『OCTOPATH TRAVELER』は2018年7月13日にSwitch専用ソフトとしてスクウェア・エニックスから発売されたRPGである。
2017年1月に「Project OCTOPATH TRAVELER」のプロジェクト名で発表され、同年9月に先行体験版が配信された。
発表から1年半の歳月をかけ2018年7月に発売となった。
「伝統と革新の融合」を標榜し、プレイスタイルの異なる8人の主人公による戦略性をもたせたバトルシステム、「2D-HD」をコンセプトとした美麗なドット絵調グラフィック等をアピールポイントとしている。
この新規IPは世界中で評価され発売と同時に爆発的な売り上げを記録し、発売後暫く品切れ状態となり入手できないプレイヤーが続出した。
驚異の売り上げを樹立
世界規模で好調な販売となり発売から20日間で100万本を売り上げる大ヒットタイトルとなった。発売から3ヶ月経った現在でも売り上げを伸ばし続けている。
セールスはスクウェア・エニックスの予想を上回り、特に欧米や英国での売り上げが高かった。
スクウェア・エニックスの決算での会見ではこの大ヒットの原因を「JRPGが世界に認められていた」「オールドファンに突き刺さるHD-2Dドット絵デザイン」「魅力的なキャラクターの織り成す物語」と分析しているとした。
今回の大成功を受け、同社では今後もHD-2Dを使用したJRPGを第二弾、第三弾と発売していく予定とのことである(続編という訳ではない)。
新しくも懐かしいグラフィック
やはり最初に目を引くのは新技術HD-2Dにおけるグラフィックデザインであろう。
HD-2Dとは昔ながらの古き良きドット絵に3DCGの画面効果を加え、幻想的な世界を表現することに成功したグラフィック技術である。
ファイナルファンタジー(1988年・FC)やロマンシングサガ(1992年・SFC)における昭和末期から平成初期にかけて一世風靡したスクウェアのRPG。
それを彷彿とさせるドット絵デザインとサイドビューバトルシステムは、当時を経験した世代にとってはそれだけで冒険心をくすぐられる物だとは言うまでもない。
プレステーション、セガサターンの発売により3Dグラフィックが台頭し、ゲーム界から姿を消したドット絵…
そのドット絵を現代に甦らせ、「オクトパストラベラー」は我々を再びあの頃のように胸躍る冒険へと旅立たせてくれた。
魅力的な8人の主人公
オクトパストラベラーには8人の主人公が用意されてます。
それぞれが個性豊かで魅力的であり、各々が夢や使命を持っています。
8人の主人公それぞれに濃密なストーリーがあり、想像を絶する結末が待ち受けています。
プレイヤーは最初に8人の中から1人を選んで物語をスタートさせますが、広い世界を冒険するうちに数奇な運命はこの8名を巡り合わせ、やがて固い絆で結ばれる仲間となり世界に散らばる謎、脅威、滅びの運命に力を合わせ立ち向かう事になってゆきます。
オルベリク・アイゼンバーグ(CV 小西克幸)
オルベリクは山に囲まれたハイランド地方にある小さな村に身を寄せる剣士です。
かつて王国で「剛健の騎士」として名を馳せていましたが、ある戦乱で敗北し、オルベリクが敬愛していた王と国を失ってしまいました。
プリムロゼ・エゼルアート(CV 桑島法子)
プリムロゼは砂漠が広がるサンランド地方の踊り子です。
踊り子に身をやつすプリムロゼですが、有力貴族エゼルアートのご令嬢というのが本当の姿です。プリムロゼの父を殺したとされる「カラスの入れ墨を入れた男」を探してるようです。
トレサ・コルツォーネ(CV 青木瑠璃子)
トレサは中つ海望むコーストランド地方の港町で、親が営んでいるよろず屋で働いている商人です。
「自分がしたいこと、本当に手に入れたいものは何か、水平線の向こうには何があるのか?」そんなことをトレサは考えていました。
ある日、トレサの前に一隻の商船が現れますが、果たしてこの先どうなるのでしょうか。
アーフェン・グリーングラス(CV 関智一)
アーフェンは小川せせらぐリバーランド地方の小さな村で薬師をしている青年です。
アーフェンには、幼い頃に命をすくってくれた恩人がいました。その恩人は旅の薬師で、アーフェンの命を救うばかりか自身が置いていった薬の代金も求めずに去ってしまいました。その姿を見たアーフェンは「あの薬師の人のように大陸中の人を救いたい」という強い思いを抱くことになります。
ハンイット(CV 甲斐田裕子)
ハンイットは深き森つづくウッドランド地方にある村で暮らす村一番の狩人です。
1年前に「赤目」と呼ばれる魔物を狩るために村を旅立った師匠を追いに村を旅立ちます。
テリオン(CV 松岡禎丞)
テリオンは断崖連なるクリフランド地方の盗賊です。クリフランドには盗賊として流れ着いたため、テリオンがクリフランド出身かどうかは不明です。
そのため、素性もわからない神出鬼没の盗賊ということで、貴族や富豪たちにテリオンは恐れられている模様です。
サイラス・オルブライト(CV 梅原裕一郎)
サイラスはフラットランド地方にある王立学院に仕える学者です。
整った容姿から学院の生徒から熱い視線が注がれるが、サイラスの目に入るのは本や謎のことばかり。「私は、新しい知識を得ることがこの世の何より楽しいよ」。
書庫から1冊の本が消えたことに気づいたところからサイラスの旅がはじまるようです。
オフィーリア・クレメント(CV 茅野愛衣)
オフィーリアは雪降り積もるフロストランド地方の聖火教会の神官です。
20年に1度行われる「式年奉火の儀式」で大役を任された、親友であり姉妹である人物とオフィーリア2人に試練が訪れる。
広大で神秘に満ち溢れた世界
美しいHD-2Dで描かれる広大なこの世界は美しく、謎に満ち溢れてます。
大自然に目を奪われ呆然と立ち尽くす事もあるでしょう。
人々の建築技術の結晶である大神殿に息を呑む事もあるでしょう。
ドット絵とは思えぬ、光と陰のコンストラクション。
極限まで洗練されたドット絵で描かれるファンタジーワールドを堪能してください。
この世界はきっと貴方を飽きさせることはありません。
草原、森、砂漠、洞窟、塔、街、城、神殿。
この世界にはたくさんのフィールドが用意されています。
何処に向かうかは貴方の自由です、心の赴くまま思う存分冒険しましょう!
戦略性の高いバトルシステム
オクトパストラベラーの大きな魅力のひとつであるバトルシステム。
スクウェア・エニックスといえばATB(アクテブタイムバトルシステム)だと思ってたのですが、意表をついてのターン制バトルの採用です。
ターン毎に素早い順で行動を行うのですが、各職業毎のアビリティや奥義によって追加アタックや行動順を早めたりでき一筋縄では行きません。
さらに「コマンドブースト」「ブレイク」による戦略性をもたせたシステムにより、より奥深く読み合いになる駆け引きに富んだ興奮のバトルが展開されます。
敵の攻撃能力を知る事により対策を立てることが可能なので、ボス戦などで完膚なきまで叩きのめされて全滅しても、次のバトルはレベル上げ無しでも互角に戦うこともできます。
ドット絵RPGの戦闘は20年前にやり尽くしたつもりだった筆者ですが、アイディアと戦闘システムの工夫でサイドビューバトルはまだまだ新鮮に、そして面白く進化できるんだと感動しました。
自由な成長システム
戦闘を重ね、EXP(経験値)とJP(ジョブポイント)を獲得していきます
EXPが溜まるとレベルが上がりJPが溜まると任意でアビリティを解放していく事ができます。
アビリティは職業毎にどれも癖のある物ばかりで覚えたアビリティによって戦略の幅が多岐にわたり増えていくのが快感です。
一度解放するとJPは戻ってはこないので、どのアビリティを解放するかはよく考えて行いましょう。
アビリティを7つ解放すると奥義を修得する事ができます。
奥義はどれもとてつもない威力ですが、BP(ブーストポイント)を大量消費するのでここぞという時に撃ち放とう!
8人のうちどのキャラを、どの職業につけて、なんのアビリティを解放させるか?
それで何百通りのパーティー編成ができ、貴方だけの戦闘スタイルが出来上がる。
それがオクトパストラベラー成長システムの面白さです。
深く壮大な物語
そしてRPGで最も大切なもの。
それは物語(ストーリー)です。
今回は8人の主人公がそれぞれの目的があるのにも拘らず、仲間として助け合いながら長い旅を続けていきます。
ある物はとてつもない業を背負い、ある物は胸いっぱいの夢を秘めています。
旅先での様々な人々との出会い、初めての街やその風景、その一つ一つの経験が主人公たちを成長させ、プレイヤーである貴方を感動させるでしょう。
プレイしていてその物語を彩る演出の素晴らしさに本当に驚かされました。
雰囲気を盛り上げるBGM、ゲーマーの期待を裏切らない王道的、且つ想像を裏切る思いがけぬ感動的な展開が次々と繰り広げられます。
セリフひとつ取っても全てが素晴らしく、まるで魂を揺さぶられるかの様な感動を味わえます。
幾度となく挫折して、それでもなお、立ち上がり前に進む主人公たち。
その熱き想いと深い愛にきっと貴方も涙することでしょう。
演出、BGM、セリフ全てにおいて、これほどまでに高い水準で纏まっているRPGもなかなか無いと思います。
ここではない異世界での果てしない物語を綴った、一冊の本を読むつもりでゲームのスイッチを押してください…
最後に…
古き良きドット絵RPG…
それがレトロゲームとしてではなく、最新の技術を駆使した次世代ゲームタイトルとして発売されました。
オクトパストラベラーはドット絵全盛期の時代に散々RPGをプレイしてきた筆者の様な世代のゲーマーには懐かしくて堪らない体験を、ドット絵の時代を知らない若いプレイヤーには経験した事のない新しい体験をもたらしてくれるでしょう。
筆者もどっぷりとハマり、8人の主人公をのストーリーをすべてクリアしました。
総プレイタイムは最終的に100時間を超えていました。
最終的に全世界で絶賛され、驚くほど売れた事でこのゲームがただの懐古的な魅力だけに止まらず、これからのRPGの新しい方向性を創り出した事が証明されました。
このタイトルの誕生によってここ数年元気のないJRPGがまた息を吹き返す事を望みます。
今回は『OCTOPATH TRAVELER』の紹介でした。
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