『ファイナルファンタジーⅢ』は1990年4月27日にスクウェアよりファミリーコンピュータ用ソフトとして発売されたロールプレイングゲーム。
略称は『FF3』。
キャッチコピーは『最期の壮大なドラマ』。
ファミコンをプラットフォームとしたシリーズナンバリングタイトルの最後の作品である(「Ⅳ」からはSFC)。
2014年に同社にて3DS用ソフトとしてリメイクされている。
『ファイナルファンタジーⅢ』とは
『ファイナルファンタジーⅢ』(以後FFⅢ)は『FFシリーズ』をエニックスの『ドラゴンクエストシリーズ』と並び日本を代表するRPGに伸し上げたタイトルである。
『FFⅢ』は140万本を売り上げ、1,252本あるファミコンソフトの中でも24位の販売本数を記録している。
これはファミコンソフトのRPGといジャンルの中では『ドラクエ1~4』の次で5位である。
ちなみに過去作である『FFⅠ』『FFⅡ』はそれぞれ52万本、76万本と100万本を超えてはいない。
その後のFFシリーズの基礎となったタイトル
本作はそれまでのRPGにはない試みを数多く取り入れた挑戦的な作品であった。
その数々の斬新なシステムはプレイヤーたちに評価され、のちの『FFシリーズ』に引き継がれてゆくだけでなく、他メーカーのRPG作品にも影響をもたらした。
召喚魔法の導入
『FFシリーズ』の代名詞とも言えるシステムである召喚魔法。
召喚師と呼ばれる魔導師が「幻獣」「召喚獣」と呼ばれる幻のモンスターを呼び出して敵に攻撃を与えたり、味方を強化したりと様々な効果を持つ強力な魔法である。
この召喚魔法が初めて登場したのが『FFⅢ』であり、本作以降は定番のシステムとなる。
ちなみにこの召喚システムはスクウェアのゲーム『半熟英雄』(1988)からの逆輸入となっている。
状態変化のダイレクト表示
本作より敵味方共に「ダメージ値」や「回復値」がキャラクターの頭上にダイレクトに表記されるようになり戦闘時間が大幅に短縮されスピーディーな展開を楽しめるようになった。
ダメージと回復によって色が違うので、プレイヤーは視覚にて瞬時に戦況を把握できる。
さらに全体攻撃などは前作までの1体ずつのダメージ表示ではなく、一斉に表示されるようになり、時間の短縮と一斉に駆逐する爽快感を両立できる演出となった。
本作の発売以降、このダメージ表記の演出はライバルの『ドラゴンクエスト』を含め、採用するRPGが急速に増える。
ジョブシステム
転職の概念
それまでのRPG作品にもジョブという概念はあったが、上位職へのクラスチェンジやレベル1からやり直す転職というものしかなかった。
そして転職するにしても、決められた拠点に赴かなければいけなかった。
自由なジョブチェンジ
それに比べ本作のジョブシステムは画期的であり、ジョブチェンジをしてもキャラクターのレベルや熟練度は保持されたまま新しいジョブに変更できる内容だった。
さらにジョブチェンジは戦闘中以外ならいつでもどこでもメニュー画面より行うことが可能。
これによって状況に合わせた臨機応変な立ち回りが可能になった他、各種ジョブの使い勝手を気軽に試せるようになった。
戦略の幅が広がる
このお陰で「一斉攻撃を与えてくる敵には竜騎士になり空中にジャンプして躱す」「攻撃を与えると分裂する厄介な敵には分裂を封じる武器が装備できる魔剣士になる」などの戦略を立てて挑むことができる。
ジョブは全部で22種類あり、最初は弱い下位ジョブしか選べないが物語が進むにつれ強力な上位ジョブが解放されていく。
たまねぎ剣士
ジョブに関する隠し要素として、ゲーム序盤で最初の職業である最弱ジョブ「たまねぎ剣士」が、じつはレベル90を超えると成長スピードが著しくなり、レベル99になると全能力値が最大となる。さらに作中最強の性能を誇る「オニオン」の名を冠する武器防具はこのたまねぎ剣士のみ装備することが可能という設定が遊びに心溢れていて非常に面白い。
BGM
シリーズ全般に対して言える事であるが、植松伸夫の手掛けるBGMは素晴らしいサウンドであり、幻想的な曲調のフィールド曲「悠久の風」を筆頭にたくさんの名曲が連なっており、サウンドトラックは今でも高い人気を誇る。
また、過去作に比べて曲目数も倍増しファミコン史に残る秀逸なBGMと評価されている。
トラウマになるラストダンジョン
『FFⅢ』と言えば忘れてはならないのが、凶悪な難易度を誇るラストダンジョンだ。
「クリスタルタワー」の最上階でボスを倒しすと「闇の世界」に飛ばされ、そこでラスボスを倒す流れであるが、「クリスタルタワー」も「闇の世界も」とても広いダンジョンであり、合わせて攻略に3~4時間はかかる。
それにも拘らずこの2つのダンジョンにはセーブポイントがひとつも無いのだ。
本作は死ぬとセーブデータからやり直しのシステムなので、4時間かけてラスボスまで辿り着いてもそこで負けたら4時間前に逆戻りという残酷な仕様は数多のプレイヤーに絶望と怒りを与えた…。
筆者と『FFⅢ』
筆者は本作を所有していた。
過去2作にどハマりし、幼いながらも両方ともクリアするほど好きだったので3作目である『FFⅢ』も発売日に母にお願いして買ってもらった。
期待通りの面白さであり、夢中になって冒険をする日々が続いた。
友達同士で情報交換をしたり、ファミコン雑誌を読んだりしながら進めていったものだ。
しかし前述したラストダンジョンだけはどうしてもクリアできなかった…。
何度か挑戦したけどラスボスを倒すことはできず、負けると4時間前のセーブからやり直しという仕打ちに心が折れてしまいクリアを諦めたのは悲しい思い出である。
人気作品だった割にリメイクがずっと制作されなかった本作だったが、16年経過した2006年にDSにてリメイク作品が発売となった。
今度このリメイク版を購入し、小学生時代のリベンジを果たしトラウマを拭い去りたいと考えている(笑)。
今回はシリーズを日本を代表するRPGに伸し上げた『ファイナルファンタジーⅢ』の紹介でした。
あわせて読みたい