『FIRE EMBLEM 風花雪月(ファイアーエムブレム ふうかせつげつ)』は2019年7月26日にSwitch用ソフトとして任天堂から発売されたシミュレーションロールプレイングゲーム。
30年続く人気シリーズの第16作目であり、完全新作としては4年ぶり、据え置き型のハード用ソフトとしては12年ぶりのタイトルである。
『ファイアーエムブレム』シリーズとは
1990年にFCで第1作目となる『暗黒竜と光の剣』が発売されたSRPGシリーズであり、戦略シミュレーション(SLG)にロールプレイング(RPG)の物語性と成長システムを組み込んだSRPGの草分け的タイトルである。
『暗黒竜と光の剣』は同じく任天堂から1988年にFDSで発売された『ファミコンウォーズ』のゲームシステムをベースに、各キャラクターに異なる顔グラフィックと特性、経験値による成長などRPG要素を取り入れ開発された。
大ヒットした本シリーズはその後任天堂の看板タイトルのひとつとなり、最新作『風花雪月』を含みシリーズは16タイトル発売されている。
『ファイアーエムブレム 風花雪月』とは
『風花雪月』は完全新作としては3DSの『if』以来4年ぶりであり、据え置き型ゲームハード用ソフトとしてはWiiの『暁の女神』以来12年ぶりになるファン待望の新作タイトルだ。
本作が過去のシリーズと異なる点としては、ストーリーが二部構成となっており、前半の士官学校編で選んだ3学級によって、後半の戦争編のストーリーが変化するというのが最大の特徴となっている。
激動の時代を生きる若者たちの成長と共に、フォドラ全土を巻き込む戦乱のきっかけから結末までを描く壮大な物語である。
舞台となるフォドラ
遥か太古より在りし地、フォドラ。
天上より女神の見守るといわれるその大地は、三つの勢力によって統治されていた。
千年以上の歴史を持ち、大陸の南半分を支配する「アドラステア帝国」。
寒冷な北の大地を、王と騎士たちが治める「ファーガス神聖王国」。
そして大陸の東側で、王を戴かず有力貴族による共同体を成す「レスター諸侯同盟」。
かつては戦乱の嵐が吹き荒れたフォドラも、今はこの三国の均衡により、平穏が保たれているかのように思えた…。
ストーリー
二部構成となる本作の第一部では、傭兵であった主人公がとある切っ掛けで「ガルグ=マク大修道院」に併設された士官学校の教師となることになる。
修道院には3つの学級があり、主人公はその中の1つの学級を受け持ち、彼らが一人前の騎士として育つよう指導する。
主人公が選んだ学級に応じて、異なる歴史の物語が展開されていくことになる。
3つの学級から1つを選び生徒を育てる
黒鷲の学級
アドラステア帝国出身者が集う「黒鷲の学級(アドラークラッセ)」。
級長は次期皇帝のエーデルガルト。
蒼獅子の学級
ファーガス神聖王国出身者の学級「青獅子の学級(ルーヴェンクラッセ)」。
王子ディミトリが級長。
金鹿の学級
レスター諸侯同盟出身者からなる「金鹿の学級(ヒルシュクラッセ)」。
級長のクロードは、同盟のリーダー格である名家の出身。
第1部:学園編
受け持ったクラスを指導しつつ、「課題出撃」と呼ばれる月末のイベントをこなし、フォドラにおける現状を把握していく。
舞踏会、合唱祭、武術大会などの学園ならでのイベントも多数発生し、青春を謳歌しながら生徒たちと親睦を深めてゆく。
終盤では“炎帝軍”と“闇に蠢く者”などの不穏な組織の存在が明るみになり、その陰謀を阻止するため生徒たちと共に活躍してゆく。
第1部では戦いはあるものの学園生活での授業の一環などの場合が多く、悲惨な展開にはならない。
第2部:戦争編
第1部のラストで大きな怪我を負い、主人公は5年間の時を肉体修復に費やすことになる。
5年後、フォドラは戦乱の世を迎えていた。
久方に再開した教え子たちは大きく成長しており、中には別人のように逞しくなった者もいる。
彼らと共に戦争を生き抜き、フォドラの覇者となる者に導く物語となる。
第2部は学園編とは打って変わり、たくさんの人々が死んでゆくハードな展開が繰り広げられる。
風花雪月
本作は第1部で選択したルート分岐によって「翠風の章」「紅花の章」「銀雪の章」「蒼月の章」の4つシナリオに分かれる。
見てわかる通り、この4つを組み合わせて本作のサブタイトルとなる『風花雪月』となる。
4つ全てのルートを知ることにより、本作の真の物語を深く理解できるようになっている。
システム
主人公
プレイヤーの分身である主人公は男性と女性のどちらかを選択することができる。
大筋の物語に変わりはないものの、一部生徒との相性や結婚イベントの相手などで違いがある。
難易度
本作には「天刻の拍動」と呼ばれる行動を巻き戻せるシステムが実装されている。
難易度も「ノーマル」と「ハード」から選択することができ、高い難易度が特徴であったシリーズの中でもかなり難易度は低いタイトルである。
さらに『ファイアーエムブレム』といえば一度死んだキャラクターは生き返らないというのが特色であり難しいと言われる所以であったが、本作には「カジュアルモード」が存在し、こちらを選ぶとやられたキャラクターは撤退扱いとなり次の戦いには復活して参戦できる。
もちろん手応えのある難易度を望むプレイヤー向けに従来通りのシステムである「クラシックモード」も用意されている。
結婚イベント
物語の終盤、主人公は意中のキャラクターと結婚することが可能である。
異性との支援レベルを最大値であるSまで上げると結婚することができるというシステムであり、過去作にも存在していた。
結婚相手(もしくは独身を貫く)によってエンディングの後日談が変化する。
フルボイス&一枚絵による感動的なワンシーンを拝めるので、推しキャラがいる場合結婚イベントは外せない(笑)。
魅力的なキャラクターたち
本作を語る上で外せないのは男女ともに個性豊かで魅力的なキャラクターが多数登場することであろう。
たくさんの出逢いと別れの物語の中、きっとお気に入りの1人と巡り会えるはずだ。
その中でも筆者の一推しはイングリットであり、その凛々しくも可愛らしい姿にメロメロになった。
イングリットの勇姿を見たいがためにいつも良いところで使っていたら最終的には我が軍最強のペガサスナイトに成長していた(笑)。
最後に
筆者はFCの『暗黒竜と光の剣』でSRPGを初めてプレイした。
魅力的なキャラクターに感動的な物語、奥深く戦略性に富んだシステムにハマり、幼いながらも夢中でやり込んでクリアしたのは今でも憶えている。
その後もいくつかシリーズ作品をプレイしたが、すべて文句なしで楽しく完全に『ファイアーエムブレム』シリーズのファンとなった。
しかし基本据え置き機でのプレイが好きな筆者は、シリーズが携帯機での発売を主軸にしてからは10年以上離れる事となる。
今回12年ぶりに据え置き機であるSwitchで新作が出たので発売日に購入。
久しぶりの『ファイアーエムブレム』を満喫して一気にクリアした。
BGM・キャラクター・戦闘システムなど、どれを挙げても素晴らしいクオリティーであった。
ただあくまで個人的な好みの話になるが、第1部の学園編はちょっとファイアーエムブレムっぽくなくて馴染めなかった。
青春しながら食事をしたり、お茶会をしたりは筆者にとっての『ファイアーエムブレム』のイメージとは少し違った。
そして純粋に学園生活での育成モードが面倒くさく感じてしまった事もある。
しかし育成システムとしては秀逸であり、学園生活を過ごしたからこそ第2部でかつての友たちと戦わねばならぬの展開に重みを増すので、概ねプレイヤーには好評だったらしい。
最新システムに着いていけない古参ゲーマーの戯言だと思って許して欲しい(笑)。
第2部の戦争編に入ると、物語は加速的に血生臭くなり、これぞ『ファイアーエムブレム』という様な熱い展開が連続する。
テンションの上がった筆者はそのままクリア!
なんだかんだと言ったが紛れもない名作と言えるお薦めのタイトルである。
今回は12年ぶりに据え置き機での発売となった超大作SRPG最新作『FIRE EMBLEM 風花雪月』の紹介でした!
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