『謎の村雨城』は1986年4月14日に任天堂よりファミリーコンピュータディスクシステム用ソフトとして発売されたアクションゲーム。
同年2月21日にディスクシステムローンチタイトルである『ゼルダの伝説』と同じ見下ろし視点型ゲームであるが、ARPG的要素を持つファンタジーの『ゼルダの伝説』とは別物の純然たるアクションゲームである。
発売までの経緯
ディスクシステムの発表と同時に発表され、『ゼルダの伝説』とともに雑誌で紹介されていたがローンチタイトルにはならなかった。
しかし前人気は『ゼルダの伝説』より高く、商品化要望が任天堂に殺到、満を持してディスクシステム用ソフト第2弾としての発売となった。
販売本数は61万本を売り上げ、ディスクシステム用ソフト売上順位は9位と堂々の実績だった。
キャッチコピーは「村雨城からわきおこる不吉な雲。それは前兆もなしに始まった。」である。
ストーリー
江戸四代将軍、徳川家綱の時代。
多くの謎に包まれた「村雨城」には巨大な石像「ムラサメ」が祀られていた。
ある嵐の夜、天上を引き裂くような雷鳴と共に、流星のような物体が村雨城に落ちた。
それ以来、村雨城から異様な叫び声がするようになり、その噂は瞬く間に広まった。
「ムラサメ」に棲み着いた正体不明の生命体は村雨城以外の4つの城の城主を謎の力で支配し、城主たちは忍軍を操って暴れ始めた。
城主反乱と「ムラサメ」の噂に事の重大さを感じた幕府は、城下の平定と噂の真偽を確かめるべく、剣法指南役の青年剣士・鷹丸を密かにその城下に送り込むのであった。
ゲームシステム
主人公の「鷹丸」を操作し、全9ステージを攻略するアクションゲームである。
ステージは「青雨城」「赤雨城」「緑雨城」「桃雨城」の4つの城から成り立っており、それぞれ城までの“道中”と“城内”が用意されており計8ステージ、最終面はは村雨城・城内ステージとなる。
見下ろし視点型であり、マップの端まで行くと1画面分スクロールするという点では1ヵ月前に同社からディスクシステム用ソフトとして発売された『ゼルダの伝説』によく似ているが、アイテムを駆使し謎解きをしていく『ゼルダの伝説』と違いアクション自体がメインとなるゲーム性となっている。
難易度はかなり高めであり、やり応え十分なタイトルとなっている。
名作ラッシュに埋もれてしまったタイトル
この頃の任天堂はROM容量の限界と、価格高騰を問題視していた任天堂の肝入りで発売したディスクシステム。
なんとしてもディスクシステムを成功させたかった任天堂は次々と秀逸なゲームを市場投入していった。
その為『スーパーマリオブラザーズ2』『ゼルダの伝説』『メトロイド』『バレーボール』など後世に残る様々な名作がこの昭和61年に生まれた。
同年代に立て続けに発売される“名作”たちの陰に埋もれ、いまいちマイナーな印象となってしまった。
しかしながら本タイトルも決して駄作ではなく、当時にしては綺麗なグラフィックと難しくもやり込むと面白くなるアクション性で秀作と言ってよい作品であった。
『謎の村雨城』の逸話
BGMのクオリティーも高く、ゲームファンからも好評だった。
サウンドトラックも発売されており、Wiiの『大乱闘スマッシュブラザーズX』では原曲のまま曲が使用されている。
前述したとおり、知名度はいまいちなのだがなぜか1986年に「おニャン子クラブ」によって実写ドラマ化されている。
筆者は見た事が無いが、ぜひ一度見てみたい(笑)。
筆者と『謎の村雨城』
筆者はディスクシステムを発売より1年遅れで購入したということもあり、リアルタイムで本作をプレイするタイミングはありませんでした。
しかしその存在は知っていたので、いつかプレイしたいと思っておりました。
その後ゲームボーイアドバンスに移植されたり、バーチャルコンソールにて配信されるようになり、20年越しの初プレイをすることができました。
プレイしてみてこのゲームを今こそSwitchでフルリメイクして発売すれば面白いんじゃないかと考えました。
『ゼルダの伝説』や『メトロイド』などの何度もリメイクされてきた超メジャータイトルより、“なぜここで謎の村雨城?(笑)”とニヤリと笑えますし、懐かしさもあるので、レトロゲーマーを中心に話題になりそうじゃありませんか?任天堂さん。
あ、もちろんその際はBGMだけは変更なしで採用してくださいね!
今回は名作ラッシュの陰に生まれた辛口アクションゲーム『謎の村雨城』の紹介でした。
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