『ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁』は1992年9月27日にエニックスよりスーパーファミコン用ソフトとして発売されたロールプレイングゲーム。
略称は『ドラクエ5』。
国民的RPGである『ドラゴンクエスト』シリーズの5作目であり、同シリーズのナンバリング『4』『5』『6』で形成された「天空シリーズ」の2作目である。
それまでファミコンで発売されてきたシリーズがプラットフォームを変えてスーパーファミコンとなった初のタイトル。
『ドラゴンクエスト5』とは
/>1986年にFCにて『1』が発売となってから続く『ドラゴンクエスト』シリーズの5作目となるタイトルである。
本作からプラットフォームがSFCとなった。
『1』『2』『3』が「ロト三部作」としてシリーズ化されてたのに対し、本作は『4』『5』『6』で構成された「天空シリーズ」の2作目にあたる。
販売本数は280万本であり『3』の380万本、『4』の304万本より少ないが、歴代SFCソフト1,448本の中で第6位の記録であり充分大ヒットと呼べるだろう。
ハードをSFCに移すことにより容量不足による制限から解放され、様々なアイディアが導入された意欲作であり今後のシリーズにも大きな影響を与えたタイトルである。
キャッチコピーは「愛がある、冒険がある、人生がある」。
ストーリー
とある目的のため、一国の王であることを隠し世界を旅する父親に連れられ旅をする主人公である6歳の少年。
旅の途中、父親を殺され身寄りを失った少年は、その後奴隷として10年の月日を過ごす。
青年になった彼は脱走し自由に身になり世界を旅するなか、亡き父の遺言によりその目的を受け継ぐことを決意。
物語の中盤で彼は結婚をし、子供を授かる。
家族を持った彼は父が果たせなかった探し物を求め、さらに邪悪な魔の手を食い止めるため旅を続ける──。
親子三代にわたる壮大な物語
本作は主人公が幼年の時代からはじまり、青年になり結婚して父親になるまでの半生を描く物語である。
前作『導かれし者たち』で導入されたストーリー性重視の作風が本作ではさらに強化されドラマティックな展開を見せる。
父親であるパパスの意志は、息子である主人公へ。さらには主人公の子供へと引き継がれ、親子三代にわたり冒険の目的が継承されてゆく壮大な物語となっている。
この『天空の花嫁』はシリーズの中でもかなり人気が高く、歴代ナンバー1に挙げるものも少なくない。
シリーズで初めて主人公=勇者ではない
本作において主人公は“伝説の勇者”ではない。
シリーズにおいて初となる“主人公が勇者ではない”という設定は衝撃的だった。
父親(パパス)と息子(主人公)の親子2人の半生を捧げ探し続けた“伝説の勇者”が、産まれてきた我が子だったと分かった時の感動は今でもゲーマーの間で語られるほどである。
衝撃だった嫁選びイベント
物語の中盤、主人公は結婚をすることになる。
気さくで正義感が強く、おてんばだけど心優しい幼馴染のビアンカと、大富豪の娘であり青髪ロングに碧眼の美少女フローラ。
プレイヤーはこの2人のうちからどちらかとの結婚を選択することになる。
幼年期時代から幼馴染として登場し、ずっと主人公を好きだったビアンカを選択するのがメインストーリーと言っても過言ではなく、ほとんどのプレイヤーが自然とビアンカを選択した。
これは堀井雄二も“普通はビアンカを選択するだろう”と発言しており、半ば正史的な扱いとなっている。
なお、DSで発売されたリメイク版では、フローラの姉である黒髪に赤いバラの髪飾りを身に着けたセクシーな美女デボラが“3人目の嫁候補”として追加されている。
ゲーム内容
仲間モンスター
青年になった主人公は「モンスター使い」になり、倒した敵モンスターを仲間にする能力が身に備わる。
仲間になったモンスターは共に旅をすることができ、戦闘に加勢してくれる。
モンスターもレベルがあり、高レベルになると様々な“特技”や“呪文”を覚え成長していく。
この仲間モンスターシステムは好評を得て、次作『幻の大地』にも受け継がれ、さらには仲間モンスターをメインにした『ドラゴンクエストモンスターズ』シリーズという派生シリーズを産み出すことになる。
新しいシステム
本作では容量制限から解放されたこともあり、様々なアイディアが実装された。
主人公や子供の名前にカタカナが使用可能となった。
前作までの「はなす」や「しらべる」などのコマンドは「べんりボタン」ひとつで全て対応可能になり、パーティー全体のHPをワンボタンで全回復させる「まんたん」コマンドなども実装されより快適にプレイをできるようになった。
仲間への作戦指示に「めいれいさせろ」が追加され、戦闘時にプレイヤーの判断で全ての仲間の行動を指示できるようになった。
同時にAIも大幅強化され、コンピュータ任せにしてもかなり的確な行動を選択してくれるようになっており、前作『導かれし者たち』のようにボスに絶対効かない「ザラキ」をMPが枯渇するまで唱え続けるクリフトのようなアホはもう居なくなった(笑)。
これらは今でこそ当たり前のように実装されているが、本作以前は無かった機能である。
やり込み要素
本作はラスボスを倒しエンディングを見終えると、クリア後の冒険の書(セーブデータ)から行ける隠しダンジョンが出現する。
最深部には隠しボスが待ち構えている。
隠しボス非常に強いため、隠しダンジョン内にある本編には登場しない強力な装備を見つけて戦いを挑まなければ撃破は難しい。
このようなクリア後の隠しやり込み要素が登場したのも本作が初めてである。
リメイク
2004年3月25日にリメイク版がPS2にて発売された。
こちらには同年11月に発売を予定している『ドラゴンクエストⅧ 空と海と大地と呪われた姫君』の開発中のデモ映像を見ることができるプレミアム映像ディスクが同梱された。
さらにこのリメイク版はBGMがフルオーケストラに差し替えられてることなどもあり、それまでのシリーズのリメイク作品の中では最多の150万本を達成した。
PS2版のキャッチコピーは「強き心は時を超えて」。
2008年7月17日にはDS版が再リメイクにて発売される。
こちらも100万本を突破するミリオンセラーとなり、『天空の花嫁』はリメイク版を含めると530万本以上を売り上げたことになる。
DS版のキャッチコピーは「冒険という、もう1つの人生」。
ドラゴンクエスト ユア・ストーリー
2019年8月2日には『ドラゴンクエスト』シリーズ初の3DCG映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』が上映された。
数あるタイトルの中から選ばれたのは本作『天空の花嫁』であった。
全国のファンからの期待を一身に背負ったこの映画だったが、世紀の駄作としての低評価を受けることとなった(笑)。
詳細はここでは触れないが「なぜそうした?」というようなアレンジが多数脚本に加えられており、下手にいじらず原作に忠実に制作すれば名作になっただろうと思うと残念である。
筆者と『ドラゴンクエストV』
筆者にとって本作はとても大事なタイトルだ。
特に思い出に残ってる場面はやはり“結婚イベント”だ(笑)。
筆者はシリーズのヒロインの中でもビアンカが1番好きである。
初見のSFC版ではもちろん嫁にはビアンカを選んだが、のちにDS版を再プレイした時も、ゲーマーなら未経験のフローラ・ルートやDS版での追加新キャラのデボラ・ルートを選ぶべきなところ、さんざん悩んだ末にビアンカを捨てることができず、またビアンカと結婚したほど大好きである。
もし新たなリメイクが次世代機で発売されても、またビアンカと結婚すると断言できる(笑)。
そんな事もあり筆者は『ドラゴンクエスト』シリーズの中でも本作は上位に入る面白さだと評価している。
人によってはストーリーに拘りすぎたゆえ、一本道にの展開になりRPGとしての楽しさが半減しているとの評価もある。
当然その意見も充分に理解できるのだが、筆者にはそのマイナス点を加味してもストーリーの面白さが大きく優っていたのだ。
まるで超大作映画を観ているような壮大な物語は、子供時代の筆者に大きな衝撃と深い感動を与え、まるで本当に自分が冒険をしているような気持ちにさせてくれた。
本作の発売からもうすぐ30年の年月が経とうとしているが、本作で体験した“もうひとつの半生”は今でも心の中に刻み込まれている。
今回は親子三代にわたる壮大な冒険物語『ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁』の紹介でした!
あわせて読みたい