『ワルキューレの冒険 時の鍵伝説』は1986年8月1日にナムコからファミリーコンピュータ用ソフトとして発売されたアクションロールプレイングゲーム。
のちにナムコの看板シリーズのひとつとなる「ワルキューレシリーズ」の記念すべき第一弾。
1988年にはPS2の『ナムコアンソロジー2』に収録され、2007年にはWiiのバーチャルコンソールで配信されている。
ワルキューレの冒険
2月に任天堂の『ゼルダの伝説』、6月にエニックスの『ドラゴンクエスト』が発売され、ファミコンユーザーにRPGブームが巻き起こった1986年。
ブームの波にいち早く乗ったナムコが世に送り出したゲームが本作である。
敵を倒し経験値を稼ぎ、宿屋に泊まるとレベルアップするシステムや、アイテムを入手し使用する事により謎解きをしてゆく攻略スタイルなどRPGの基本を踏襲している。
RPGというジャンルの黎明期ということもあり、プレイヤーに対して不親切な仕様が多い。
例えば謎解きに関するヒントがほとんど無く、どのアイテムをどこで使うか?などはプレイヤーが手探りでするしかない(村人などから情報入手もできない)など、まだまだRPGとしては雑さが目立ち、そのため難易度はかなり高くなってしまっている。
しかしその攻略本必須と言える謎解きの難解さが逆に話題を呼び、後のナムコを代表する作品の処女作として後々まで語り継がれる事となった。
ストーリー
遥か昔…
マーベルランドの住民の心に住み着いた悪魔を神は時の鍵を使い封じ込めた。
それから長い間、平和な時代が続いたが、ある時一人の人間が時の鍵を使い悪魔の封印を解いてしまった。
悪魔の名前は「ゾウナ」。
人の心の悪の化身が具現化したゾウナは、次々と地上に悪魔を召喚し、マーベルランドに再び暗黒の時代が訪れた。
人々の苦しみの声を聞いた神の子ワルキューレは、マーベルランドを救うため地上に降り立ち、時の鍵を探し出してゾウナを再び封印するべく冒険の旅に出たのであった。
ゲームシステム
主人公のワルキューレを操作しながら戦闘や冒険をしてゆく、トップビュー方式のアクションゲーム。
ゲームスタート時に血液型と星座を入力する事により、初期パロメーター値が体力型・知力型・バランス型のどれかに割り振られる。
この時入力した血液型と星座はその後の成長速度などにも影響が出る事になる。
敵を倒し、経験値を貯める事によりレベルアップできるので、アクションが苦手でもレベル上げをすれば難易度を下げることが可能。
ダンジョンなどでアイテムを発見し、謎を解きながらストーリーを進めてゆく。
フィールドで敵とエンカウントすると上下左右に敵が現れ、倒すことで経験値やお金が手に入るが逃走することもできる。
アイテムは8個まで持てるが、捨てる事ができないため、手持ちを減らしたければ店で売却するか消費できるアイテムなら使い切らねばならない。
そのため荷物がいっぱいの状態でクリアに必須な重要アイテムを発見しても、取る事ができなく、最悪店まで戻らなければならなかったりするなど、少し面倒な仕様となっている。
パスワード方式によるゲーム中断が可能ではあるが、再開時には重要アイテム以外は全て無くなっているという辛い仕様である。
この世界には時間の概念があり、プレイ時間の経過と共に昼と夜が切り替わる。
夜の方がより強い敵が出現するので気をつけなければならない。
尚、一部の謎解きでその時刻でなければ解けない仕掛けなども用意されている。
戦の女神ワルキューレ
主人公であるワルキューレのキャラクターデザインは当時ナムコのイラストレイターであり、現在はフリーの漫画家である「冨士宏」氏が手掛けている。
ワルキューレは女性用の甲冑に身を包んだ女戦士のいでたちをしており、金髪を三つ編みに結って剣と盾を両腕に持つ。
兜には羽の装飾をあしらっておりその瞳はエメラルド色に輝くという姿をしている。
このキャラクラーが非常に可愛らしく好評であり、日本におけるワルキューレ像と言えば本キャラクターと言えるほど定着した。
そのデザインの優秀さや後々のシリーズ化により、ワルキューレはナムコを代表するキャラクターの一人として認知されていった。
余談ではあるが、ゲーム内のワルキューレはまったく上記の面影はない。
ファミコンのスペックや色制限があるため、イラストと実際のドット絵キャラが別物なのは仕方がないとしても髪の毛の色まで違うのは、パッケージイラストがゲーム完成後に作成されたためでもある。
筆者と『ワルキューレの冒険』
まだRPGというゲームがファミコンで登場したばかりの時代。
『ゼルダの伝説』を見て、とてもわくわくしたが、この時期の筆者はまだディスクシステムを持っていなかった。
その半年後、ROMカセットで発売されたアクションRPGである本作にはかなり期待をしていた。
残念ながら買ってもらえなかったが、発売から1ヶ月後友人から貸してもらう事ができた。
フィールドのシーンで流れるBGMは名曲であり、これから起こる冒険に心を躍らせた事を憶えている。
しかし、基本全ての謎解きがノーヒントである本作は、まだ幼かった筆者にはかなり難しく全然進める事ができなかった。
結局ほとんどストーリーを進める事ができず友達に返却することとなった。
攻略本無しでクリアするのは大人でも難しいと知ったのはそれからずいぶん後のことだった。
という訳で未クリアのままとなっている本作であるが、3年後にアーケードで稼働し、PCEに移植された続編『ワルキューレの伝説』でリベンジする事となる。
いずれ本タイトルも次世代機ででリメイクされたなら、また遊んでみたいと思っている。
今回はナムコ看板シリーズの記念すべき第1作目『ワルキューレの冒険 時の鍵伝説』の紹介でした。
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