『R-TYPE(アール・タイプ)』は1988年3月25日にハドソンよりPCエンジン用ソフトとして移植発売されたシューティングゲーム。
オリジナルは1987年7月にアイレムが稼働させたアーケードゲームである。
PCE版はHuカードの容量では全てを収める事ができず1988年3月25日に『R-TYPE Ⅰ』、同年6月3日『R-TYPE Ⅱ』として分割しての発売となった。
R-TYPE
1987年にアーケードにて稼働された本作は、80年代STGにおける金字塔とも言うべきタイトルであり、『グラディウス』『ダライアス』と共に横スクロールSTGの代名詞として名を馳せた傑作STGである。
プレイヤーは宇宙戦闘機「R-9」を操作し、地球のバイド帝国の壊滅を目指す。
独特な世界観と緻密に設定されたゲーム設定で稼働直後からACゲーマーの間で話題となった。
自機の次元兵装である「フォース」や2画面分にも及ぶ「超巨大戦艦」など練り込まれた独特のアイディアはゲーマーを虜にし、現在でも語り継がれる伝説の名作と言えるタイトルである。
当時のAC移植タイトルの事情
アーケード版の稼働から1年も経たずにハドソンによりPCE版『R-TYPE』が発売される事になった。
しかしファミコン全盛期のこの時代、数々の人気タイトルがファミコンなどのコンシューマ機に移植されていたが、グラディウスや魔界村のようにハードの性能差で完全に移植するのはほぼ不可能であり、色々な要素が削られたりして酷い場合は全く別のゲームになってしまっている事も多々あった。
その為プレイヤーも人気タイトルでありながら、そこまで過度な期待はしてない者が多かった。
驚異の移植度
しかしいざ発売されたPCE版は驚くべき完成度での移植をされており、それまでの家庭用ゲームハードにおけるアーケードタイトルの移植の常識を覆すモノであった。
この時代のコンシューマ機の中では桁違いのスペックを誇るPCエンジン用ソフトとして、移植には定評のあるハドソンが手掛けた本作は、オリジナルとほぼ変わらないレベルでのグラフィックとゲーム内容であり、当時のゲーマーたちにとてつもない衝撃を与えた。
流石に容量だけは1枚のHuカードに収まり切らず、全8ステージの内1~4ステージを収録した『R-TYPE Ⅰ』、そして5~6ステージを収録した『R-TYPEⅡ』との2つに別けた異例の発売方法となった。
『Ⅱ』は『Ⅰ』より約2ヶ月に発売され、『Ⅰ』をクリアした時のパスワードにより、その時の自機の状態とスコアで再開できるようになっている。
PCEの本体売り上げにも貢献
1987年に発売されたPCEはその時代の他のライバル機を寄せ付けない高性能であったが、24,800円という当時としては高額な価格が影響して評判の割にはいまいち販売台数が伸びていなかったが、本作の発売と同時に一気にPCE本体が売れる様になる。
その様な事もあり、本作はPCEを代表するタイトルとして歴史に名を遺す事になった。
本作の発売後そのハード性能に着目した各メーカーから、続々とアーケードの名作がPCEに移植されてゆく事となる。
最後に
その移植度の高さでゲーマーたちの度肝を抜いた本作は、瞬く間に話題となりかなりの販売本数を記録した。
グラフィックや仕様だけでなく、その難易度もオリジナルに忠実に移植されており、アーケードの高難易度に子供達はかなり苦戦をした。
普通はアーケードゲームが家庭用ゲーム機に移植される際は、子供が遊ぶと言うことを加味して難易度は下降修正される事が一般的であったが、完全な移植を目指したハドソンはその難易度までそのままで発売を敢行。
これに関しては賛否両論あったとされているが、個人的にはそれで良かったと思っている。
アーケードタイトルを寸分違わず移植して退けた事によりPCEのハードの性能を見せつける事も、今回のハドソンの目論見には含まれてたと考えているので、オリジナルに寄せられる部分は妥協せずやり切って正解だと考える。
筆者がこのタイトルを遊んだ時は、まだ幼い事もあり、その難易度の前に『Ⅰ』のクリアすらできなかったが、「フォース」を使った戦略や“溜め撃ち”の始祖になった「波動砲」の駆使など、非常に楽しく遊べた事を憶えている。
2018年にTOZAI GAMESより『R-TYPE』と『R-TYPE Ⅱ(PCE版でなく1989年に発売された続編)』のオリジナルモードと3Dグラフィックモードなどが収録された『R-TYPE DIMENSIONS EX』がPS4・Switch・STEAMで発売されているので、昔を思い出しつつこちらを遊んでみるのも良いだろう。
今回は80年代横スクロールSTGの金字塔『R-TYPE』の紹介でした。
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