1996年7月12日にソニー・コンピュータエンタテイメント(SCE)からPlayStation専用ソフトとして発売されたロールプレイングゲーム。
田森庸介の漫画作品『ポポロクロイス物語』を原作としたゲーム作品であり、ポポロクロイス物語シリーズの第一弾である。
販売本数は約41万本で歴代PSソフト売り上げ第87位。
優しい世界観とシナリオによって多くのゲーマーを惹きつけ高い人気を得たPS初期の名作RPGである。
2007年9月27日にはPS3・PSP向けアーカイブスとしてリメイク版が発売されている。
ポポロクロイス物語とは
比較的オーソドックスなRPGだが、ワールドマップ・町・ダンジョンが全て同じスケールで描かれることや、フィールドからバトルの移行がシームレスに展開することが特徴的。
グラフィックは全て2Dのドット絵で描かれている。また、一部のイベントシーンはアニメーションムービーで表現されている。
『アークザラット』『ワイルドアームス』とともにSCE三大RPGとしてプロモーションされ、他の2作品も含めてテレビアニメ化された。
あらすじ
ポポロクロイス王国の王子ピエトロが10歳になった誕生日の夜、ガミガミ魔王と名乗る盗賊が乗り込んできて、王家の宝“知恵の王冠”を国王から奪い取るところから物語が始まる。
知恵の王冠をガミガミ魔王から取り返すためにピエトロは生まれて初めての冒険の旅に出かけ、途中で出会った仲間の助けを得て無事に目的を果たす。
その後、死んだと聞かされていた母親サニアが生きていることを知り、今度はサニアを救うための冒険に出る。
ピエトロはサニアが死んでいるのではなく、魂が“闇の世界”にある状態だと知る。
ただ、そこは死後の邪悪な魂がたどり着く場所であった。
果たしてどうすればそこに生きたまま行けるのだろうか。
そしてピエトロはお母さんとまた会うことができるのであろうか。
主な登場人物
ピエトロ王子
ポポロクロイス王国の王子。
正義感が強く、好奇心旺盛。のんびりした性格で、だまされやすい。
間違っていると思ったら、危険をかえりみずそれを正そうとする。勉強よりも体を動かす方が大好きで、いつも勉強をサボっては城を抜け出す問題児でもある。
泣き虫で落ち込みやすい所もあったが、物語を通じてさまざまな試練を乗り越え、人間的に強く成長していく。
ナルシア
二股のとんがり帽子がトレードマークの、フローネルの森に住む「森の魔女」。
ただし、魔法は修行中の身のため、失敗して姉のギルダにいつも怒られている。
とても気持ちの優しい少女だが、少し引込み思案で積極的になれない。
ピエトロの1つ年上でお姉さん的な役回りをし、ピエトロの冒険を支え続ける。
冒険を通してピエトロのことが好きになっていくが、なかなかそのことを切り出せず、やきもきした日々を送る。
白騎士
白い鎧に身を包んだ謎の騎士。本名はポロス・ノイシュタイン。
伝説の騎士・キングナイトの使っていた剣を探し求め、世界中を旅して回っている。
正義をこよなく愛し、騎士道精神に溢れ、悪と曲がったことが大嫌いである。
ガミガミ魔王
発明とお宝が大好きで、男のロマンを追い求め世界征服を夢見る、自称悪の魔王。
ただ、人情に厚くて今一つ悪役になりきれず、結局はピエトロの冒険を手伝ってしまう。かなりの自信家で楽天家。
個性豊かなキャラクターたち
キャラクターは個性的であり、かつ作中の役割がしっかりしていて大変人気が高い。
最初は臆病で冴えないが、冒険を経てどんどん頼もしくなっていく主人公ピエトロ、内向的ながら芯が強くピエトロに尽くすヒロイン・ナルシア、真面目な正義漢だがちょっと間抜けていて愛嬌のある白騎士、お馬鹿な悪者であるが義理人情に篤くどこか憎めないガミガミ魔王など。
メインキャラどころかサブキャラ、町の人にまで独特のセリフや動きが設定されており、世界の作り込みは深い。
戦略的な戦闘システム
戦闘システムはSRPGのようにキャラの位置を調整しながら攻撃や防御を展開していくもの。
打たれ弱いキャラの前に打たれ強いキャラを移動させたり、範囲攻撃を食らわないために分散させたりとそれなりに戦術が必要。
操作は直感的であるため複雑さは感じない。
割と硬派なゲームバランスであり、特に敵の攻撃力が高いため油断をすると雑魚でも全滅するが、きちんと考えてキャラを動かしていれば勝てる絶妙なバランスである。
そのバランスゆえに仲間キャラ全員を協力させるような戦い方をする必要があり、仲間たちのキャラクター性を高めることに繋がった。
評価の高いBGM
音楽は世界観に合わせた明るく軽快なもので、曲数はそれほどないものの評価は高い。
中でもテーマ曲「ピエトロの旅立ち」は、カラオケで配信されるほどの人気がある。
地方ごとに異なる戦闘時BGMが用意されており、豊富である。
勝利時のファンファーレも基本的なメロディこそ同じだが、戦闘BGM同様、各フィールド毎に少しずつアレンジされたものをそれぞれに用意する手の凝りよう。
夢のある世界観と感動的な物語
少年の母への愛と、仲間たちの友情。
素敵な気持ちがこれでもかと言うくらい詰まった名作である。
普段ゲームをやらないお母さんたちの中にも、このゲームは涙しながら最後までクリアした人も多いと言う。
王道的な剣と魔法のファンタジーではあるが、どことなくゆるく優しげな世界観はそのままに、そして主人公の成長を実感していくストーリーは高く評価されている。
作中テーマの家族愛に関する描写は感情移入度が非常に高く、ピエトロの「お母さんを返せ!」はこの作品を代表するセリフとなった。
20世紀の誇る、感動の大作RPG。
この旅の果てにあなたは何を見つけるのだろうか?
ピエトロの成長と共に、きっとプレイヤーも勇気ある心と慈しむ心の尊さを学ぶ事であろう。
まだ未体験の方には是非この感動を味わって欲しい。
今回は『ポポロクロイス物語』の紹介でした。
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