『いっき』は1985年11月28日にサンソフトよりファミリーコンピュータ用ソフトとして発売されたアクションゲームである。
オリジナルは同社が開発し、ナムコが1985年7月に稼働させたアーケードゲームであるが、移植作品であるファミコン版の方が遥かに知名度が高い。
本作こそ「クソゲー」という言葉の語源となったと称される伝説のタイトルである。
2010年にまさかのオンライン化により『いっき おんらいん』としてPS3にて配信されゲーム界を震撼させた。
『いっき』とは
ファミコン黎明期に颯爽と登場した「おバカゲーム」の代表作。
後述する様々なおバカ要素のために、ゲーム史上初めて「クソゲー」と呼ばれ「クソゲー」の語源ともなった伝説のタイトルである。
確かにおバカな要素がてんこ盛りで「クソゲー」という呼び名の第1作目ではあるが、トップビュー視点・多方向スクロールのゲーム性は現代でも通用するシステムであり、実はそこまでクソゲーでは無かったというのが後の世の評価だ。
しかし「クソゲー」という言葉を生んだその偉業を讃え、敢えて本記事では「クソゲー」として取り扱うことをご理解頂きたい(笑)。
愛すべきおバカ要素
それでは本作のどの辺が「おバカゲーム」なのかを挙げてみようと思う。
細かく挙げてゆくとキリがないのでいくつか有名な“おバカ要素”をピックアップして紹介する。
たった2人で一揆
本作のストーリーは、重い年貢に耐えかねた農民の“権べ”と“田吾”が たった2人で一揆を起こし、悪代官の住む武家屋敷に乗り込むというものだが、「そもそも一揆って1~2人で起こすもんじゃないだろw」と言う理由で本作のイラストを手がけた「みうらじゅん」自らが「クソゲー」と呼んだのが語源だと自認している。
「竹やり」が役立たず
ゲームスタート時、主人公の武器は「鎌」である
「鎌」は自動で一番近い敵に飛んでゆく遠隔武器だ。
ゲーム中に拾える上位武器である「竹やり」がある。
「竹やり」は攻撃範囲が前方だけとなっており、さらに攻撃範囲は至近距離のみと、上位武器のはずが逆に弱体化してしまう。
お邪魔キャラがおもしろい
基本的に敵キャラは忍者であるが、たまに出現するお邪魔キャラが曲者である。
そのお邪魔キャラである幽霊に憑依されると、しばらく鎌を投げられない状態になる。
もう1人のお邪魔キャラはたらこ唇が特徴の「腰元」。
コイツに抱き付かれると、しばらく移動できない状態になる。
これらのお邪魔キャラは厄介なだけでなく妙に印象的であるためトラウマになったゲーマーも多い(笑)。
いっき おんらいん
FC版『いっき』が発売された25年後である2010年6月29日に『いっき おんらいん』としてまさかのオンライン化リメイクが成された(笑)。
PS3でダウンロード専用タイトルとして発売された本作はオンラインによる協力プレイにて最大12人で一揆を起こせるようになり大幅にパワーアップしている(それでも一揆としては百姓が少な過ぎw)。
本作は大人になってから大人数でまた『いっき』ができることに感動したおっさんゲーマーたち間での大きな話題となった(笑)。
最後に
元祖「クソゲー」として歴史に名を遺した本作であるが、たんなるクソゲーにとどまらず、オールドゲームファンに愛された名作でもある。
その証拠に2010年には前述した『いっき おんらいん』がリメイクをされ、翌年2011年には本作品の関連BGMを余すことなく収録したサウンドトラック『いっき おんらいん 音楽集 聴いてくんさい』もリリースされた。
極め付けは2013年に『いっき THE LEGEND OF TAKEYARI MASTER』というバカバカしいタイトルでまさかのライトノベルが刊行されたりと、21世紀を迎えてもその底知れぬ魅力は未だ健在である。
プレイヤーに愛された『いっき』の「権べ」は後に同社から発売された『アトランチスの謎』に主人公の師匠役として登場するなど開発陣にも可愛がられている(笑)。
例え「クソゲー」認定されても、本作のように笑いと共に人々の記憶に刻み込まれたタイトルは“ある意味名作”と言って良いと筆者は思う。迷作とも言えるが…(笑)。
今回は「クソゲー」の語源となった伝説のタイトル『いっき』の紹介でした。
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