『ドラゴンボール 大魔王復活』は1988年8月12日にファミリーコンピュータ用ソフトとしてバンダイから発売されたカード型アドベンチャーゲーム。
のちにニンテンドー3DS用ソフト『バンダイナムコゲームスPRESENTS Jレジェンド列伝』(2013年)に本作がそのまま収録されている。
その後のドラゴンボールシリーズ作品に大きく影響を与えたシステムも多い。
『ドラゴンボール』
『ドラゴンボール』は1984年から1995年まで鳥山明により週刊少年ジャンプで連載された少年漫画。
発行部数は2億5000万部を誇っており歴代漫画発行部数ランキングでは第2位を誇る、もう説明の必要ないほど世界中で愛されるタイトルである。
世界中に散らばった7つの玉を全てを集めると、どんな願いも1つだけ叶えられるという秘宝・ドラゴンボールと、主人公・孫悟空を中心に展開する「冒険」「夢」「バトル」「友情」などを描いた冒険活劇。
筆者もちょうど少年時代に週刊少年ジャンプで連載されてて毎週楽しみにしていたのを懐かしく思う。
『ドラゴンボール 大魔王復活』とは
『ドラゴンボール 大魔王不復活』はバンダイから発売されたファミコン用ドラゴンボールゲーム化作品の第2弾である。
アクションゲームだった前作『ドラゴンボール 神龍の謎』から大きく内容を変えて、手持ちのカードを利用した移動と戦いで成長するロールプレイングゲームの要素と、コマンド選択式のアドベンチャーゲームの要素を組み合わせたシステムになっている。
バンダイによるアニメのゲーム化は十八番でありファミコンだけでもかなりの数のタイトルが発売されいた。
中には面白いタイトルもあったが高確率でクソゲーである場合が多く、バンダイのアニメゲーム化作品といえば地雷のイメージが強かったものだ。
しかしこの大魔王復活は数少ない”当たり”である良作であった。
シナリオは原作の“ピッコロ大魔王編”をベースに本作独自のアレンジを加えた、半オリジナルなものになっている。
復活したピッコロ大魔王の手先に修行仲間のクリリンを殺された悟空が、打倒大魔王を目的に旅に出るというストーリーだ。
ゲームシステム
フィールドマップ
カードには1〜7の数字が表記されている。
全体マップはすごろく形式になっており、手持ちのカードを消費して“星の数だけ”マス目を移動して悟空を進めていく。
1枚使用すると1枚ふ配られるのでプレイヤーは常時5枚のカードを持っていることになる。
移動先では毎回伏せられたカードの中から1枚めくる。
めくったカードの内容に従って、雑魚敵と戦ったりアイテムを入手したりといった様々なイベントが起こる。
そしてマップ上の次の目的地に到着すると、すごろくマップからアドベンチャーパートに移行する。
カードバトル
フィールドマップで“ピッコロ大魔王カード”を引く、またはアドベンチャーパートで敵と遭遇すると戦闘に突入。
敵との戦闘は1対1で行うカードバトル形式。
最初に使用するカードの枚数を1~5から指定し出す順番を決める。
敵も同じように5枚のカードを並べてくるので、1枚ずつ開示しあいながらバトルを展開する。
開示しあったカードの星の数を比較して攻守を決定。
星の多い方が「蹴」ならキック攻撃、「拳」ならパンチ攻撃、「蓮」なら連続攻撃、「必」なら必殺技などカード中央に記載された漢字に応じた技で相手を攻撃。
これをいずれかのHPがなくなるまで繰り返す。
戦闘グラフィックは漫画風のコマ送りで描写される。
スピード感を損なわずにDBのバトルシーンの臨場感がよく表現されている。
本作の戦闘システムテンポが非常に良く、格好いい戦闘BGMの効果もあり爽快感がある。
システム・グラフィック・サウンドと全てが高いレベルで調整されており、このカードバトルモードが本タイトルの醍醐味と言っても過言ではない。
アドベンチャーパート
アドベンチャーパートではコマンドを選択して情報を集め、フラグを立ててストーリーを進行させてゆく。
アドベンチャーパートでのイベントを全てこなすと次の目的地が提示される。
そしてまたすごろくマップへ移行し、次の目的地を目指し悟空をすすめていく。
実はこのアドベンチャーパートこそがこのゲームの最大の問題パートであった。
コマンドの中には選択すると即座にゲームオーバーになってしまう即死選択肢が混じってる。
即死選択肢はそれまでの展開でのフラグや正解を示すヒントなどが一切ない。
どれが即死になるのか初見ではまったく気付けない上、悪質なことに“正解っぽい選択肢”が即死になることが多くプレイヤーをイラつかせる(笑)。
原作では並外れた強さを誇る悟空ではあるが、このアドベンチャーパートでは些細なことでコロッと死ぬのでファンは違和感を感じざるを得ない。
ジャンルに捉われない新感覚アドベンチャー!
このゲームをプレイした時筆者はまだ小学生だった。
御多分に洩れずドラゴンボールが大好きな子供だったので、発売と同時に親にねだって買ってもらった。
今までになかったすごろく風の全体マップにカードを使った斬新なバトル!
雰囲気の良いBGM!
ドット絵ながらよく再現された作画に大満足!
難易度もそこまで高くなく子供でもクリアすることができたので最後までダレることなく遊ぶことができた。
この後1989年に『ドラゴンボール3 悟空伝』『ドラゴンボールZ 強襲サイヤ人』と続編もカード形式を中心としたシステムで発売される。
しかし個人的にはこの『ドラゴンボール 大魔王復活』が1番面白いと思っている。
前述した“アドベンチャーパートでの理不尽なゲームオーバー”の洗礼は筆者も散々喰らった(笑)。
それにはイライラすることもあったが、今となってはそんな要素も含めて楽しかった思い出となっている。
2018年7月7日に『ニンテンドークラシックミニ 少年週刊ジャンプ創刊50周年バージョン』が発売された。
ジャンプ原作漫画でファミコンゲーム化された作品のみが厳選で20本収録されており、
ドラゴンボール原作のタイトルが3本収録されている。
しかし残念なことに筆者の大好きな本作は収録されていない。
正直これは解せない(笑)。
現在本作を遊ぶには任天堂3DSの『バンダイナムコゲームスPRESENTS Jレジェンド列伝』くらいしか方法はない。
いつの日かファミリーコンピュータ Nintendo Switch Onlineに復刻してくれないかと密かに期待をしているタイトルのひとつである。
今回は今までにない新感覚ADVカードゲーム『ドラゴンボール 大魔王復活』の紹介でした。
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