『ミシシッピー殺人事件』は1986年10月31日にジャレコがファミリーコンピュータ用ソフトとして発売したアドベンチャーゲーム。
オリジナルはコモドール64、Apple Ⅱ用のADVゲームとしてアメリカのアクティビジョン社が開発・発売したタイトル。
のちにジャレコがライセンスを取得して1986年にファミコン、1987年にはMSX2に移植した。
誰もが認めるファミコン初期における伝説のクソゲーのひとつである。
- 純然たる死にゲー
- 殺人事件発覚の前に自分が死ぬ探偵
- ちょっとした事ですぐ死ぬ虚弱体質な探偵
- 捜査が手詰まると自殺する探偵
- プレイヤーの心を打ち砕くクソゲー
- 筆者と『ミシシッピー殺人事件』
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純然たる死にゲー
本作は数あるファミコンソフトの中でも稀に見る超死にゲーとして有名である。
“死にゲー”と言えばよく『スペランカー』が挙げられるが、『ミシシッピー殺人事件』も負けじと劣らない“理不尽な死”に塗れてるタイトルであり、レトロ―ゲームファンの間では「ADV界のスペランカー」などと揶揄されている。
殺人事件発覚の前に自分が死ぬ探偵
ミシシッピ川を下る外輪船として運行中の豪華客船「デルタ・プリンセス号」で謎の殺人事件が起こる。偶然その場に居合わせた探偵「チャールズ・フォックスワース卿」とその助手「ワトソン」が捜査・推理をし、事件を解決する。という探偵物としては王道とも言える内容であるが、スタート直後に入った客室で、突然ナイフが飛んできて額に刺さって死んでしまい、いきなりゲームオーバーになることがある。
これは犯人の仕掛けたナイフトラップなのだが、殺人事件を推理する探偵ADVゲームであるはずなのに、死体発見前に死んでしまうのは驚きだ。
主人公は殺人事件が発生した事も知らずにお亡くなりになったことになる。
ちょっとした事ですぐ死ぬ虚弱体質な探偵
とある客室には床に落とし穴が仕掛けられており落ちると死ぬ。
犯人の罠だと「ワトソン」は推理するが、どのようにして犯人が船の客室の床に落とし穴などを作ることができたのかは一切説明はない。
ちなみに4mほどの高さであり、上手く着地すれば捻挫程度で済みそうなものだが、「チャールズ卿」は何度落ちても即死する。
捜査が手詰まると自殺する探偵
関係者への聞き込みの際、気になった証言をワトソンに“メモ”させ、その“メモ”を元にまた他の人に聞き込みをするシステムだが、そのメモは証人1人につき3つまでしかキープしておけない。
その為、重要な証言を見抜けず“メモ”をし忘れると捜査は一切進まない。さっきの証言の“メモ”を取りたくて同じ人に再度話し掛けると「さっき話しましたよ」や「もう言いました」などと言い二度と証言をしてくれない。
つまり完全に手詰まりとなるのだが、ゲームオーバーとはならないので、リセットボタンを押して最初からプレイするか、上記にあるナイフの罠などにわざと掛かり自殺してゲームオーバーになる他に手はない。
プレイヤーの心を打ち砕くクソゲー
数あるトラップや理不尽なシステムのせいで、事あるごとに即死しまくるくせに、セーブ機能はおろかパスワードによるコンティニューすら無いので、死ぬたびに最初からやり直しなのが神経を逆撫でする。
そして唯一の信頼できる仲間のはずの助手であるワトソンのセリフがいちいち癇に障る。
「うぁー・・・先生!!!先生、大丈夫ですか?」
額にナイフが突き刺さってるのに大丈夫もクソもない。
更に追い打ちをかけるように、「チャールズ卿」の死体を眺めながら「あぁ…もし、最初からやり直すことが出来ればなんとかなるのに…」とつぶやく姿がまたプレイヤーの怒りの炎に油を注ぐ。
筆者と『ミシシッピー殺人事件』
筆者はこのソフトを所有しておりました。
新品で購入したのではなく、友達が不運にも購入してしまい、そのクソゲー具合に怒り狂って捨てようとしていたのを、「捨てるくらいなら売ってくれ」と50円で譲り受けました。
別にこのソフトをプレイしたい訳ではなく、“別の利用方法”を思いついて買い取ったのです。
筆者には妹がいるのですが、当時筆者はまだ小学生で妹は幼稚園児でした。(以後思い出話なので筆者=「僕」)
幼い妹はファミコンなどよく理解していませんでしたが、僕が楽しくプレイしているのを隣で見てて「あたちにも やらせて!」とよくせがんできました。
母親が「妹ちゃんにもやらせてあげなさい。かわりばんこね。」などと言うので仕方なくコントローラーを渡していましたが、本当はずっと自分ひとりで『スーパーマリオブラザーズ』などをプレイしていたかったのです。
そこでこのソフトの出番です。
まず僕が『スーパーマリオ』をプレイします。妹は自分の番が来るのをワクワクしながら僕のプレイを眺めてます。
15分~20分で僕がゲームオーバーになると妹はやっと自分の番だと大喜び!そこで僕はおもむろにカセットを『ミシシッピー殺人事件』に差し替えます。
何もよく解ってない妹は、ウキウキしながらゲームを開始しますが、開始3分でナイフが額に刺さってゲームオーバー。
すぐに僕の番が戻ってくるという悪魔の作戦でした。
何度か繰り返すと、未就学児とはいえ流石におかしいと思ったらしく「あたちも つぎは おにいちゃんの やってるの やりたい!」と訴えてきますが、僕は華麗にスルーして『ミシシッピー殺人事件』に差し替えます。
もちろん妹は3分で落とし穴に落ちてゲームオーバー。
しばらくこの作戦を使っていましたが、ある時妹が大泣きした事で不審に思った母親にバレて、めちゃくちゃ怒られました。
その後この作戦は使えなくなってしまいました。
一度だけ気の迷いで本タイトルをプレイしたことがあります。
噂に違わぬクソゲーっぷりにゲラゲラ笑ってしまいました。
もちろんクリアはしていません。
このソフトはそれから数年間、ゲーム箱の奥底に眠り続けることになりましたが、妹の7歳の誕生日にギフト用の包装紙に包みリボンを付けてプレゼントしたら、中身を開けた途端カセットを投げつけられました。
どうやらトラウマになってしまっていたようです。
そんなこんなで殆どプレイしたこともなく、クリアもしてない本作ですが筆者にとっては思い出のタイトルでもあります。
今回は筆者の可愛い妹の純粋な心を弄んだ悪魔のクソゲー『ミシシッピー殺人事件』の紹介でした。
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