『スパイvsスパイ(スパイアンドスパイ)』は1986年4月26日にファミリーコンピュータ用ソフトとしてケムコから発売された対戦型アクションゲーム。
オリジナルはアメリカのゲームメーカーファーストソフトデザインが販売したAtari用のソフト。
ケムコによりファミコン版が移植・販売された。
『スパイvsスパイ』とは
『スパイvsスパイ』の読み方は『スパイアンドスパイ』。
本作はアメリカンコミックスのゲーム化作品であり、Atari用ソフトとして発売され次々と当時の主要な海外プラットフォームに移植された人気タイトルであった。
日本でもFC・SEGA MkⅢ・PC-8801・X1・GBCに移植されている。
ゲームルール
広大な屋敷を舞台としたスパイ同士の情報争奪戦をテーマにした対戦型アクションゲーム。
対戦に特化したゲームであり、お互いに罠を仕掛けつつ相手の罠を回避し、アイテムを回収し時には奪い、すべてのターゲットを集めて脱出できた方が勝者となる。
部屋のどこかに隠された「カバン」「設計図」「パスポート」「金」「鍵」の4種類のアイテムを探し出し、相手よりも早く空港から飛行機で脱出することが目的。
白熱の駆け引き!
ゲーム画面は上下に分割されており、一方がヘッケル、もう一方がジャッケルの居る部屋を映している。
前述した4つのアイテムを相手より先に集めるために、屋敷の中を捜索してゆく。
相手と鉢合わせると戦闘になり、負けると死亡させられる。
死亡すると復活するまでしばらくは操作が一切できなくなる上に、自分の制限時間が30秒減らされる。
さらにアイテムを持っていた場合は全て初期配置に戻されてしまうため、手持ちの武器やアイテム数を考えた場合逃走するのも作戦のひとつだ。
一触即発の騙し合い!
広大な屋敷の中では罠を仕掛けることが可能。
罠の数は4種類「時限爆弾」「ダイナマイト」「硫酸バケツ」「スプリング」とどれも物騒なものばかり。
これに引っかかると“即死”したり運が良くても“どこかの部屋にすっ飛ばされる”とふりを被るが、解除することもできるので冷静に対処したい。
相手の罠にまんまとハマると非常に腹立たしいのだが、上手く引っ掛けてやると本作の醍醐味とも言えるくらい気持ちいい(笑)。
FC版の特色
日本へのローカライズは当時、海外製ゲームの移植に定評があったケムコが手掛けている。
FC版では白スパイが「ヘッケル」、黒スパイは「ジャッケル」という独自の名前がつけられている。
他にもFC版のオリジナルストーリーとして、ヘッケルはケムコの、ジャッケルはトムコの産業スパイで、狙うブツはゲーム界の総元締め“ジンテンドウ”が開発した新型ディスクシステムの設計図という設定が設けられている。
最後に
本作はこの時代の対戦型ゲームとしては、高いレベルでの駆け引きを必要とするかなり良質なソフトと言える。
騙し合いが真骨頂と言える本作において、“敵を嵌める”快感こそが本作の醍醐味である。
上級者同士の対戦にもなると、敵の復活地点の周りにいくつも罠を重ね掛けしておくことによって、1度死ぬともはや罠の連鎖で回避が不可能な状態に陥り、いわゆるハメ技てきなテクニックも可能。
日頃仲の良い友達でも取り返しがつかない喧嘩に発展する可能性があるので陰険な意地悪もほどほどにしよう(笑)。
実際に当時某ゲーム雑誌では対戦プレイ時において個人の性格が露わになる事を絶賛し、「美しく勝つ術など本作には存在しない。
欺き、利用し、ひたすら“悪どく”勝ってこそ本作は楽しめる」とゲーム性に関して肯定的に評価しているが、まさにこれが本作の正当な楽しみ方と言えるだろう。
ちなみに本作は2PをCPUが代行する1Playモードもあるが、CPUが超おバカなのでプレイしててもひとつもおもしろくない(笑)。
しかし2Playで遊ぶと、その単純ながらも熱い駆け引きを要するゲーム性に一気に神ゲーともなれるという、実質2Play限定ソフトとみたいなタイトルである。
翌年の1987年には本作の続編である『南国司令‼︎スパイvsスパイ 』が発売されている。
こちらもケムコによりFC用ソフトとしてローカイライズされた。
主人公の「ヘッケル」もしくは「ジャッケル」は、南太平洋上の小島マッドアイランドに隠された超高性能ミサイル「SD1(スペースデッドワン)」を入手する事を目的としている。
発売から30年以上経っている本作ではあるが、基本的なシステムとゲーム性などは現代でも通用すると思う。むしろ現代ならネットで世界中のプレイヤーと遊べるので、基本コンセプトはそのままに次世代機にてリメイクしてくれれば、そこら辺のゲームソフトより売れてもおかしくないと筆者は考える。
今回は駆け引き&騙し合いが熱い!2人用対戦型特化の良作『スパイvsスパイ』の紹介でした!