリートファイターⅡ』
アーケード版シリーズ第1作はさほど大きなヒットとはならなかったが、4年後に稼動したシリーズ第2作『ストリートファイターⅡ』(以後ストⅡ)が爆発的大ヒットとなり、以後シリーズ化されている。
同時に幅広いメディアミックス展開もされ、キャラクター人気は本作をプレイしていない層まで広がった。
特に女性キャラクターである春麗は男性ハイティーン層に人気を博した。
ゲームキャラでこのようなキャラクター先行の人気現象が起こったのは春麗が初めてとされている。
様々な家庭用ハードゲーム機に移植されヒットしたが、中でもSFCに移植された『ストⅡ』においては国内販売本数約288万本、世界累計販売本数630万本を誇り、対戦型格闘ゲーム史上売り上げ1位を記録している。
シリーズの人気は現在でも健在で、次々と続編が製作されている対戦型格闘ゲームの金字塔と言えるシリーズである。
PCE版『ファイティング・ストリート』
ハドソンからPCE CD-ROM²用ソフトして発売された『ストⅠ』の移植タイトル。
タイトルが『ファイティング・ストリート』となった理由は、アメリカ企業が「STREET FIGHTER」ですでに商標登録を行なっていたため、PCE移植される際にタイトル名が変更されたからである。
『ストⅡ』は様々なハードに移植されたが、意外にも『ストⅠ』の日本の家庭用ゲーム機に対する移植は2018年に『ストリートファイター 30th アニバーサリーコレクション』が発売されるまで本作のみだった。
グラフィックに多少の差異はあるものの良好な移植度で、ボタンを押している長さで弱・中・強の攻撃を使い分けることでアップライト筐体の「圧力センサー」の操作形態を再現していた。
CD-ROMソフトだけあって、BGMに関しては大幅にアレンジされている。
今聴いても全く見劣りしないクオリティーである。
同日発売であった『No・Ri・Ko』と共にCD-ROM²のローンチタイトルとして発売された本作は、記念すべき世界初のCD-ROMを使った家庭用ゲームである。
筆者と『ファイティング・ストリート』
昭和62年。
まだ幼かった筆者はゲームセンターでお兄さんたちがプレイする『ストリートファイター』を後ろからよく眺めていた。
筐体をこれでもかと力任せにドカンドカンと叩くプレイヤーたちを「楽しそうで羨ましいなぁ」と思っていたものだ。
その1年後、PCE CD-ROM²の発売によりお茶の間で本作をプレイできる事になった時は歓喜のあまり小躍りしてしまうほどテンションが上がったものだ(笑)。
波動拳が上手く出せず、何度も練習しているうちに左手親指の皮が剥け、痛みを和らげるために親指にテーピングをぐるぐる巻きにしてまでゲームを続ける我が子を呆れた目で見ていた母親の姿は今でも目に焼き付いている(笑)。
対戦型格闘ゲームはそれほど得意でない筆者だが、CD-ROM²で表現される大迫力のグラフィックとBGMに酔いしれ、夢中でプレイしているうちにとうとうクリアできた思い出のタイトルだ。
今回は2D対戦型格闘ゲームにおける金字塔シリーズ第1作目の移植タイトル『ファイティング・ストリート』の紹介でした。
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