『伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠』は2019年1月24日にフライハイワークスよりSwitch用ソフトとして発売されたアドベンチャーゲーム。
開発はハッピーミール。
ファミコン風のグラフィック・BGMを意識した仕様となっており昭和の薫り漂う懐かしいタイプのコマンド選択式ADVである。
偽りの黒真珠
グラフィックを8bitで表現し、仕様はコマンド選択によりフラグを立てながらストーリーを進めていくタイプのアドベンチャーゲーム。
価格は1,000円(税込)
キャラクターデザインを『オホーツクに消ゆ』の荒井清和に依頼するなどゲーム全体の雰囲気を昭和60年代に流行った刑事物のファミコン風に仕上げてある。
Switch版が2019年1月に発売されたのち、口コミで人気が広まりPS4版も同年6月に移植発売される事となった。
ストーリー
東京は上野公園にて、変死体が発見される。
被害者は、その公園を徘徊していた浮浪者。
主人公であるプレイヤー(刑事)とその後輩、開明寺ケンは、捜査を進めるうちに浜◯真珠(◯はかすれて読めない)と書かれた巾着袋を発見する。
それが伊勢地方で作られたものだと判明し、スマートフォンで検索すると3つの“浜◯真珠”が該当。
主人公たちはさっそく伊勢志摩へと向かうのだった…。
ゲームシステム
往年のADVを彷彿とさせるコマンド
プレイヤーは刑事となり、東京で起こった殺人事件の手がかりを追って新米刑事の「ケン」と2人で伊勢志摩に訪れる。
基本的にプレイヤーは自ら行動はせず、コマンド選択により「ケン」に指示を出し、事件の捜査を進めていく。
このコマンド選択に関してはファミコンでこの手のADVをプレイしたことのある年代の方は思わず懐かしくなる様な“仕込み”が多々取り入れられている。
例えば、同じコマンドを2回以上しつこく選択すると新たな展開が訪れたり、コマンドの持つ本来と違う意味での使い方があったりと懐かしくてニヤリとしてしまう場面もある。
それでいて「スマホつかえ」というコマンドがあり、お店などの検索から関係者への電話、メッセンジャーでの連絡など今の時代に合わせたコマンドもあるのが憎い。
伊勢志摩を舞台に繰り広げられる捜査
タイトルに『伊勢志摩ミステリー案内』とあるだけあり、伊勢志摩の観光地や名産物がたくさん登場する。
その伊勢志摩をプレイヤーはケンと共に足を使った捜査であちこちと歩き回るのだが、それがまるでその土地を観光しているような感覚で楽しめるのも本作の特徴である。
これは『オホーツクに消ゆ』で北海道の観光地、名産物をふんだんに取り扱った演出のリスペクトと思われる。
どこか懐かしい秀逸なサウンド
BGMは2時間サスペンスドラマ風の切なく懐かしいものが多く、これもまたファミコン時代の刑事物を連想させる演出だ。
テーマソングである「運命のヒロイン(歌:岩岡玲湖)」と「儚い珠のように・・・(歌:星守紗凪)」も好評であり、サウンド全般高いクオリティと定評がある。
説明書までもがファミコン風
本作はダウンロード専用ソフトのため、説明書は電子説明書となっているが、その作り込みもファミコンソフトをリスペクトした懐かしいものとなっている。
新しいファミコンソフトを買ってもらい、その日の分を遊び終わってしまったあと(当時はファミコンは1日1時間の過程が多かった)説明書をずっと眺めていた子供時代を思い出す(笑)。
追加DLC
2019年7月4日には本作の追加DLCが価格500円(税込)にて配信されている。
内容は「サウンドテストモード」と「カラオケモード」。
ゲームに収録されているBGM全26曲を聴く事ができ、「儚い珠のように」と「運命のヒロイン」テーマソング2曲をカラオケ形式で収録されている。
カラオケモードは楽曲に合わせ画面上に歌詞が表示される。
この様に本編で人気の高かったBGMとテーマソングをさらに満喫できるモノとなっている。
さらにオリジナルサウンドトラックCD「偽りのサウンドトラック」も同日発売となっているので、本作のサウンドファンは購入しても良いだろう。
続編も発売決定
本作の第2弾を創りたいとハッピーミールがクラウドファンディングで制作費(目標300万円)を募集したところ、期限を8日間残した7月22日の時点で550万近い支援が集まっており、続編製作はほぼ確実となっている。
次回の舞台は“東北のどこか”となっており、どの地域が選ばれるかも気になるところである。
リターンは支援金額により様々なものが用意されており“スタッフロールに名前が載る”や“ゲームに登場できる”など面白いモノがたくさんあるので興味があれば支援してみては如何だろうか?(笑)。
最後に
ファミコンの雰囲気を完全に再現した本作は、当時を経験したゲームファンには堪らないゲームとなっている。
昭和時代に夢中になって遊んだファミコンADVを思い出す至高のタイトルである。
筆者も子供時代を思い出しながら、一気にクリアしてしまった。
プレイタイムは6時間ほどと短めではあるが、ADVとは言え雰囲気を味わうのがメインのこのゲームでは下手に長いプレイ時間であるよりこのくらいが丁度良い。
価格も良心的なので、第2弾が発売されたらまた購入するつもりだ。
本作は創りも丁重であり良作なタイトルではあるが、ファミコンを知らない若い世代のゲーマーには少し微妙かも知れない。
昭和を経験したオールドゲーマーなら思い出補正が掛かり、とても楽しめる事間違いなしなので是非遊んでみることを薦める。
今回は8bit風アドベンチャーゲーム『伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠』の紹介でした。
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