『EVE burst error(イヴ バーストエラー)』は1995年11月22日にPC98用ソフトとしてシーズウェアから発売されたアダルトゲーム。
2018年10月25日には現行機であるSwitchにてリメイク版である『EVE burst error R』が発売された。
本記事ではアドベンチャーゲームの『EVE burst error』についてレビューする。
尚、掲載されているプレイ画面は『EVE burst error R』のものである。
記念すべきEVEシリーズの第一弾
冒頭でも触れたが元々はアダルトゲームであった。
アダルトゲームとは言ってもストーリー重視のタイプであり、そのストーリー性が大きく評価されヒットとなった。
1997年1月24日にアダルト要素を排除し、純粋なサスペンスアドベンチャーゲームとしてSEGA SATURNに移植された。
これが大ヒットして、その後WindowsやPS2へと移植され幅広く認知されていく事になる。
その後『EVE ZERO』『EVE The Fatal Attraction』『EVE Lost One』など数々の続編が制作され様々なハードで販売されてゆき、いずれも好評を得る。
しかし開発元のシーズウェアが2003年以降売上不振の為休眠状態となり、シリーズの開発も無くなった。
永らく音沙汰の無かった本作だが版権を取得したEl diaによりリメイクされ『EVE burst error R』として2016年4月28日にPSvita/Windowsにて発売される。
『EVE burst error R』2018年10月25日にはSwitchにもダウンロード専用ソフトして移植されており現行機でもこの名作をプレイできるようになった。
さらに本作の半年後、2019年4月には待望の完全新作『EVE rebirth terror』がPS4/PSvitaにて発売。
このEVE復活の流れはシリーズのファンとしては非常に喜ばしい事であり、今後もEl diaには他のEVEシリーズ、さらなる新作リリースを期待する。
あらすじ
マリチサイトストーリー
EVEシリーズお馴染みのマルチサイトストーリーはこの初代から導入されている。
マルチサイトシステムとは、同じ時間軸に存在している主人公「小次郎」と「まりな」2人の視点を切り替えながら物語を進行させていく方式だ。
これは片方だけを進めても行き詰まり、もう一方のサイトで連動するイベントを起こさなければストーリーを進行することが出来ないというものである。ゲームデザイナー「菅野ゆきひろ」氏ならではの濃厚なシナリオは現在でも語り継がれるほど秀逸であり、サスペンスアドベンチャー史上でも上位に入ると思われるストーリーである。
小次郎編
港のはずれにある古びた倉庫。
天城小次郎はそこで「あまぎ探偵事務所」を開いていた。
だが事務所は開いたばかり、しかもライセンスは停止中。
顧客が全く来ない状態で厳しい生活を強いられていた小次郎に、知り合いのカメラマンの紹介で仕事が入る。
それは紛失した絵画を探して欲しいという内容だった。
ただの絵画捜索にしては妙に高い報酬金額にうさん臭さを感じながらも、大金と退屈に負けて結局依頼を受諾する。
それが、自身の運命を大きく変えることになろうとは、知る由もなく。
まりな編
法条まりな1級捜査官。
任務達成率99%を誇るスーパーエージェントと称される捜査官だ。
彼女はアメリカから帰国したばかりだったが早々に次の任務を言い渡される。
エルディア国駐在大使、ロス・御堂の娘、真弥子の護衛だ。
初めは頑なに心を閉ざす真弥子に根気良く付いて回り、徐々に打ち解けていくまりなだったが、 彼女が任務に就いたのと並行して、真弥子を脅かす危険が増大していく。
物語は複雑に絡み合ってゆく…
全く関連性がないように見えるこの二つの事件は、テラーが起こす連続殺人事件や絵画の原板を巡って複雑に絡み合い、やがてその先にある巨大な陰謀へと集束してゆくのだった…
主要登場人物
物語に登場するキャラクターは皆魅力的な人物ばかり。
この愛すべきキャラクターたちが居たからこそストーリーの素晴らしさは際立たせられて、ADVとして最高の作品に仕上がっている。
ここでは主要キャラクターのみの紹介にとどめておくが、この他に出てくるわき役たちもどれも個性的である。
天城小次郎
主人公。一匹狼の探偵。
女たらしで貧乏だが、実は素晴らしい推理力と射撃のセンスを持っている。
法条まりな
主人公。国家機関のエージェント。
天真爛漫でおじさま好きの彼女だがエージェントとしての腕は他に並ぶ者のいないエリート。
御堂真弥子
まりなが敬語を依頼された、エルディア国大使ロス・御堂の娘。
外見はおとなしくしっかりした優等生タイプだが、心の奥底には弱さを隠し持っている。
プリン
不良に絡まれているところを小次郎に救われる。
それ以来小次郎になついて、離れなくなってしまう。
桂木弥生
小次郎の元恋人。桂木探偵事務所の所長。
とある事件がきっかけで小次郎とは別れ、仇として恨んでいる。
氷室恭子
まりなが潜入するエール外国人学校の生徒。
まりなのことをなにやら不審に思っている様子。
甲野三郎
まりなの直属の上司。自称ダンディー中年。
お堅い組織の中では例外的に頭の柔らかい方で、問題行動の多いまりなをいつも守ってくれている。
鈴木源三郎
帰国途中のまりなが飛行機の中で出くわした謎の男。
保険会社のセールスマンと名乗るが、どこかミステリアスな雰囲気を醸し出している。
テラー
中東を拠点に暗躍する殺し屋。
依頼達成率100%を誇り、国籍、人種、性別、年齢などの正体に関わる事柄の一切が謎に包まれている。
殺した対象の側に凶器のサバイバルナイフを置いて立ち去る奇妙な癖がある。
マルチサイトADVの基本攻略
本作はマルチサイトADVの為、ずっと片方の主人公のストーリーを進めていると必ず行き詰まり、どうにもならなくなる。
MAP場でその時点で行ける場所全てに行っても進展がない場合主人公をチェンジしよう。
そうやってこまめに主人公をチェンジして、2つのシナリオを並行して進めていくのが攻略のコツである。
シーンによってはリアルタイムで交差する時もある。
そのような場面では否が応でも盛り上がる。
昔ながらのコマンド選択式ADVなので、コマンド総当たりなどをしなければなかなか進められないこともあり、多少億劫ではあるが古いゲームの宿命だと思ってそれも楽しもう(笑)
サスペンスアドベンチャーの金字塔
アドベンチャーゲームに大切な要素は「ストーリー」「キャラクター」「演出」「BGM」であるが、そのすべてが高いクオリティーで仕上げられているADVの金字塔と言うべき作品である。
魅力的なキャラクターたちが、謎に包まれた濃厚なストーリーで複雑に絡み合う様子は素晴らしく、物語を考察しながらゲームを進めると尚一層楽しめるであろう。
原作が平成7年の作品なので、登場人物や時代設定に昭和の匂いが漂っているのは否めないが、それも含め魅力的だと筆者は思う(笑)
2016年にリメイクされた『EVE burst error R』は見事にリメイク成功している。
現行機だとSwitchのDL専売で2,980円で販売されているので、コマンド選択式の古いスタイルのADVに抵抗が無く、サスペンスハードボイルドが好きな方ならプレイすればきっとハマると思われる。
ちなみに元々がアダルトゲームであったと言う事もあり、ウィンドウズ用ソフトとしてアダルト要素を追加した『EVE burst error A』も発売されているのでアダルトゲームファンはそちらをどうぞ(笑)
最後に
筆者はセガサターン版以来の『EVE burst error』であり、実に19年ぶりにPSvita版をプレイした。
ストーリーの大筋は憶えていたが、懐かしさも手伝い最後まで一気にクリアした。
2人の主人公を変更しながら二転三転とするストーリーは今プレイしても秀逸で、その意外な物語の結末には解ってはいても涙を流してしまった。
このゲームは物語を盛り上げるのに必須と言えるBGMも秀逸であり、サウンドトラックのCDは今でもよく聴いている。
その後PSvitaを手放した際にソフトも売却してたのだが、Switch版が出た際にはそちらを再購入した。所有しておきたかったので(笑)
今後Switch版で『EVE ZERO』『EVE The Fatal Attraction』『EVE Lost One』など全シリーズをリメイク販売して欲しいものだ。
今回は『EVE burst error』の紹介でした。
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