『Ys I&II Chronicles(イースⅠ&Ⅱ クロニクルズ)』は2009年7月16日に日本ファルコムよりPSP用ソフトとして発売されたアクションロールプレイングゲーム。
2001年にPC用ソフトとして発売された『イースⅠ・Ⅱ 完全版』の移植タイトル。
様々なメーカーにより数々のリメイク・移植をされてきた『イースⅠ&Ⅱ』の中でも最高傑作のリメイクと言われている。
イースシリーズ
『イースシリーズ』とは冒険家アドル=クリスティンを主人公としたARPGシリーズである。
2019年5月現在でナンバリングタイトルは8作、その他にもたくさんのリメイクや派生タイトルも発売されており、シリーズの累計売上は2017年時点で480万本に達している。
30年以上に渡って続くファルコムの看板作品となっているタイトルである。
当時マニア指向の強かった“アクションRPG”をゲームの代表的ジャンルへと一気に飛躍させ、後のアクションRPGブームの先駆けともなった。
イースⅠ&Ⅱ クロニクルズ
1987年の第1作『イース』よりたくさんの移植をされてきたイースシリーズの『Ⅰ』『Ⅱ』。
PC・Win・FC・SMS・SS・DS・PS2などのハードで移植発売され、リメイクもかなりされた。
『イースⅠ&Ⅱ クロニクルズ』(以後クロニクルズ)はその数あるリメイク作品の中でもファルコムが自ら手掛けた『イースI・II完全版』(以後完全版)を元にファルコム自身が移植をしたタイトルである。
2009年7月にPSPで、同9月にWinで発売された。
今から『イース』をプレイするなら『クロニクルズ』一択と言える完璧なリメイク作品である。
完全版との違い
『クロニクルズ』になり新たに加わったシステムとしては、音楽をPC88版、Win版、そして本作用にアレンジされたものの3種類から任意に切り替えることが出来るようになったことと、イベント時のキャラクターグラフィックを旧版(Win版)とクロニクル版から選択出来るようになったことが大きい。
実はファルコムが自らコンシューマ機へ移植するのは今作が初めてである事もあり移植度は非常に高く、文句なしのクオリティーとなっている。
ゲームシステム
良くも悪くも完全版の純粋な移植なので、ゲームシステム自体は上記に挙げたBGM・グラフィックの選択以外には特に無い。
ただしPC88版のオリジナルとの差異としてはストーリーを補完するイベントや、連続でボスと戦うタイムアタックモードが追加され、さらにスタート時に難易度選択も可能になった。
操作性も一新され、オリジナルにはなかった斜め移動やダッシュが可能になり、よりテクニカルに、快適に操作できるようになっている。
意匠枠が廃止され、プレイ画面がディスプレイの全面を使って表示されるようになった。
意匠枠外の下部に表示されていたHP・MPバーはプレイ画面中下部に被せて表示されるようになった。
魅力的な世界観
最新の技術により、大きくパワーアップされたBGMとグラフィックであるが、オリジナルの魅力的な世界観は損なわれておらず“イースの世界に”没頭できる内容となっている。
ダームの塔、廃墟ムーンドリア、ノルティア氷壁、バーンドブレス溶岩地帯、鐘撞堂…。
その美しくも危険な数々のステージが、旧作のイースファンも唸る素晴らしいリメイクとなっている。
さぁ、この世界でアドル=クリスティンとなり冒険の旅に出よう。
フィーナとリリア(ネタバレ注意)
少し余談になるが『イースⅠ&Ⅱ』には2人のヒロインが登場する。
古いイースファンの間では「フィーナ派」と「リリア派」に別れ議論が絶えなかった(笑)。
1人は魔族に囚われ記憶をなくした銀髪の女神フィーナ。
そしてもう1人はランスの村の優しき娘リリア。
2人ともアドルに救われ、アドルに想いを寄せる健気な少女であり、当時ゲームヒロインの中でもかなり人気があったキャラクターであった。
筆者は誰がなんと言おうとフィーナ推し。
女神としての記憶をなくしている間に“ひとりの女の子”としてアドルに恋をした記憶を胸に、イースの女神としての使命を果たすため、もう1人の女神レアと共に自らを石化して“魔法を封印する”。
石化する前、アドルに別れを告げるシーンでフィーナは永遠の別れになることを知りながらも恋心は伝えず「時々でいいから、思い出してください。 私のような女の子がいたってことを…。」と涙を流しながらも笑顔でアドルに語りかける…。
このラストは切なすぎて、幼かった筆者は号泣したものだ。
イースの国は救われ、魔は滅び、大団円になるはずだった…。
しかし人々の真の平和は2人の女神の献身によってもたらされるというエンディングは切なくも感動的であり、心の奥に刻み込まれ、今でもこの話を思い出すと深い感動を憶える。
あなたはフィーナ推し?それともリリア推し?
最後に
J-ARPGの金字塔と誉れの高い『イースⅠ&Ⅱ』だが、流石にオリジナル版、PCE版は30年以上経つと古さが目立ち、思い出補正が無いとプレイし辛いであろう。
しかしこの『クロニクルズ』であれば今でも問題なく通用するクオリティーであり、これからイースを始めるならお薦めのタイトルと言える。
それでもPSPだと現行機とは言えないのでPS4やSwitchでの移植を期待したいところである。
システムやUIは既に『クロニクルズ』で完成されているので、特にリメイクしなくても良い。
高解像度対応、5.1ch対応、『フェルガナの誓い』セットくらいで販売してくれるとファンは飛びつくのではなかろうか?
何度もクリアした『イース』の初期タイトルであるが、10年以上の時を経て大画面でアドルの冒険を堪能したい。
今回は本家ファルコムの渾身のリメイク移植『イースⅠ&Ⅱ クロニクルズ』の紹介でした。
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