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【ドラゴンクエストⅡ 悪霊の神々】勇者の伝説が再びよみがえる──。空前のドラクエブームの火付け役となったシリーズ第二弾!【ファミコン・エニックス・レビュー】

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『ドラゴンクエストⅡ 悪霊の神々』は1987年1月26日にファミリーコンピュータ用ソフトとしてエニックスより発売されたロールプレイングゲーム。

略称は『ドラクエ2』。
1988年にMSX・MSX2に移植されたのち、1993年には『ドランゴクエストⅠ・Ⅱ』としてSFCにてリメイク版が発売された。

 

 

ドラゴンクエストⅡとは

ジワジワと売れていった前作『ドラゴンクエスト』に比べ、その下地を活かして発売当初から爆発的にヒットとなったRPGである。 

ちなみに前作の「1」の発売の僅か8か月後にこの「2」が発売されている。

今では考えられない驚異の開発速度だ。

 

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タイトルロゴの「II」のデザインは、盾を模したものとなっている。

本作の時代設定は前作『ドラゴンクエスト』から100年後である。

本作の主人公たち3人は勇者ロトの血を引く前作の主人公の子孫たちであり、主人公・ローレシアの王子は、まず仲間のサマルトリアの王子とムーンブルクの王女を見つけ、そして3人で力をあわせて悪の大神官ハーゴンに立ち向かう。

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家庭用ゲーム機のRPGとしては初めてパーティ制の導入となり、システムも前作より簡略的で分かりやすくなった。

前作と本作、後に発売された『ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…』の3作はストーリーの関連があることから、後に登場する英雄「ロト」の名を取って「ロト三部作」と呼ばれるようになった。

 

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フィールドマップの広さは、前作(100×100)の6倍以上(256×256)となっており、冒険できる範囲が広がり、徒歩だけでなく、船に乗ったり、「旅の扉」で遠隔地へ瞬時に移動したりすることも可能となった。

またビジュアル面では海岸線や壁などに代表されるグラフィックが強化されたほか、使用している楽曲数も増加されている。

前作『ドラゴンクエスト』は面白さが口コミで広がり最終的にミリオンセラーになったが、今作は発売前から期待が高まり売り切れ続出、実質ドラクエブームの火付け役となる。
最終的に241万本を売り上げ前作を上回る大ヒットとなった。

これはファミコンソフト全1252本の中でも6位の歴代記録である。

 

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あらすじ 

『ドラゴンクエスト』において、アレフガルドを恐怖に陥れた竜王は勇者ロトの血を引く勇者によって倒され、それ以降、世界は平和な時代が続いた。

勇者は、ラダトームの姫であったローラとともに新たな地を訪れ、国を築く。

国号は妻の名を採って「ローレシア」とされた。

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その後、国はローレシア、サマルトリア、ムーンブルクという3つの王国に分割され、勇者とローラがもうけた3人の子供とその子孫が各国を治めていった。

本作はそれから100年が経ち、平和が破られた後の物語である。

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ムーンブルク王国の城が邪教の教祖大神官ハーゴンの手先によって滅ぼされ、ムーンブルクから脱出した1人の兵士がローレシアにたどり着く。

兵士はハーゴンのことをローレシア王・王子に伝えるとその場で息絶える。

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サマルトリアやローレシアがハーゴンの手に落ちてしまうのを阻止するため、ロトの末裔であるローレシアの王子(主人公)が、ハーゴン討伐のためローレシアを旅立つ。

 

勇者ロトの末裔

ローレシアの王子

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ムーンブルク兵の命がけの報せを受け、父である王からハーゴン討伐へと送り出された。服の色は青を基調とし、頭に頭巾とゴーグルを着用。

攻撃力とHPが高く素早さも十分にあり、全ての武器・防具を扱えるが、呪文は一切使えない。

 

サマルトリアの王子

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ローレシアの王子を探して旅立ったが、のんびり屋で寄り道好きな性格。

頭にはヘッドギアとゴーグルを着用。

相手を即死させるほどの大ダメージを与える「ザラキ」や死んだ仲間を復活させる「ザオリク」などの呪文を覚える。

 

ムーンブルクの王女

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ムーンブルク城はハーゴンの軍勢によって壊滅しており、彼女も行方不明となっている。

白いローブに赤紫の頭巾をかぶっている。

攻撃力とHPは低く、扱える武器の種類も少ないが、唱えられる呪文の種類が豊富でMPと素早さが高い。

呪文による後方支援を専門としており、今作での最強攻撃呪文「イオナズン」、味方1人を全快させる回復呪文「ベホマ」などを覚える。

 

ゲームシステム

パーティー制

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前作は主人公1人だけで冒険をするシステムであったが、本作では複数人のキャラクターが集団で行動するパーティーシステムを採用し、最終的には3人パーティーとなる。

3人は能力の成長の仕方、覚える呪文、装備できる武器などが異なる。

 

ダンジョン

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ダンジョンとして前作の『洞窟』のほかに『塔』が登場しており、地下に降りていく洞窟ダンジョンと、上層へ登っていく塔ダンジョンに分かれている。

本作における塔は、外縁又は吹き抜けから落ちることで地上に脱出したり、下階に移動したりできる。

 

船の導入

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本作では移動手段が徒歩だけでなくなり、ほかの移動手段が追加された。

シリーズで初めての乗り物として、水上を移動することができる船が登場した。

フィールド上から主人公たちが乗り込むことによって、水上を移動することができる。

地上同様、水上でもモンスターとの戦闘が発生し、水上のみ出現するモンスターもいる

 

戦闘

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本作ではパーティーを組んでいる主人公一行に対して、敵も徒党を組んで襲い掛かってくる。

同じ敵モンスターが複数集まりグループを組んでいる場合もあり、同じモンスターの集団に対しては通常攻撃(たたかう)では通常一体ずつしか攻撃できず、攻撃呪文にはグループ全員や敵全員を攻撃する効果を持つものもある。

 

発売前からお祭り騒ぎ

前作の人気を受け、発売直後から方々で品切れが起こり、最終的に大ヒットとなった本作。

おもちゃ屋さんでは予約が相次ぎ、発売日に入手できないどころか、第二次入荷でも買えないゲーマーが続出した。

販売戦略により堀井雄二がメンバーの1人である為、最先端の情報を載せる事ができるファミコン神拳が人気で週刊少年ジャンプの売り上げに貢献した。

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「ファミコンマガジン」や「ファミコン通信」などのファミコン情報雑誌でも軒並み特集を組まれ購買欲を煽る戦略は見事に成功し、ユーザーはその発売日をいつかいつかと心待ちにしていた。

 

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前評判を超える面白さ!

いざ発売されプレイするとその期待以上のクオリティに驚愕した。

これまでのRPGとは比べ物にならない冒険感に溢れる旅路!

まるで本当にこの世界の勇者になったような気分でゲームを遊んだものだ。

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その面白さは子供だけでなく、大人たちも巻き込んでの一大ブームとなった。

学校では毎日ドラクエⅡの話題で持ちきりである。

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クラスで友達から仕入れた情報を家に持ち帰り、新たな冒険に旅立つ。

ドラクエⅡが発売されてから暫くはそんな毎日が続いていた。

 

恐怖の魔窟ロンダルギアへの洞窟

そんな大ブームとなったドラクエⅡですがひとつ大きな問題があった。

それは難易度がとても高かったという事である。

冒頭でも触れた通り、今作は前作『ドラゴンクエスト』の発売から僅か8ヶ月後のリリースとなった。
細かなバランス調整やデバッグに掛ける時間がかなり足りなかったのかも知れない。

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まず魔物がかなり強めに設定されており雑魚敵でも油断すると全滅させられることが多々ある。

「メガンテ」や「ザラキ」を多用してくる魔物や、高確率で「甘い息」を吐き続ける魔物など、かなり手強い魔物が雑魚キャラとして多々登場し苦戦をさせられた。

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しかしまだ強い魔物だけならレベルを十分に上げることで時間は掛かるが対処は可能だった。

それよりも厄介な問題はロンダルギアの洞窟と呼ばれるダンジョンだ。

魔王が住む最終決戦の地へと赴く為に必ず突破しなければならない試練の洞窟なのだ。

この洞窟はほぼ最強格の魔物がうようよとしており、とてつもなく広い。

その上ゲーム自体のエンカウント率が高めの設定なので、一度迷うと生きて還ることはかなり難しいダンジョンであった。

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高レベルであってもちょっとしたミスや不運が重なるとすぐにパーティーが全滅の憂き目に遭う超高難易度ダンジョン。

しかも至る所に仕掛けられた落とし穴により、せっかく奥まで進んでもすぐに入り口付近に戻されるという慈悲のないトラップ。

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なんとか落とし穴フロアを突破しても、次は無限回廊と呼ばれるフロアが待ち受けている。

無限回廊とは無数の分岐点をひとつも間違わずに、全て正しい道順通りに歩かなければ延々とダンジョンを彷徨う事になる鬼畜の如き“まやかしの回廊”だ。

一切妥協のない凶悪な魔物とトラップがプレイヤーの行く手を阻む。

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インターネットも無く、攻略本も発売より1ヵ月くらい経たなければ出ない時代。

このダンジョンでクリアを諦め、挫折したプレイヤーはかなりの数に上ると言われている。

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筆者もロンダルギアの洞窟では数え切れないほどの全滅を繰り返した。

何度か諦めかけたが挫けずチャレンジを繰り返し続け、とうとう洞窟を突破してロンダルギアの大地を踏みしめる事ができた。
雪が積もる真っ白なロンダルギアの景観を目にした時の感動は今でも忘れられない。

 

最強の敵「ふっかつのじゅもん」

しかしこのゲーム最大の難関はロンダルギアの洞窟ではない。

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最後のボス、ありとあらゆる魔術を使いこなす大神官ハーゴンでもない。

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古の封印を解かれ世界を滅ぼすために生まれた破壊神シドーでもない。

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それは最大52文字からなる恐怖のシステム「復活の呪文」である!
この時代セーブと言う機能は無く、ゲームを中断する時は王様に復活の呪文を教えて貰い、その呪文をプレイヤーはジャポニカ自由帳などに書き写してからファミコンの電源を切る。

そして次回ゲームの続きを開始する際にはその復活の呪文を打ち込む事で、中断した状態から始められるというパスワードによるコンティニュー仕様だった。

パスワードはドット絵で表現された平仮名。

しかもこの時代のテレビはみんなブラウン管というとても解像度の低いモニター。

さらに一般家庭でのテレビのサイズも20インチくらい。

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そんな劣悪な環境では「ぬ」と「め」も、濁音と半濁音ですら、見分けるのはかなりの難易度だ。
もちろん写真機能付きのスマホどころか、携帯もデジカメも無い時代、最新のカメラは「写ルンです。」だ。

知ってますか?「写ルンです。」を(笑)。

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という訳で写メで保存も勿論出来ない。

子供たちはこの52文字をゲームを中断する度にジャポニカ自由帳などに書き写します。
しかし所詮は子供のやることであり、至る所で書き写し間違いが発生。

その日頑張って上げたレベルや進めた冒険がしょっちゅう無かった事にされた。
そんな惨劇がこの時日本各地で起こっていたのた。
そんなエニックスからの挑戦とも言える仕打ちを乗り越え、不屈の闘志で何度も立ち上がり、最後までクリアしてエンディングを見た時にプレイヤーは知る…。

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このゲームの最強の敵はハーゴンでもシドーでもなく、ブラウン管に表示される「じゅもんが ちがいます」のメッセージである事を。

 

最後に 

最後になりるが色々と難易度が高過ぎたり復活の呪文の悲劇など、様々な問題も孕んでいた本タイトルではあるがなんだかんだ言って屈指の名作だと言えるだろう。

本作があったからこそ、後に社会現象まで巻き起こす事になるあの伝説のJ-RPG『ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…』が生まれたのだ。

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最近ではPS4やSwitch、スマホアプリでもリメイク版のドラゴンクエスト ロト三部作が発売されている。

若いゲーマーの方などは平成に入ってから発売されたシリーズはプレイしていても、ドラクエ1~3あたりは未プレイの方も居るのではないだろうか?

初代ドラゴンクエストが発売されてから既に34年の年月が経過してるのだから十分にあり得る話だ(2020年現在)。

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ドラゴンクエストシリーズは老若男女を問わず楽しむことができる日本を代表するRPGだ。

まだロト三部作を体験していない若い世代のゲームファンにこそ、この昭和に熱狂を生んだ伝説のゲーム『ドラゴンクエスト』を遊んでみて欲しい。

今回は『ドラゴンクエストⅡ 悪霊の神々』の紹介でした。

 

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