『ベストプレープロ野球』は1988年7月15日にアスキーよりファミコン用ソフトとして発売された野球シミュレーションゲーム。
1985年に同社よりPC用ソフトとして発売された「ベストナインプロ野球」の改良版としてファミコンで発売された。
「ベストナインプロ野球」からの変更点としては延長12回まであることが挙げられる。
ベストプレープロ野球とは
ファミスタ(1986年)の大ヒットにより、1987年~1988年は多数の野球ゲームが市場に溢れていた。
スポーツゲームなので当然どのタイトルもアクション性が高い内容ばかりのところ、本作はアクション性が皆無という異色のタイトルであり注目を集めた。
セ・パ全12チームあり、各チームが野手16名・投手11名の選手で構成されている。
この全324人の選手一人一人にかなり細かい能力パロメータがある。
プレイヤーは任意の球団の監督となり、試合中に試合中は代打や継投の指示だけでなく盗塁の指示や守備シフトなど様々なサインを出す事ができる。
監督もCPUに任すこともでき、その場合ナイター中継さながらずっと試合を観戦するだけという遊び方も可能である。
緻密で自由な選手データ
324人の選手にはかなり細かい能力パロメータが用意されており、選手の特徴を細かく再現できる。
この様に野手は守備毎の巧さから、肩の強さ、足の速さなどなど。
投手はタイプから球速、変化、球の重さ、スタミナの回復速度まで様々な項目がある。
各能力数値はA~Eまでの5段階となっており、この項目は選手の名前までも含めて任意でプレイヤーが書き換えることができる。
その為デフォルトでは選手名は実際の選手名をもじった名前になっているが、実名に書き換えたり、お気に入りの選手の能力を上げることも自由にできる。
当時のファミコン通信では毎春特集記事が組まれ、その年のペナントレースの行方を予想する選手データの発表がされていた。
ファミっ子たちの遊び心はこれに留まらず、同級生でチームを作ったり、当時人気だった漫画のキャラクターで「ドラゴンボールチーム」や「キャプテン翼チーム」などそれぞれ思考を凝らして“おもしろチーム”を作って遊んだり、友達にデータを見せて笑いあったりして楽しんでいた。
遊び方
自分のチームを決め、選手データを弄ったら6球団でペナントレースを開始する。
監督となるプレイヤーは代打や継投以外では「前進・後退守備」「敬遠」「バンド」「エンドラン」「スクイズ」「盗塁」などの指示を出せる。
全試合数は30試合から140試合の間で任意で決めることができるが、6球団全試合を消化しなければならないので、CPU同士の試合も合わせると30試合モードでも全90試合、実際のペナントレースに基づき130試合なら390試合を行う事になる。
しかもこの初代ベストプレープロ野球は、試合のスキップ機能が無いので永遠と試合を行い続けなければならない。
たしか1試合30分ほど要したと記憶しているので、一番短い全90試合でも45時間…。
当時「ファミコンは1日1時間」などと言われていた時代に、ペナントレースを優勝する為にはかなりの時間を必要とした。
筆者と『ベストプレープロ野球』
筆者は本作は友達から借りてプレイしました。
自分で選手を操作できるわけではないのにかなり面白かったと記憶しています。
貸してくれた友達は自分の部屋にテレビがあったので、朝学校に行く前にオートモードでゲームをつけっ放しにして登校。
帰宅して確認してから、またそのまま遊びに行き、さらに寝る時もファミコンを稼働させるというごり押し作戦で現実と同じ130試合のペナントレースを完走させていました。
ファミコンのアダプターが高熱になって火事になるところだったとか、バカなことを言っていたのが印象的です(笑)
筆者は自宅に1台しかテレビが無かったので、そんな荒業は使えず30試合のペナントレースでも完走するのに1ヵ月掛かりました。
ところでこのゲームは1打席ごとに自動でセーブされます。
そのシステムの穴を利用して自分のチームで首位打者争いをしている打者が凡打になった瞬間や、防御率争いをしている投手がホームランを打たれた瞬間などにリセットを押し、ゲーム再開。
するとその打席のやり直しができるので、自分の望む結果が出るまで何回でもやり直せるという裏技が存在しました。
その裏技を使用したファミっ子は多いのではないでしょうか?
筆者はやりまくってました(笑)
1990年に発売された続編の「ベストプレープロ野球Ⅱ」はCPU同士の対戦を早送りするスキップモードが導入されているので、ペナントレース終了までのスピードが飛躍的に速められます。
初代である本作はCPU同士の試合経過を飛ばせないので、流石に今プレイするのは厳しいと思いますが、「ベストプレープロ野球Ⅱ」であれば今でも楽しめるのではないでしょうか?
ゲームとしての完成度は非常に高いので、チャンスがあれば一度遊んでみて欲しいタイトルです。
今回は『ベストプレープロ野球』の紹介でした。
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