『夢工場ドキドキパニック』は1987年7月10日にファミリーコンピュータディスクシステム用ソフトとしてフジテレビより発売されたアクションゲーム。
開発は任天堂が請け負い、フジテレビが発売元となっている。
別ハードへの移植やDL配信などはされていない。
コミュニケーションカーニバル 夢工場'87
1987年(昭和62年)にフジテレビをはじめとしたフジサンケイグループによる博覧会を模した一大イベントが開催された。
7月18日から8月30日まで東京と大阪で同時開催され、これと関連した24時間特番「1億人のテレビ夢列島」などの各種広報番組の放送、バンド夢工場・アイドル夢工場のデビューなど様々なメディアミクス展開を繰り広げた。
アラフォー世代などでは記憶に残っている方も多いのではなかろうか?
当時は空前のファミコンブームだったこともあり、このイベントのタイアップ商品の一環として開発・発売されたのが本作『夢工場ドキドキパニック』である。
『夢工場ドキドキパニック』とは
「コミュニケーションカーニバル 夢工場'87」のイベントキャラクターであるイマジンファミリーを採用したFDS用のACTゲーム。
当時ファミリーコンピュータの主要ユーザーであった子供達に対する”イベント夢工場'87”の周知を図ったタイアップタイトルであり、開発は任天堂が請け負っている。
『スーパーマリオブラザーズ』(1985年)の開発タッフによる新作ソフトとして紹介されており当時大きな話題となった。
販売本数は29万本、買い替え回数は32万本を記録している。
特徴
縦横スクロール方式のACTゲーム。
先の場面に進んでも画面のスクロールは固定されず、引き返すこともできる。
横は通常スクロールだが、縦は『ゼルダの伝説』(1986年)と同様の画面切り替えスクロールが採用されている。
プレイヤー操作が可能なキャラクターは主人公イマジン・妹のリーナ・パパ・ママと4人。
それぞれジャンプ力や、物を持ち上げる速さなど運動能力が異なっている。
この4人の誰かを操作して敵のボス“マムー”を倒してさらわれた家族のピキとポキを救い出すのが目的。
野菜を引っこ抜いて敵に投げつけたり、敵そのものを持ち上げたりと一風変わったアクションが一番の特徴となっている。
流石はマリオスタッフというだけのことはあり、ゲームバランスもよくACTゲームとして丁重に作られている。
最後に
テレビ局と玩具メーカーという珍しいタイアップと、マリオ制作スタッフの実績による信頼、そして前年1986年に発売されたばかりのファミコン周辺機器ディスクシステムのソフトということもあり、知名度も高かったタイトルである。
「コミュニケーションカーニバル 夢工場'87」は日本を挙げた一大イベントではあったが、あくまで国内での認知度が高いだけなので、欧米諸国へ発売される際はイマジンファミリーをマリオファミリーに変更して『SUPER MRIO BROS. 2』として任天堂より発売された。
さらに5年後の1992年にはその『SUPER MRIO BROS. 2』を逆輸入して『スーパーマリオUSA』というタイトルにてFCロムカセットで日本国内発売という珍しい経緯を持つ。
キャラクターを置き換えただけで、内容は『夢工場ドキドキパニック』と一切変わっていないのでマリオシリーズとしては独自の要素を多く持つ作品となった。
ゲーム自体の創りがしっかりとしているため、プレイしていて非常に心地よい。
それに加え“なんでもかんでも引っこ抜いて持ち上げる、それを投げることもできる”という当時としては新鮮なアクションが快感でありプレイヤーを楽しませてくれた。
一般的にイベントとのタイアップ商品はその特性上、一過性の流行り物となることが多い。
しかし本作においてはゲーム性自体が良作だったためマリオシリーズとして輸出、そして逆輸入され、そちらも70万本を売り上げた。
まさに任天堂にとっては1粒で3度美味しいタイトルとなった訳である。
今回はテレビ局×玩具メーカーのタイアップアクションゲーム『夢工場ドキドキパニック』の紹介でした!