『ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて』は2017年7月29日にPS4・3DS用ソフトとしてスクウェアエニックスから発売されたロールプレイングゲーム。
PS4版は3Dモード・3DS版は2Dモードとなっている。
また、2019年9月27日にはSwitchにて3Dモード・2Dモード両方を搭載し、追加エピソード、キャラクターボイス、オーケストラ音源のBGMなど様々な新要素を携えた完全版が発売された。
本記事に掲載されているプレイ画像はSwitch版のものである。
ドラゴンクエストⅪとは
『ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて』(以後ドラクエ11)はJ-RPGの金字塔『ドラゴンクエストシリーズ』のナンバリングタイトルの11作目である。
MORPGであった『ドラクエ9』、MMORPGであった『ドラクエ10』を経てのシリーズであったが、本作は『1~8』までの様にオフラインゲームに戻っている。
個人的にはやはり『ドラクエ』と言えばオフラインでじっくりやり込むタイトルというイメージが強いのでこれは嬉しい原点回帰であった。
ストーリー
そして勇者は「悪魔の子」と呼ばれた──。
世界の中心に浮かぶ「命の大樹」の恵みにより繁栄する世界ロトゼタシア。
その片隅にあるイシの村で育った少年は、村に伝わる成人の儀式の最中、伝説の勇者の力に目覚める。
祖父の遺言により勇者の生まれ変わりとして旅に出ることになった少年は、デルカダール城へ赴き王と謁見する。
しかし、デルカダール王は勇者を「悪魔の子」と呼び、地下牢へ投獄してしまう。
牢で出会った盗賊の青年カミュと共にデルカダールを脱出した少年は、勇者の真実を知るため広い世界へ旅立つのだった。
勇者とその仲間たち
世界を滅亡から救うため、勇者の元に集う個性豊かな愛すべき仲間たちが、鳥山明のキャラクターデザインにより描かれている。
キャラクターはトゥーンレンダリング処理を施され、アニメ風の作画で広い世界の中を走り回る。
Switch版では全ての仲間キャラには声優が起用され更に魅力的になっている。
主人公:CV斎賀みつき
本作の主人公であり名前はプレイヤーが自由に付けられる。
故ユグノア王国の王子として誕生したが、主要4ヵ国による世界会議が行われた日に魔物の軍勢から襲撃を受け、国共々両親を失うも奇跡的に生き延び、辺境の地イシの村で16歳まで育てられる。
カミュ:CV内山昂輝
ツンツンと逆立った青髪が特徴の盗賊の青年。
義理人情に厚い性格で、宝を求めて世界各地を旅していたことから世情に詳しい。
ベロニカ:CV内田真礼
聖地ラムダ出身の小柄で勝ち気なお転婆娘で、セーニャの双子の姉。
「天才魔法使い」の自称にたがわぬ強大な魔力を駆使した攻撃呪文の使い手。
セーニャ:CV雨宮天
ベロニカの双子の妹。
姉とは反対に清楚でおっとりした性格で、やや天然なところがある。
シルビア:CV小野坂昌也
旅芸人のオネエ系男性。
明るく前向きなムードメーカーで、世界中の人々を自分の芸で笑顔にするという夢を持つ。
マルティナ:CV小清水亜美
長いポニーテールとヘソ出しルックが特徴的な女性武闘家。
実は亡くなったとされていたデルカダール王女。
ロウ:CV麦人
マルティナに同行する老人。
その正体は故ユグノア王国の先代国王で、主人公の実の祖父。
グレイグ:CV小山力也
デルカダール王国の将軍で、黒色の鎧を身に着けている。
無敗を誇る同国随一の武人で、王への忠誠心も誰より強い。
シリーズ30周年記念タイトル
1986年にシリーズ初めてのタイトル『ドラゴンクエスト』がファミコン用ソフトとして発売されてから30年以上が経った。
シナリオを手掛けた堀井雄二によると「過ぎ去りし時を求めて」というサブタイトルはシリーズ30周年の思いを込め、時間を絡めた物語なのでこうなったとのこと。
気づいているファンも多いと思うが、タイトルロゴのバックには初代『ドラクエ1』のタイトルを反転した絵が描かれている。
そのシナリオは名作揃いの『ドラクエシリーズ』の中でもNo.1との呼び名も高く、膨大なボリュームでありながら飽きさせない展開、魅力的なキャラクターたち、張り巡らされた伏線の完璧な回収など凄まじいクオリティとなっている。
シリーズ初のマルチプラットフォーム
これまでの『ドラクエシリーズ』のナンバリングタイトルは「任天堂」か「SONY」どちらかのシングルプラットフォームであったが、本作は初めて「任天堂」「SONY」のマルチプラットフォームでの発売となった。
実は開発当初はPS4でのシングルプラットフォームの予定であった、開発費が嵩んでいった事により採算面で不安視され後から3DS版が追加された経緯がある。
PS4版
PS4版はリアル頭身でのキャラクターであり、背景も高い場所や遠くの場所までが緻密に描かれた3Dグラフィックスでのゲーム画面となっている。
3DS版
3DS版にはキャラクターの頭身は下げられ、マップ描写が簡略化されたディフォルメ表現となった『ドラクエ7』に近いゲーム画面となっている。
こちらにはキャラクターから背景に至るまで全てが、ドット絵で描かれる『ドラクエ3』のような「2D版」モードも用意されている。
Switch版
PS4版・3DS版の2年後に発売されたSwitch版には上記のPS4版の3Dモードと3DS版の2Dモードの2種類が実装され、さらにキャラボイス、オーケストラBGM、追加ストーリーを筆頭にその他多数のシステムが改良・追加となっている。
販売実績
2017年の販売本数はPS4版が134万本(DL版含まず)、3DS版が174万本(DL版含まず)である。
PS4版の134万本は同年のPS4全てのソフトの中で1位であり、3DS版の174万本は『ポケモンウルトラサン&ムーン』の合計本数200万本に次いで3DS全ソフト中で2位。
そして合計308万本は2017年度に発売された全てのゲームの中で堂々の1位である。
さらに2019年にはSwitch版を48万本(DL版含まず)を売り上げた。
DL版を含む全世界での販売本数は2020年現在で550万本となっている。
ちなみに全ナンバリングタイトルの販売本数は下記の通りである。
ドラクエ9:430万本
ドラクエ7:417万本
ドラクエ3:380万本
ドラクエ8:370万本
ドラクエ6:320万本
ドラクエ11(DS&PS4):308万本
ドラクエ4:304万本
ドラクエ5:280万本
ドラクエ2:240万本
ドラクエ1:150万本
ドラクエ10(Wii&WiiU):100万本
最後に
紛れもなくシリーズ30周年を謳うのに相応しい作品と言える完成度である。
難易度はかなり低めになっているため手強いRPGを求めるプレイヤーには少し手応えがなさすぎると思うが、本来『ドラクエ』はRPG初心者も楽しめる設計というのがシリーズの方針であるのでこれで良いと筆者は思う。
ひとつ気になる点としては、本作はラスボスを倒しエンディングを見てから隠し要素の第3部をプレイできるのだが、この隠し要素こそが、それまでの全ての伏線を回収し物語の核心へと迫るクライマックスである。
その第3部で対峙するラスボスを倒して迎える真のエンディングは、本作最大の見どころであり『ドラクエ11』を紛れもない名作へとした演出なのだが、第2部をクリアすると一旦エンディングを挟み、物語もとりあえずの完結を迎えるため、そのまま第3部をプレイせず(もしくは存在に気付かず)にそこでやめてしまうプレイヤーが少なからずいる事が残念である。
通常エンディングまででも十分に面白いのだが、やはり第3部の展開を知らずして本作を終了してしまうのはあまりにも勿体ない。
個人的には第3部は隠し要素にせずしっかりと本編に組み込む方が良かったと思う。
しかしちゃんと第3部までプレイするならゲームとしての全ての要素が高クオリティであり、『ロト三部作』からプレイしている古参ファンにも、本作が初めての『ドラクエ』である若い世代にも文句なしでお薦めできる。
特に『ドラクエ1』からプレイしている古い世代は、過去作のBGMが使用されていたり過去作の登場人物をオマージュしたキャラクターが出てきたりするので、より本作を堪能できることに間違いない。
昭和61年に『1』が発売されてから33年──。
平成から令和へと、新作が出るたびに新たな驚きと素晴らしい感動をくれるシリーズの最新作を是非全ての方に堪能して欲しい。
今回はJ-RPGの最高峰『ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて S』の紹介でした!
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