『Ys(イース) セルセタの樹海:改』は2019年5月16日に日本ファルコムからPlayStation4用ソフトとして発売されたアクションロールプレイングゲーム。
オリジナルは同社が2012年にPlayStation Vita用ソフトとして発売した『Ys(イース) セルセタの樹海』。
本作はリメイクされるに当たり、HDリマスター、60FPS、高音質化されている。
イースシリーズ
『イースシリーズ』とは冒険家アドル=クリスティンを主人公としたARPGシリーズである。
2019年5月現在でナンバリングタイトルは8作、その他にもたくさんのリメイクや派生タイトルも発売されており、シリーズの累計売上は2017年時点で480万本に達している。
30年以上に渡って続くファルコムの看板作品となっているタイトルである。
当時マニア指向の強かった“アクションRPG”をゲームの代表的ジャンルへと一気に飛躍させ、後のアクションRPGブームの先駆けともなった。
イース セルセタの樹海
ファルコムの看板シリーズ「イース」の第4作目はアドルが10代の時に体験した2度目となる大きな冒険を綴った冒険日誌『セルセタの樹海』を原点とした物語となっている。
これまでにこの冒険記を原点としたタイトルはライセンシーより『イースⅣ The Dawn of Ys』(1993/ハドソン)、『イースⅣ MASK OF THE SUN』(1993/トンキンハウス)の2作品が発売されたが日本ファルコムの自社製品としては本作が初めてとなる。
そのためファルコムは本作を完全新作として開発しており、アドルが記憶喪失になっているなどのこれまでの作品にはなかった新たな設定が設けられている。
ゲームシステムとしては同社の『イースSEVEN』(2009)のパーティーシステムを継承しつつ、より遊びやすく改良されたものを採用している。
2019年にPS4に移植された『セルセタの樹海:改』はHDリマスター、60FPS、高音質化を成されているがストーリー、およびゲームシステムに変更点はほぼ無い。
ストーリー
ゴールドラッシュに沸くロムン辺境の街キャスナン。
鉱員や人足が行き交う中を当ても無く赤毛の青年は彷徨っていた。
「ここはー体どこなんだ? …僕は…誰だ?」
青年の記憶は失われていた。
「おい、アドル、アドルじゃないか!」
不意に声をかけてきた銀髪の男デュレン。
自分を知っているこの男の話によると、どうやら自分の名前はアドル・クリスティンというらしい。
数週間前にアドルは地元の人間も滅多に踏み込むことのない魔の領域と呼ばれる“セルセタの樹海”へ旅立ち、その後消息不明になっていたというのだ。
“セルセタの樹海”で一体自分に何が起こったのか?
何故自分は一切の記憶を失くしてしまったのか?
真相を確かめるため、アドルはデュレンと共に、禁断の地“セルセタの樹海”に再び挑む決意をするのだった──。
ゲームシステム
パーティー
好評だった『イースSEVEN』のパーティーシステムをそのまま引き継いだ戦闘システムはバランスが良く、直感的に操作が可能。
パーティーメンバーの武器属性とモンスターの弱点の相性が存在し、敵により操作するキャラを変更して攻撃をすると効率よく戦闘を進める事ができる。
スキル
戦闘中攻撃を繰り返すとスキルポイントが溜まってゆく。
スキルポイントを使用し、スキル(技)を繰り出す事ができる。
さらに固有の大技としてEXTRAスキルも用意されており、EXTRAゲージが満タンになると任意で発動可能。
クエスト
訪れた町の問題を解決すると、その町で様々なクエストが受けられる様になる。
メインストーリーとは直接関係がないのでスルーする事もできるが、クエストをこなすと様々な報酬が貰える。
クエストは町の掲示板からいつでも受注でき、ストーリーが進むと追加される事もある。
装備強化
武器と防具は鍛冶屋でお金を払う事で、様々な素材と組み合わせ強化できる。
効果は組み合わせた素材により異なり、武器なら攻撃力アップから特殊攻撃の付与まで、防具なら耐性の強化など多岐にわたる改良が可能となっている。
どの様な特性を持った装備にするかはプレイヤーの好み次第である。
記憶
本作でアドルは記憶を失っているが、樹海のあちこちにある“記憶の光”に触れると少しずつ記憶を取り戻していく。
初めは幼少期の記憶など古いものだが、徐々にこのセルセタの樹海で何が起こったのかという物語の核心に迫る記憶を取り戻してゆく。
尚、記憶を取り戻す毎にアドルの能力がアップしてゆく。
クリアしての感想
筆者にとって久しぶりの『イースシリーズ』となった本作であるが、最後までダレずに楽しむ事ができた。
パーティー制となった『イースシリーズ』は初プレイであるが、テンポよくアクションを楽しめる本システムは、初めてプレイする筆者でもすぐに思うがままにキャラを動かせストレスがなかった。
しかし筆者にとってのイースと言えばやはり1人での戦闘というイメージがあり、古くは“体当たり半ずらし”、アクション制が増したとしても“フェルガナアクション”の方がしっくりくるというのが本音だ。
もちろん本システムは『イースSEVEN』で高評価を受けた秀逸なシステムだと言うことは理解しているので、あくまで個人的な好みと捉えて欲しい。
26年前にプレイした『イースⅣ The Dawn of Ys』は同じ『セルセタの樹海』を基としたシナリオであるも旧作である『イースI・IIの続編』という色合いが強かったのに比べ、本作は完全新作と謳っているためか旧作の名残りはほとんどなくなっており独立したひとつのイース作品となっている。
古参イースファンとしてはそれがなんだか寂しいと感じてしまった。
しかしそう言った旧作へのしがらみに囚われなければ本作の魅力的な登場人物、王道的な物語、バランスのとれたシステムとゲームとして素晴らしいものであることは間違い無い。
そして最後に忘れてはいけないのが、ファルコムといえばその秀逸なサウンドだ。
今作も思わず唸る名曲ぞろいであり、サントラ購入必須だ(笑)。
少し不満点も述べてしまったが、旧イースを忘れられない古参ファンの戯言と聞き流して欲しい(笑)。
本作は間違いなく高水準でまとまった、さすが本家ファルコムの完全リメイクと言える作品なので『イース』ファン、ARPGファンにはぜひ遊んで欲しいタイトルである。
今回は『Ys(イース) セルセタの樹海:改』の紹介でした。
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