『スーパーダライアス』は1990年3月16日にNECアベニューによりPCエンジンCD-ROM²用ソフトとして移植・発売された横スクロールシューティングゲーム。
オリジナルは1986年にタイトーがアーケードにて稼働させた『ダライアス』。
当時ほとんど無かったCD-ROM²用STGとして期待を集め、その移植度の高さにゲーマーたちが驚愕したタイトルである。
ダライアス
1986年にアーケードにて稼働された本作は、80年代STGにおける金字塔とも言うべきタイトルであり、『グラディウス』『R-TYPE』と共に横スクロールSTGの代名詞として名を馳せた傑作STGである。
戦闘機「シルバーホーク」を操り、異星人ベルサーに侵略された惑星ダライアスからの脱出を目的とするSTGであり、水棲生物をモチーフとしたボス(巨大戦艦)との戦闘や、小倉久佳による神秘的な音色で奏でられる高クオリティーなBGMによりタイトーの看板タイトルとなった作品だ。
本作最大の特徴としては、繋ぎ目のない3画面の特殊大型筐体を使用している事が挙げられる。
スーパーダライアス
先ほど挙げた80年代の三大STGの内『グラディウス(1985)』は1986年にFCで、『R-TYPE(1987)』は1988年にPCE Huカードにて移植されていた。
しかし『ダライアス』だけは世界初の3画面連結の筐体というその特殊な仕様のため、コンシューマー機への満足のいく移植は永らく不可能と言われていた。
それをNECアベニューがCD-ROM²の性能をフルに活かし、驚異的な完成度で移植を成し遂げたのが本作である。
画面は1つに
AC版の一番左の画面を元に移植された本作は、狭くなった画面でも無理のない様に絶妙なバランス調整がされておりストレスなくプレイできる。
しかし巨大ボスはその距離が近いため、近距離からの攻撃を躱すのは難しくボス戦はAC版より難易度が高くなっている。
多重スクロール
特筆すべきは全てのステージで2重スクロールを再現しているところだろう。
今でこそ多重スクロールなど当たり前の時代であるが、当時の技術でここまで完璧な多重スクロールをコンシューマ機で再現したのには脱帽である。
2重スクロールにより奥行きを増したグラフィックはより一層プレイヤーをゲームの中へ引き込んだ。
ドルビーサラウンド
BGMはCD-ROMの特性を最大限に活かしたドルビーサラウンドである。
ドルビーサラウンドとは前方左右のスピーカー用の2chに、後方のスピーカー用の1chを加えて3chで構成される立体音響システムである。
1981年に開発されたこの音響システムは現代のホームシアターへと進化を遂げている。
AC版ですらステレオ音響であったのにも拘らず、家庭用ゲーム機への移植でドルビーサラウンドに昇格させた事は賞賛に値する。
追加されたボス
ゾーンと呼ばれるステージはAC版と変わらない26ゾーンだが、ボスの数が11体から26体へと増やされた。
つまり全てのゾーンのラストにボスが出現する訳だが、ボス戦がメインとも言える本作においてこれは嬉しいアレンジだと言える。
新たに追加されたボスもAC版にてボツになったキャラを採用しており、ゲームの世界観的にも違和感のない姿をしている。
最後に
この様にAC版と比べ明らかに劣っているところと言えば、3つ連結のモニターが1つになっている事(当たり前)とAC版では2人用プレイが可能だったのが1人用専用になっているところくらいで、その他は非の打ちどころの無い移植であった本作。
むしろACを超えたと言っても過言では無い内容に当時のプレイヤーは大絶賛だった。
普段STGではあまり遊ばない筆者も、初めて本作をプレイした時は驚愕し、夢中になって遊んだ記憶が脳裏に焼き付いている。
また、BGMが素晴らしく格好良い曲ばかりで、未だにサウンドトラックも人気が高い。
多重スクロールで演出されたステージにAC版そのままとも思える大迫力のBGMにはまるで自宅がゲームセンターになったかの様な錯覚まで感じさせた。
2019年2月にSwitchにて『ダライアスシリーズ』の各タイトルを収録したオムニバスソフトである『ダライアス コズミックコレクション』が発売されているのでSTG好きや懐かしさを味わいたい古参ユーザーは購入してみても良いだろう。
2020年3月19日に発売予定の「PCエンジンミニ」の収録タイトルにも『スーパーダライアス』は選ばれている。
PCEを代表するタイトルなので当然ではあるが嬉しい。
さらに2019年9月に発売を予定している「メガドライブミニ」にも『ダライアス』が収録されている。
オリジナルハードであるメガドライブでは本作の移植実績は無かったが、「もしもメガドライブでダライアスがリリースされていたら?」というコンセプトのもと、完全新作としてエムツー社がタイトー全面監修の下で移植された。
レトロゲームではあるが現在プレイする方法も多いので、筆者も今度いずれかの手段で久しぶりに遊んでみようと考えている。
今回は不朽の名作STGの良移植タイトル『スーパーダライアス』の紹介でした。
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