『ロマンシング サ・ガ』は1992年1月28日にスーパーファミコン用ソフトとしてスクウェアより発売されたロールプレイングゲーム。
2001年12月20日にワンダースワンに移植された。
その後に携帯アプリとバーチャルコンソールにて配信されている。
『ロマンシング サ・ガ』シリーズ
『サガシリーズ』は『魔界塔士SA・GA』(1989年)に始まるGB版から始まった。
GBで発売された3作のSA・GAは『ファイナルファンタジー』の外伝という位置付けとされていた。
しかしシリーズ4作目にしてSFC版の1作目に当たる本作からは独立したSA・GAとして展開されることとなった。
SFCで展開された『サガシリーズ』のタイトルは全て『ロマンシング サ・ガ』となっており、一般的に『ロマサガ』シリーズと呼ばれている。
シリーズはのちにSFCにて『ロマサガ2』『ロマサガ3』と3タイトルまで続編が発売された。
『ロマンシング サ・ガ』とは
『ロマンシング サ・ガ』は創造神マルダーによって作られたマルディアスと呼ばれる世界を舞台に、8人の主人公を操作して邪神サルーインの復活を阻止する事を目的としたスーパーファミコン(以後SFC)用ロールプレイングゲーム(以後RPG)である。
『ロマサガシリーズ』の一番の特徴といえるフリーシナリオシステムが初めて導入され、ボスより強い雑魚敵が頻出するなど、シリーズを特徴付ける要素が登場することにより、後続するシリーズの方向性を決定づけた作品となっている。
販売本数は98万本であり、これはスーパーファミコンソフト全1447本の中でも30位の歴代記録である。
プレイヤー一人ひとりがそれぞれの冒険を紡ぐ
本作の一番の魅力は限りなく自由度の高いシステム設計にある。
フリーシナリオにより、世界中どこでもプレイヤーの思うままの場所に好きな様に赴き、遭遇するイベントでも好きな様に選択をできる。
主人公は8人のうちから1人を選ぶことができ、パーティーメンバーも他の主人公を含む10数名の候補キャラから自由に選択可能であり、プレイヤーが望むなら孤高のひとり旅すら可能となっている。
キャラクターの成長システムに関してもレベル制でなく、戦闘で使用した技能によって能力値が上昇するという『ファイナルファンタジーⅡ』の熟練度システムを進化させたモノを採用。
これは前身であるGB版『サガシリーズ』から引き継がれたシステムである。
そのためパーティーメンバーを戦士タイプにするも魔法使いタイプにするもプレイヤーの好み次第である。
この様にシナリオ面・システム面とともにプレイヤーの選択の自由度が著しく高いことが本作の個性となっており、その自由度の高さゆえにプレイヤー一人ひとりがそれぞれ異なった冒険譚を体験できることこそが『ロマサガシリーズ』最大の魅力と言って間違いない。
英雄にも、そして悪党にでもなれる
本作の自由度はかなりのものであり、強制イベントは殆どなく、旅の途中で興味を持ったイベントだけ関わってゆけばよい。
イベントの選択肢も様々であり人助けなどの善行ばかりではなく、盗みや裏切り、挙げ句の果ては殺人強盗まで行うこともできる(笑)。
徹底的に悪事を働く“悪党プレイ”をしたとしても、ゲームオーバーなどにはならずそういうキャラクターとしての冒険を楽しむことができる。
ゲーム内で自分のそれまでに行ってきた所業はゲーム終盤になってのイベントに影響する。
悪行ばかり積み重ねた場合は、冥府で死の王と仲間の命を代償に取り引きができる展開になり、善行を数多く積んでいた場合は、光の神から勇者となるための試練を受ける展開を迎える。
筆者は最初こそは善行を心掛けてプレイしていたが、かの有名な“アイスソードを奪い取るイベント”にて、どうしてもアイスソードが欲しいという欲望に負け、“殺してでも奪い取る”という悪魔の選択をした。
まだ少年だった筆者は「な、なにをする きさまらー!」と断末魔をあげ死んでゆくガラハドを眺めながら背徳感と共に奇妙な高揚感を覚えた(笑)。
この選択により、“悪党ロールプレイ”の魅力に取り憑かれてしまったのだろう(笑)。
そこからというもの、欲望の限りを尽くした旅を続けた筆者。
それでもエンディングを迎えた時の達成感は凄まじく、まさに自分だけの冒険譚を書き上げたという感傷に深く浸ることができた(笑)。
今思えば、その数年後出会う『ウルティマオンライン』にてPK(Player Killer)という生き方にどっぷりとハマっていったのもこの『ロマサガ1』での経験が大きく影響したのかも知れない(笑)。
最後に
コンシューマ機用RPGとして初めてトコトン自由度を高めたからこその副作用ともいえるが、本作では数えきれないバグや不具合があちことで発生する。
愛嬌で済ますことのできるバグも多いが、中には「1万回以上戦闘をこなすと、ラストダンジョンに入れなくなる」などという致命的なバグまで存在する。
他にもそれまでの“用意されたシナリオ通りに進めていくRPG”に慣れていたプレイヤーの中には、自由すぎるからこそ「ゲーム序盤から“何をすればいいか解らない”」という者も珍しくなかった。
この様にまだまだ改善の余地は山ほどあったとも言えたが、筆者はそれまでのRPGの常識をぶち壊し、この作品を作り上げたスクウェアを評価したい。
初めて本作をプレイした時の衝撃は言葉では言い表せないほどであった。
それまで基本的に一本道のシナリオを進めるタイプのRPGしかプレしてこなかった筆者にとって、どこまでも自由な選択をしながら物語を進めていけることのワクワク感はかつて無い感動を与えてくれた。
平成4年の冬、TV画面を通して経験したあの冒険を筆者はきっと忘れはしないだろう。
今回は自由度を突き詰めたシステムで自分だけの冒険を紡げるRPG『ロマンシング サ・ガ』の紹介でした!
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