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【邪聖剣ネクロマンサー】PCエンジン初のRPG!グロさと美しさが共存するダークファンタジー!【PCエンジン・ハドソン・レビュー】

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『邪聖剣ネクロマンサー』は1988年1月22日にハドソンよりPCエンジン用ソフトとして発売されたロールプレイングゲーム。

PCエンジン初のRPGソフトであり、当時コンシューマ機としては最高の同時発色数を謳ったPCエンジンの機能を駆使し、内臓や死体などを模したモンスターがリアルに描かれたダークファンタジーの世界観が話題となった。

テレビCMでのキャッチフレーズは「夜、一人では遊ばないでください」。

 

待望のPCE初のRPG

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1988年10月に発売されたPCエンジン(以後PCE)。

当時家庭用ゲーム市場で圧倒的なシェアを誇っていたファミコンに対抗して開発されたPCEはそれまでのゲームハードの常識を覆す高速・高性能で話題となった。

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そのスペックを生かし、PCE発売初期の段階ではアーケードゲームの移植を中心にACTやSTGのタイトルが発売されていた。

しかし当時はRPGブームの真っ只中。

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この高スペックハードで満を辞して発売された初のRPGである本作は、ゲームファンたちの間で大きな話題となった。

 

ストーリー

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かつて神々と悪魔が何千年にも渡る戦いを繰り広げていた時代。

悪魔との戦いを終わらせるために神々が生み出した、邪聖剣ネクロマンサーと呼ばれる巨大な力を秘めた剣を使い、神は悪魔との戦いに勝利を収めた。

時代は移り変わり、世界は再び闇に包まれようとしていた。

魔空王アザトースの元に集結した復活した魔物の軍勢の攻撃により、イシュメリア王国は滅亡寸前であった。

魔物により殺害された国王の最後の言葉を受け、旅の勇者である主人公は魔空王アザトースの討伐に必要となる神々が生んだ武具、邪聖剣ネクロマンサーを求めて王国を発った。

 

リアルなグラフィック

PCEの性能をフルに活かした本作は、今までのファミコンのグラフィックに比べ圧倒的なほどリアルに描かれており、初めてプレイした者は息を呑むほどであった。

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高精細に描かれる世界は、草原・山岳地帯・海原と素晴らしく美しく思わず見惚れてしまう程だった。

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そして戦闘シーンでは敵モンスターがアニメーションする。

ボスだけでなく雑魚モンスターもしっかりと動くその様子は、当時のRPGとしては非常に珍しく画期的であった。

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内臓や死体を模したグロテスクな造形をしたモンスターが多く、さらに撃破されると血飛沫をあげて倒れる演出は衝撃的であり、当時大きな話題となった。

 

劣悪なゲームバランス

本作のゲームバランスはかなり酷い調整となっており、グラフィックや演出、BGMなどが秀逸だった分それが悔やまれる。

仲間キャラの能力格差

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ゲームスタート時に5人のキャラクターから2名を選んで3人パーティーでの冒険となるのだが、この5人の能力にあまりにも開きがあるにも拘らず一度決めたら変更できない。

ここで弱いキャラを入れてしまうと、ただでさえ難易度の高い本作はクリアするのが不可能に近いレベルまで上がってしまう。

異常なエンカウント率

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エンカウント率の高さにおいては、他に類を見ないレベルの極悪な設定となっている。

序盤からエンカウント率は高いが、最終ダンジョンにもなると最早常軌を逸してるレベルであり、「戦闘後に一歩動いたらまた戦闘」といったことが当たり前のように起こる。

強すぎるモンスター

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モンスターの強さが非常に高い。

雑魚モンスター相手でも即死する事はザラであり、ほんの少しの戦略ミスや不運であっという間に全滅する。

必死にレベルを上げ、その地域で買える最高の装備を整えて初めて互角に戦えるようになる。

そこまで強くなり、なんとか次の地域に行くとモンスターの強さ設定が何段階も跳ね上がりまた全滅ばかりの洗礼を受ける。

高価な装備品

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上記の理由により、仲間全員の最高装備の購入は必須と言えるほど重要なのだが、お店で販売されている武具の値段設定がべらぼうに高い。

その為、装備を購入するのに必要なお金を貯めるのに熟さなければならない戦闘数がかなりの回数に登りかなり面倒くさい。

それでいて、武具によるステータスの補正数値が極端に高い為、装備を整えるのを避けて通るのは難しい。

パスワードが長すぎる

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本作はパスワードによるゲームの中断・再開ができる様になっているが、このパスワードの文字数が非常に長い。

パスワードで苦戦するゲームとして有名なタイトルと言えば『ドラクエⅡ』が真っ先に挙げられるが、あの『ドラクエⅡ』ですらひらがなで最大52文字である。

本作は最大64文字と『ドラクエⅡ』を12文字もうわまる上、ひらがな・カタカナ・英語・数字が入り乱れており、ゲームパスワード史上最高の難易度と言われている。

スマホなど無い時代のためパスワードは自らノートなどに書き写すしか方法がなく、パスワードの入力と記録だけで20分ほど時間を要する事もあった。

 

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衝撃的なエンディング(ネタバレ)

当時はおどろおどろしい世界観であるダークファンタジーを描いたRPGは少なかったが、本作のエンディングはさらに陰鬱であった。

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魔空王アザトースを倒し王国に平和を取り戻した主人公は、その強力な力を秘めた邪聖剣ネクロマンサーが人々の欲望を煽り新たな争いを生みかねないことを危惧し地中深く封印して王国から去ってゆく。

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そしてフタッフロールが流れた後、不気味な顔が現れ神々をも持て余す力を持った邪聖剣ネクロマンサーに対する警鐘の弁を語る。

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そして何者かが土を掘り起こし、剣を発掘している描写でゲームは幕を閉じる…。

人間は欲望に勝てずに、暗黒の歴史は繰り返すという事を示唆する衝撃的なエンディングとして、今でも語り草になっている。

 

筆者と『邪聖剣ネクロマンサー』 

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筆者が初めて本作をプレイしたのは小学生の頃です。

RPGブームだったこの頃、同級生たちの間でも「PCEでRPGが出たぞ!」とかなり話題になりました。

友達が遊び飽きた頃に、ソフトを借りる事ができ早速プレイしました。

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美しいグラフィックで描かれる、おぞましいモンスターに魅了され、その世界観にすぐにハマりました。

しかしその難易度の高さに大苦戦し、最後は立て続けにパスワードを間違い、心が折れてプレイ半ばにして挫折してしまいました。

という訳でクリアこそしていませんが、その衝撃的な描写・演出と独特の世界観は脳裏に焼き付いており、今でもはっきりと思い出せます。

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2004年に発売された携帯アプリ版の『邪聖剣ネクロマンサー』が30万ダウンロードもされ、20年以上経った2009年に続編が発売されている事を鑑みるに、筆者だけではなく当時のゲーマーたちの心に深く刻み込まれたタイトルとなった事は容易に想像できます。

今回はPCE初めてのRPG『邪聖剣ネクロマンサー』の紹介でした。

 

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