『キャプテン翼』は1988年4月28日にファミリーコンピュータ用ソフトとしてテクモから発売されたシミュレーションゲーム。
当時週刊少年ジャンプにて連載されていた人気マンガのゲーム化タイトル。
サッカーゲームで有るのにも拘わらずまさかのアクション要素が一切ないの異色の作品である。
2018年7月に発売されたファミコンミニ週刊少年ジャンプ50周年記念バージョンにキャプテン翼の1と2が収録されている。
『キャプテン翼』とは
原作である『キャプテン翼』は高橋陽一先生により、週刊少年ジャンプにて1981年~1988年まで連載されたサッカー漫画。
発行部数は8200万部を記録し、漫画の歴代累計売上で17位の人気漫画である。
1983年~1986年まで放映されたアニメも好評であった本作は空前のサッカーブームを巻き起こし、後のプロサッカー選手たちにまで多大な影響を与えるほどの作品となった。
ちなみに子供の頃の筆者もご多分に漏れず『キャプテン翼』が大好きであり、影響されて小学校の頃はサッカー部に所属していた(笑)。
ファミコン版『キャプテン翼』
人気漫画である『キャプテン翼』がゲーム化されることになりファミっ子たちは大いに沸いた。
しかしこの時代にはアニメや漫画を原作としたファミコンゲームタイトルが多数発売されており、その殆どが作品の人気に肖るだけで肝心のゲーム内容は陳腐なものばかりであった。
そのため本作も俗に言うクソゲーの可能性が懸念された。
しかしハズレの可能性が高いと分かっていてもファミっ子たちは好きな漫画がゲーム化されると飛びつかずにはいられない(笑)。
もちろん筆者も親にねだり発売日に買ってもらった。
しかしそんなクソゲー だらけ漫画原作のファミコンソフトの中では珍しく本作は非常に洗練されたタイトルであった。
オリジナル性に富んだシステムと、適度に調整されたゲームバランスに加え、魅力的な原作のキャラクターたちが多数登場する。
BGMもアニメ版『キャプテン翼』のものを8bit音源で上手に再現しておりファンも納得の名作となっている。
ストーリー
基本的に原作の中学校編からのストーリーを忠実になぞる形でゲームは展開してゆく。
全国大会を描く第一部「中学生編」と世界を相手に戦う第二部「Jr.ユース編」に分かれている。
中学生編
ゲームを開始するとは全国大会編の予選から始まる。
第一部では翼くんのいる南葛中学を率いて予選を勝ち抜き全国大会出場に出場し、日向小次郎を筆頭にお馴染みのライバルたちとの激闘を繰り広げ全国大会優勝するまでが描かれている。
Jr.ユース編
全国大会が終わると第二部Jr.ユース編に突入する。
日向、三杉、松山、立花兄弟など全国大会で熱い戦いを繰り広げたライバル達と共に日本代表となり世界優勝を目指す。
岬太郎や若林源三などもチームに加わりファンにはかなり胸熱な展開となる。
岬くんを探せ
Jr.ユース編の本編が始まる前にちょっとしたアドベンチャーゲームが取り入れられている。
パリ市内を岬くんを探して捜索する内容となっており、再会する事ができれば岬太郎が日本チームに合流することになる。
岬太郎はとても優秀な選手であり、味方に加わればかなりの戦力にる。
大空翼との「ゴールデンコンビ」や「ツインシュート」なども技として使用できるようになり今後の戦略にバリエーションが増える。
しかし時間内に見つけられなければ容赦なく岬太郎抜きでJrユース編が始まりエンディングまで一切出演しない。
第二部の強豪チームを相手に岬太郎抜きだとかなり苦戦を強いられるのでここは是非とも獲得しておきたい。
ゲームシステム
本作はサッカーゲームでありながらアクション性が一切排除されたSLG(シミュレーションゲーム)となっている。
この時代サッカーを題材にしたゲームといえば全てACT(アクションゲーム)であり、それ以外のジャンルでサッカーゲームなどは想像もつかなかった。
それをSLGというジャンル、正確にはRTS(リアルタイムシミュレーション)で発売された本作は非常に個性的であり話題となった。
テクモが開発したこの斬新なシステムはよく創り込まれており、後に発売されるシリーズでも採用されることとなる。
各主要メンバーにはガッツと呼ばれるパラメータがあり、このガッツを消費してドリブル、シュート、タックルなどを繰り出してゆく。
必殺シュートは強力なため、敵ゴールとの距離が大きく離れていてもシュートを決める事もでる。
特に翼くんのドライブシュートなどは、自陣ゴール付近からだろうが、5名に囲まれてようが打てば9割以上の確率で決まるほどの威力であり、まさに原作にある「ゴールが見えたら打て!」が再現されている(笑)。
しかし威力に応じて必殺シュートはガッツの消費が激しいので濫用はできない。
ゲーム展開に応じて“ここぞと言う場面”で使うようにしないといざという時に放つ事ができなくなるので注意だ。
ガッツが0になると必殺シュートが打てないどころか、主人公である翼くんですらなんの役にも立たない雑魚と化すので、前半はなるべく消耗を避けてガッツを温存して後半に一気に畳み掛けるのが本作の王道戦略である。
最後に
週刊ジャンプ黄金期の中でも特に人気の高かった『キャプテン翼』のゲームとなった本作は当初アニメ放送中の1986年に発売予定だった。
しかし発売延期を繰り返した結果、発売されたのは原作及びテレビアニメ終了後の1988年4月28日と2年以上経過していた。
現在では開発遅れによるゲームソフトの発売延期はよくあることだが、この時代においては長期間に及ぶ発売延期が繰り返されたのは極めて異例であった。
サッカー部でありファミっ子であった筆者は、ファミコンマガジンで『キャプテン翼』のファミコンゲームが出るのを知ってとても楽しみにしていたので、度重なる発売延期には何度もがっかりした。
しかしやっとの事で発売された本作は今までに無い新しいシステムでとても面白かったので大満足だった。
2003年にファミ通でファミコン生誕20周年を記念して行った「もっとも思い出に残ったゲーム」のキャラクターゲーム部門第一位に輝いている。
夢中になって遊んで何周もクリアした思い出のタイトルだ。
本作のヒットによりその後シリーズ化されたテクモの『キャプテン翼』はFC、SFC、GBなどプラットフォームを変え何本も制作されることになる。
テクモ以外にもバンダイやナムコから『キャプテン翼』をゲーム化した作品は発売されているが、個人的にはこのテクモの『キャプテン翼』を超えるものは無いと考えている。
今回はRTSを採用した斬新なサッカーゲーム『キャプテン翼』の紹介でした。
あわせて読みたい