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【十三騎兵防衛圏】過去・未来の時を超えて描かれる、十三人の少年少女のSF群像劇!【PS4・アトラス・レビュー】

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『十三騎兵防衛圏』は2019年11月28日にPlayStation4用ソフトとしてアトラスから発売されたアドベンチャー/シミュレーションゲーム。

1980年代の架空の日本を舞台に、滅びの運命に抗う13人の少年少女を描くドラマチックADVと巨大ロボット「機兵」に搭乗してのSLGのふたつのジャンルを持ったタイトルである。

 

 

『十三騎兵防衛圏』とは

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本作は1985年・1945年・2025年・2065年・2105年の5つの時代の日本を生きる13名の少年少女が主人公となっている。

1985年に突如出現した「怪獣」の存在により、世界は崩壊の一途を辿ることになってしまう。

タイムトラベルにより会合した、別の時代を生きているはずだった彼(彼女)らは、人類の存亡をかけて大型機動兵器「機兵」に乗り込み、「怪獣」と戦いをくり広げていくというストーリーだ。

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リリース直後の売れ行きはそれほどでもなかったがクチコミでその評判が広がり、発売から1ヶ月経った2020年1月になってから販売本数が伸び始めるという、近年では珍しい売れ方をした。

結局在庫不足なり、販売元のアトラスが公式サイトで品薄のお詫びを告知する事態にまで発展。2020年2月には10万本セールスを達成するヒットタイトルとなった。

 

ゲームシステム

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本作はメインストーリーを追うアドベンチャーパートの「追想編」、騎兵に乗って怪獣と戦うシミュレーションバトルパートの「崩壊編」、物語を俯瞰して考察できるアーカイブ「究明編」の3つで構成されている。

追想編

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13人の主人公から1人を選んでプレイする横スクロールアドベンチャーとなっている。

1人の主人公のエピソードがある程度進むとロックが掛かり先を進めることができなくなる。そのロックを外すには他の主人公のエピソードを進めなければならない。

そうしてちょっとずつそれぞれのエピソードが進展いくうちに、この世界に隠された大いなる謎が明らかになってゆく濃密なSF群像劇となっている。

各主人公たちは互いに友人・恋愛関係などで複雑に関連し合っており、関係性の深いキャラクターとの専用エピソードがある。

崩壊編

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世界防衛の拠点となる「ターミナル」の破壊を目的として攻撃を仕掛けてくる「怪獣」を相手に「ターミナル」の防衛、及び「怪獣」の殲滅を目的としたタワーディフェンス型シミュレーションバトルとなている。

「怪獣」を殲滅させるか「ターミナル」を一定時間護りきれば勝利、「ターミナル」を破壊されたら敗北となる。

押し寄せる「怪獣」の種類を見極めて、プレイヤーは13人の主人公たちが搭乗する巨大ロボット「機兵」を編成、駆使して戦う。

ステージクリアをすると手に入る「メタチップ」を使い、お気に入りの「騎兵」を強化してゆくことができる。

究明編

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作中の主人公たちやサブキャラクターなどの登場人物・用語・アイテム・事件・出来事などが詳細に設定されたアーカイブ。

さらに各キャラクターの複雑に絡み合ったストーリーを時系列で読むことができ、壮大な物語を俯瞰的に理解することができる。

 

美しいグラフィック

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アドベンチャーパートの美しい2Dグラフィックは必見。

街並みの情景や光と影の表現、食卓に並ぶごはんまでが丁寧に描き込まれており、まるでイラストががそのまま動き出したようなグラフィックとなっている。

 

魅力的な登場人物たち

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13人の主人公はどれも魅力的なキャラクターばかり。

男子は陽キャなイケメン、クールな美少年、リーゼント頭のヤンキーなど、女子はツンデレ美少女、スポーツ少女、天然ドジっ娘まで本当に個性豊かであり、男女問わず大方の性癖はカバーされている気がする(笑)。

ちなみに筆者のお気に入りは冬坂五百里。

 

白熱のタワーディフェンスバトル

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シミュレーションバトルパートはしっかりと創り込まれており、バランスも絶妙。

戦闘中はキャラクターの台詞や、会話などが飛び交い、白熱のバトルを盛り上げる。

難易度はカジュアル/ノーマル/ストロングと3段階用意されている。
高難易度タワーディフェンスを楽しみたい場合はストロング、ストーリーもバトルも程よく楽しみたい場合はノーマルを選択しよう。

気軽にストーリーだけを楽しみたいプレイヤーはカジュアルでサクッと戦闘を終わらせることも可能である。

 

心を揺さぶるBGM

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BGMを手掛けたのは崎元仁。

サウンドはどれも素晴らしくプレイヤーの感情を揺さぶる名曲ばかりである。

2020年2月27日に発売されたサウンドトラックは、プレイした者なら必携と言えるアイテムだろう。

もちろん筆者も購入済みだ!

 

最後に

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グラフィック、バトル、サウンドと全てにおいて高いクオリティを誇る本作であるが、やはり一番の名作たる所以はシナリオである。

細部まで徹底的に拘って創られたシナリオは稀に見る傑作となっている。

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時代背景も時系列もバラバラの10分程度の短い各エピソード。

その13人のそれぞれのシナリオを読み進めていくと徐々に繋がっていく断片的なキーワード。

そして全ての伏線が回収され物語の全貌が見えた時、プレイヤーは未だかつて体験したことのない衝撃を受けることになるだろう。

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ゲームデザイナーの桜井政博はファミ通での連載コラムで「映画などが線、サウンドノベルなどが面だとしたら、『十三機兵』のシナリオは立体的。3Dになっているかのような構成だ」と手放しで絶賛している。

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蛇足になるが、メインの舞台となる時代背景が昭和60年という設定なので、筆者のように実際にその時代を経験した者にはとても懐かしくて心地よい(笑)。

終始ノスタルジックな気分に浸りながらゲームプレイができるので同世代には特にお薦めしたいタイトルである。

 

今回は過去・未来の時を超えて描かれる、十三人の少年少女のSF群像劇『十三騎兵防衛圏』の紹介でした!

 

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