『桃太郎伝説』は1987年10月26日にハドソンよりファミリーコンピュータ用ソフトとして発売されたロールプレイングゲーム。
監督はさくまあきら氏が務め、イラストは土居孝幸氏が、音楽はサザンオールスターズの関口和之氏が手掛けている。
のちにたくさんの続編・リメイクが発売され、派生作品シリーズ『桃太郎電鉄』『桃太郎活劇』などと共に大ヒットシリーズとなるタイトルの記念すべき第1弾である。
マル超シリーズ
『桃太郎伝説』はハドソンの「マル超シリーズ」第3弾として発売された。
マル超シリーズとは当時ハドソンが掲げた新企画シリーズである。
一体どのようなコンセプトのシリーズなのか?ハドソンの説明曰く下記の通りである!
「視・聴・臭・味・触 そして、秘められた第六の感覚・サイキックパワーを一気に爆発させる、まったく新しいタイプのゲームだ!」
まったく意味がわからない。
バブル景気が始まったばかりの昭和62年だからこそまかり通った意味不明な企画である。
この謎めいたマル超シリーズは『ボンバーキング』『ファザナドゥ』『桃太郎伝説』の3本を発売し、その後謎なままの終了となった(笑)
桃太郎伝説とは
さくまあきら氏が監督を務める桃太郎伝説シリーズの記念すべき第1作目。
当時流行っていたドラゴンクエストに倣うオーソドックスなシステムは踏襲しているも、民話の「桃太郎」を主人公に据え、「花咲か爺さん」「金太郎」「かぐや姫」などのおとぎ話をクロスオーバーしてギャグテイストにすることにより独自の世界観を造り出している。
さくまあきら氏と土居孝幸氏で企画した本作のシナリオは原稿用紙4000枚にのぼり、それをハドソンに持ち込んだところGOサインが出て製作に至った。
キャラクターデザインは「ジャンプ放送局」でイラスト担当を務める土居孝幸氏が担当、BGMはサザンオールスターズのベーシスト関口和之氏が手掛ける。
和風のおとぎ話の世界観に合わせ、「レベル→段」「HP/MP→体/技」「魔法→術」「通貨→両」などゲーム内用語も和風に統一されている。
戦闘で相手を倒すことを「こらしめる」と表現し、悪役である鬼なども人間を殺したりする描写は無く、世界観と相まって懐かしく優しい雰囲気のゲームである。
桃太郎は基本終始ひとり旅であり、基本戦闘は1対1のタイマンとなる。
犬・猿・キジは仲間になり道中を共にするが、桃太郎の攻撃力・防御力をアップさせる役割であり、稀に勝手に敵を攻撃することもあるがRPGで言うところのパーティという訳ではない。
プレイヤーは桃太郎となり、旅をしながら訪れる村々で悪事を働く鬼を退治しながら、鬼ヶ島に辿り着きラスボスである「えんま大王」を退治するのがゲームの目的である。
ストーリー
むかしむかし――。
桃から生まれた桃太郎は6歳の時、世の平安を乱す鬼を退治するべく鬼ヶ島へ旅だった!!
行く手をさえぎる鬼の手下を退治し、犬・猿・キジの3匹のお供を見つけ出さなければならない!!
金太郎を始め、浦島太郎、花咲か爺さん、かぐや姫等、昔話のヒーロー、ヒロインが総出演!!
抱腹絶倒の旅が、今、始まるッ!!
ギャグ要素満載
本作の特徴としてもっとも強く印象に残るのは、至る所に散りばめられたギャグ要素である。
敵キャラもおもしろい
敵キャラも「赤鬼ホーナー」「金銀パールプレゼントの鬼」「貧乏神」などおもしろいキャラや当時の時事ネタをパロディにした敵がかなり多くほのぼのとしている。
赤鬼ホーナー
87年にヤクルトに入団した助っ人外人打者、あだ名が「赤鬼ホーナー」。
こちらの攻撃をバットで打ち返してくる敵キャラ。
金銀パールプレゼントの鬼
80年代に流行ったライオン「 ブルーダイヤ」という洗剤のCMで登場するフレーズ。
洗剤の箱の中にラッキーカードが入っていたら、金・銀・パールのネックレスが貰えた。さくまあきら氏がこのフレーズを使いたいだけで登場した敵キャラ。
貧乏神
桃太郎の所持金を1両ずつ盗んでくるほか、逃げようとすると「にげちゃ嫌なのねん」と追いすがってきて逃がしてくれない。
のちの『桃太郎電鉄』シリーズでもお邪魔キャラとして大人気キャラになったキャラ。
モデルは『桃太郎伝説』『ドラゴンクエスト』などのタイトルロゴを手掛け、当時『ジャンプ放送局』のレイアウトを担当していた「ボンビーえのさん」こと榎本一夫氏である。
女湯に入れる
RPGには珍しく年齢の概念があり、プレイ時間が2時間経過するごとに桃太郎が1歳ずつ年をとる。
年齢はゲーム進行や戦闘能力などには一切関係しないが、ステータス画面の見た目が年を取るにつれ変わっていく。8歳までに「希望の都」に辿り着くと、街にある銭湯で女湯に入れるイベントが発生する。
さくまあきらはこの女湯のネタの為だけに少ない容量のかなりの部分を割り振ったとのちに語っている。
下ネタも満載
放屁(ほうひ)という術がは目の前の人を驚かす効果であるが、村人の前で使うと「桃太郎さん、臭いですよ!」と怒られたりる
他にも村の畑にはしゃべるウンチがいて話しかけると「ボクはウンチだよー!!ぷりっ!!」と喋るなど小学生低学年のファミっ子が大ウケしそうなくだらない下ネタが満載である。
筆者と『桃太郎伝説』
筆者はこのソフトは所有していませんでしたが、友達に借りてクリアしました。
小学生だった筆者にはふんだんに盛り込まれた、くだらないギャグがドストライクで刺ささりました(笑)。
週刊少年ジャンプのジャンプ放送局も毎週読んでいたので知ってるキャラが次から次へとたくさん登場するのも楽しかったです。
小学生男児を中心に大人気となった本作は、最終的に100万本を売り上げることになりました。
これは1,252本のファミコンソフトの中でも第43位の販売実績です。
のちに発売される派生作品である『桃太郎電鉄』シリーズも傑作と呼べるゲームであり、さくまあきら氏の『桃太郎シリーズ』は昭和のファミっ子たちにとっては忘れることのできないシリーズとなりました。
今回はギャグ満載の和風RPG『桃太郎伝説』の紹介でした。
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