『Ys(イース)』は1987年6月21日に日本ファルコムよりPC88用として発売されたアクションロールプレイングゲーム。
様々なハードに移植された名作とされるタイトルである。
『イースⅠ」と『イースⅡ』は物語として密接な関係にあり『Ⅱ』は続編というよりほぼ”後編”に近い内容であった。
1989年にPCエンジン CD-ROM²にてハドソンが移植した際に『イースⅠ&Ⅱ』として販売してからはこの2作は1Setとして移植、リメイクされる事が主流となった。
本記事ではそのCD-ROM²版『イースⅠ&Ⅱ』の『Ⅰ』をメインとして取り扱う。
イースシリーズ
『イースシリーズ』とは冒険家アドル=クリスティンを主人公としたARPGシリーズである。
2019年5月現在でナンバリングタイトルは8作、その他にもたくさんのリメイクや派生タイトルも発売されており、シリーズの累計売上は2017年時点で480万本に達している。
30年以上に渡って続くファルコムの看板作品となっているタイトルである。
当時マニア指向の強かった“アクションRPG”をゲームの代表的ジャンルへと一気に飛躍させ、後のアクションRPGブームの先駆けともなった。
アドル=クリスティン
赤髪の剣士で冒険家。
相棒のドギと一緒に世界中を旅して回っている。
のちに稀代の冒険家としてその名を馳せる事になる彼は、若干17歳の若さで古代王国イースにまつわる最初の冒険を体験。
旅での様々な体験は冒険日誌として後世に残され、その冒険日誌から起こされた書籍は、百余冊にも及ぶという。
イースシリーズは晩年の彼自身による回顧録とされている。
プロローグ
伝説は語る。
イース。嘗てこの地上に栄華を誇った理想郷。
イースは2人の女神と6人の神官によって統治され、強大な力を秘めた金属により繁栄を極めた。
神官は人々に敬われ、その統治は公平無私であった。
美しい女神は宝と謳われ、吟遊詩人の主題であった。
イースの繁栄は永遠に続くかと思われた。
だが、その文明の絶頂でイースは恐るべき災厄により、一夜にして亡び去り、英華の全ては無に帰した…。
それから700年の永きにわたって、伝説は沈黙を守り続けてきた。
そして今、再び伝説は語り始める。
新たなイースを…。
ストーリー
冒険心旺盛な赤髪の少年、アドル=クリスティンはプロマロックの港町で奇妙な噂を耳にする。
それは港から見えるエステリアの島が呪われていて、近づく船を必ず嵐が襲うというものだった。
冒険心を抑えることの出来なかったアドルは周りの人々の制止も聞かずに単身エステリアに向かう。
嵐に見舞われながらも定期船にてこの地を訪れる事が出来たアドルは、この国に起きている異変を知り、エステリアを救おうと冒険の旅に出ることを決める…。
このシナリオはPCE版でありオリジナル版からは多少変更をされている。
オリジナル版では小舟でエステリアに向かい嵐に巻き込まれたアドルが奇跡的にエステリアに流れ着き、エステリアの民に介抱され病院で目覚めるとなっている。
イースⅠ
嵐に包まれた孤島エステリアを舞台に『イースの本』を求める赤毛の剣士アドル=クリスティンの最初の冒険譚である。
アドルの冒険日誌では『Ancient Ys Vanished Omen』(失われし古代王国 序章)となっており、『Ancient Ys Vanished The Final Chapter』(失われし古代王国 最終章)である『II』とは前後編の関係になっている。
『Ⅰ』ではアドルがエステリアでの冒険で数々の困難を乗り越えてゆく。
そしてついにイースの書を全て集めた時、本の不思議な魔力により天空に浮かぶ古代王国イースへと誘なわれるまでを描く。
キャッチコピーは「今、RPGは優しさの時代へ。」
ゲームシステム
ゲーム画面はトップビューのARPGとなっている。
『Ⅰ』に関しては魔法もなく攻撃は敵に“体当たりをする”と言うだけのとてもシンプルなシステムとなっている。
体当たりをする際に、敵に対して半キャラ分ずらして攻撃をするとノーダメージで撃破する事ができる。
これは“半キャラずらし”と言われる技で初期のイースシリーズでの基本テクニックである。
敵を倒すことによりお金と経験値が手に入りる。
経験値が貯まるとレベルが上がりステータスが上がり、お金が貯まるとより強力な装備品を購入する事ができ、主人公が強化されていく。
PCE CD-ROM²版
オリジナルが名作だった為、数々のハードへ移植をされた本作ではあるが、PCEで発売されたシリーズ初となる『Ⅰ』と『Ⅱ』のカップリング移植は歴代最高の移植として語り継がれている。
元々『Ⅰ』と『Ⅱ』の関係は「前編」と「後編」であり、密接に交わったストーリーであるこの2作をカップリングしての移植は高く評価される事となった。
さらに当時としては規格外であったCD-ROMの大容量を生かした高音質なBGMや豪華声優陣によるほぼフルボイスで展開するイベント、そして群を抜いたビジュアルは素晴らしいとしか言いようのないクオリティーであった。
オリジナルの時点で名曲揃いであったBGMではあるが、米光亮氏によってアレンジされた本作は、幾度もアレンジされているイースBGMの中でも最高峰の完成度と言える。
重要キャラとの会話ではフェイスアップのグラフィックが表示され、音声に合わせて口パクをする。
この演出はその後の同作移植などでも取り入れられる定番演出となった。
CD-ROM特有のロード時間もほとんどなくプログラム面でも優秀とされている非の打ち所のない作品であった。
このCD-ROMにおけるハドソン移植のイースシリーズはのちに『Ⅲ』『Ⅳ』まで続いた。
そして、物語は『Ⅱ』へと続く
『イースⅠ』では激しい冒険の末ついに全てのイースの書を手に入れたアドルが、失われた古代王国イースへと足を踏み入れるところで終了する。
後編とも言うべき『イースⅡ』はでは、今作で残された全ての伏線が回収される。
そして『Ⅰ』を超える壮大な冒険がアドルを待ち受けている!
今回はPCエンジン CD-ROM²版『イースⅠ』の紹介でした。
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