『中山美穂のトキメキハイスクール』は1987年12月1日にファミリーコンピュータディスクシステム用ソフトとして任天堂から発売されたアドベンチャーゲーム。
正式名称は『アイドルホットライン 中山美穂のトキメキハイスクール』。
販売元は任天堂であるが、開発は任天堂とスクウェアの共同開発である。
『中山美穂のトキメキハイスクール』とは
昭和62年当時人気絶頂のアイドルであった中山美穂とタイアップを行ったコマンド選択式のタレントアドベンチャーゲームである。
ディスクシステム用のネットワーク「ディスクファクス」対応タイトル第3弾で、専用の青ディスクを使用する。
他のディスクファクス対応タイトルはスコアやタイムを登録するランキングのための通信だったが、本作のみはゲームを終了させたことを全国400箇所の販売店に設置された「ディスクファクス」により登録することで景品が送られてくるものだった。
青いディスクカード
ディスクシステムは黄色のディスクが一般的だが、後期には青色のシャッター付きのディスクを必要とするソフトも発売された。
青いディスクカードは、198本販売されたFDS専用ソフトの中でも『ゴルフJAPANコース』『ゴルフUSコース』『中山美穂のときめきハイスクール』『ファミコングランプリ F1レース』『ファミコングランプリレースⅡ 3Dホットラリー』『リサの妖精伝説』の6本だけであった。
青ディスクには書き換えソフトの制限は無いが、逆に黄色ディスクを青ディスク用の前記6タイトルに書き替えることはできないので実質黄色ディスクの上位互換と言う位置付けであった。
ストーリー
お父さんの転勤の都合で、このトキメキ学園に転入することになった主人公は、転校初日に廊下で眼鏡をかけた女の子とぶつかる。
そして彼女を見て驚く。
その女の子は主人公が大ファンであるスーパーアイドル中山美穂にそっくりだったのだ!
彼女が立ち去った後に残されていたマスコット人形に気づいた主人公は──。
システム
「はなす」「とる」などの一般的なコマンド選択のみならず、重要な会話シーンでは「表情」と「台詞」を同時に選択して会話を進める。
表情は真面目・笑い・悲しみ・怒りの4種類から、台詞は場面ごとに画面に表示される候補の中から選択し、両方が一致していなければゲームオーバーとなる。
エンディングは途中の選択肢によってグッドエンドとベストエンドの2通りに分岐し、どちらに辿り着いたかによってディスクファクスで応募できるコースが異なった。
グッドエンドではテレホンカード、ベストエンドではビデオテープをもらうことができた。
中山美穂と電話で話せる!
本作の最大の特色として、ゲーム中に出てくる電話番号に電話をかけると先に進むためのヒントや中山美穂からのメッセージを聞けるテレホンサービスを実施されていたことが挙げられる。
ゲーム中に表示される電話番号に電話をかけると、中山美穂のメッセージテープが再生されるのはインターネットもない時代、ファンには堪らないシステムであった。
またエンディングで表示される電話番号にはエンディングメッセージを聞くことができた。
エンディングボイス一例
「やっぱりあなたのコトが好き。」
「でもみんなに迷惑をかけてしまうから、転校するコトにしたの。」
「明日最後の授業に出るから、放課後、屋上で会いましょうヨ。」
「待ってるから絶対に来てネ。」
書籍
本作がかなりの難易度だったこともあり、88年には攻略本が宝島社、双葉社、ケイブンシャの3社からそれぞれ発売されている。
さらに双葉社からは本作のゲームブック版である「トキメキハイスクール 恋の学園祭大作戦」が発売されたものの、こちらは「中山美穂」を起用する事が出来ず、架空のヒロインが登場している設定となっている。
最後に
ギャルゲーの元祖とも言える本作は、当時人気絶頂だった中山美穂の知名度と相まってかなり話題になった。
しかしクリア景品があったためかADVにしてはかなり高い難易度であった。
特に「表情」&「セリフ」の組み合わせを一致させなければゲームオーバーというシステムが難しくてなかなか先に進めないプレイヤーが続出した。
場面によっては喜びの感情を込めた台詞を真顔で言わなければならなかったり、どう考えても正解であろう選択もゲームオーバーになってしまう辛辣な展開もあった。
まだ幼かった筆者はアイドルには興味がなかったが、「芸能人と電話で話せるファミコンゲームってすごい!」と驚いたことを憶えている。
しかしこのヒントを聞けるテレホンサービスは間違い電話が続出するという問題を起こした。
アイドルボイスを聞けると思ってハァハァしてるゲーマーから立て続けに間違い電話を受ける一般家庭は堪ったものではない(笑)。
この問題により休業を強いられることとなったテレホンサービスは、ディスクシステムの売り上げの低迷も関係し88年に終了することとなった。
ちなみに30年以上経った現在、複数あった本作のテレホンサービスの電話番号のひとつはトヨタネッツの店舗につながる(笑)。
なんだかんだと色々あったが、任天堂が新しいゲームのジャンルを開拓する努力のあとが見れる意欲作であることは間違いないだろう。
今回はギャルゲーのパイオニア⁉︎アイドルと電話で話せる画期的なADV『中山美穂のトキメキハイスクール』の紹介でした!
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