『トランスフォーマー コンボイの謎』は1986年12月3日にタカラからファミリーコンピュータ用ソフトとして発売されたアクションゲーム。
1980年代前半にタカラから販売されていた変形ロボット玩具から始まったトランスフォーマーシリーズの初期のゲーム化作品。
タカラのファミコン参入第1弾ソフトでもある。
『トランスフォーマー コンボイの謎』とは
現在でもハリウッド映画としてシリーズ化されているなど、世界的に有名な『トランスフォーマー』。
そのトランスフォーマーの産みの親であるタカラ(現タカラトミー)からファミコン用ソフトとしてゲーム化された作品が『トランスフォーマー コンボイの謎(以後コンボイの謎)』である。
当時日本でもちょうどアニメ版トランスフォーマーが放映されており、子供たちを中心に大人気であった。
あの“トランスフォーマーがファミコンになる”ということで子供たちは大喜び!
発売時期が12月と言う事もあり、サンタさんにお願いしてクリスマスプレゼントに『コンボイの謎』を貰うファミっ子が溢れかえった。
そのお陰で本作は当時としては異例の61万本を売り上げることになった。
しかしそれは、61万人の子供たちを阿鼻叫喚の渦に叩き込むことになるのだった…。
トラウマ級の高難易度
本作の一番の特徴はその常識を逸脱した高難易度にある。
数あるファミコンのタイトルの中でもトップクラスの難しさを誇る。
敵や敵の弾に当たると即死するタイプのACTであるが、ゲームスタート直後から敵の攻撃が激しく、さらに敵が小さくこちらの弾が当たりにくい。
と、ここまではよくある激ムズ弾幕系STGとみたいなモノなのだが、このゲームの特筆すべき点は敵の弾が2×2ドットと非常に小さいため、背景に溶け込んでしまい極端に見えにくいということだ。
タダですら激しい弾幕を浴びせてくるゲームなのにも拘わらず弾が見えないのであればアムロ・レイやシャア・アズナブルでもなければ躱すのは相当難しい。
当然、何度プレイしても背景に溶け込んだ敵弾が見えず、開幕と同時に即死するプレイヤーが続出した。
弾が見えていない為、なぜ死んだのかすら理解できないという、その理不尽さに耐え切れずカセットを引き抜き壁に投げつける者もいた。
そのような超絶難易度に悶絶したゲーマーたちによってゲーム開始後2秒で死ねるとか、20分ほどプレイすれば10秒間は死なないでいられるようになるなどと後世に語り継がれた。
平成も終わる現在でも思いに残るクソゲーを挙げさせたら10本の指に入る伝説のクソゲーである。
てんこ盛りのクソゲー要素
タカラの記念すべきファミコンソフト第1弾でありながら伝説級のクソゲーとなってしまった本作。
本作がそこまで云われる所以はその難易度だけではなかった。
重要キャラの名前が間違ってる
まずカセットのタイトルに英字で「MYSTERY OF COMVOY(コンボイの謎)」と表記されているがコンボイのスペルは「CONVOY」でありNがMに誤植されている。
コンボイは本作以前にトランスフォーマーとしても重要なキャラでありその名前を間違える時点で原作に対するリスペクトも何もあったものではない。
BGMの手抜きが酷い
BGMはゲーム全編(10ステージ)で1曲しかなく、しかも短い曲であり永遠とループし続ける。
ただしこれについてはスタートして2秒で死ぬゲームなのであまり気にならないという意見もある。
ボスが雑魚過ぎる
驚異的な難易度を誇る本作ではあるが、なぜかボスは超絶に弱い。
開発者がなにを意図してこうしたのかは解らないが、10体いるボスは全て弾を撃っているだけでほぼ所見で簡単に撃破できる。
メーカー自らクソゲー認定
2008年にバーチャルコンソールで配信された際、タカラトミーの紹介ぺーにて
・『トランスフォーマー・コンボイの謎』でレッツトラウマ
・多くの小学生のトラウマとして残り、今でも伝説のゲームとして語り告がれるソフト!
・トラウマを重ねないよう細心の気構えをもってプレイしてごください。
などと開発メーカー自ら自虐ネタとして本作を扱っている。(原文ママ)
有野課長も惨敗
人気ゲーム番組『ゲームセンターCX』にて有野課長が本作に挑戦した。
プレイ前は「古いゲームは単純だから…」と余裕を見せていた有野課長だが、プレイスタート直後敵の弾が見えず即死。
その後1時間以上プレイしても開幕30秒以上進むことが出来ず、理不尽な死の連続に温厚な有野課長もキレ気味となってきて、結局ADが攻略するハメになるという異例の事態となった。
筆者と『コンボイの謎』
筆者はこのゲームは持っていませんでしたが、トランスフォーマーのアニメは流行っていたので見ていました。
クリスマスプレゼントで本作を買ってもらった友達の聡くん(仮名)が「ありえねぇクソゲー!」と怒り狂ってたので、家にお邪魔して遊ばせてもらったら想像以上のクソゲーで爆笑しました。
聡くんはそれから「コンボイ」というあだ名になりました。
最初は「コンボイって呼ぶなよぉ(笑)」などと聡くん本人も笑ってましたが、しつこく「コンボイ!コンボイ!謎!謎!」などとからかっていたら、そのうち「コンボイ」と呼ぶと殴りかかってくるようになってしまいました。
あれは哀しい思い出です…。
昭和の頃はどの町にもあった個人経営のファミコンショップでは、ワゴンセールと称してクソゲーがどれでも100円などで売られていた光景をよく見ましたが、『コンボイの謎』と『星をみるひと』はこのワゴンセールの常連ソフトであり、必ず数個放り込まれていたものです。
しかしあれから30年以上経った現在では“クソすぎて見ている分にはむしろ笑える”などと言われ、妙に愛されているクソゲーでもあります。
あ、そういえば聡くんはその後、何かに憑りつかれたかの様に『コンボイの謎』をやり込んで、とうとうクリアしてました!
聡くんの卒業アルバムの作文に書かれた「最初は嫌だったコンボイと言うあだ名も、今ではお気に入りです。」という一文を見ると今でもクソ笑えます。
今回はプレイ開始2秒で即死の超A級クソゲー『トランスフォーマー コンボイの謎』の紹介でした。
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