『貝獣物語』は1988年11月18日にナムコからファミリーコンピュータ用ソフトとして発売されたロールプレイングゲーム。
連動マップやザッピングシステム等の斬新な仕様を先取りした意欲作である。
正統派RPGの世界観と高い自由度を満喫できる細かいシステムが魅力。
貝獣物語とは
基本的にはごく一般的な“ドラクエ型”のRPGだ。
フィールド画面を移動しランダムエンカウントするモンスターとコマンドバトルで戦って、経験値によりレベルを上げたり、敵の落したお金によって装備を強化し主人公たちを強くしていく。
本作の大きな独自性は、4人の勇者がゲーム開始時はそれぞれ世界のバラバラの場所からスタートし、プレイヤーは好きなキャラクターからプレイ可能ということだ。
さらにキャラクターはいつでも任意に変更でき、各キャラクターの冒険を交互に進めていくことができる。
そして冒険を経てキャラクター同士がこの世界のどこかで出逢うことができれば、そこでパーティーを組むことができ、有利に探索を進めることができるようになるという点であろう。
また、一度組んだパーティを切り離すことも可能である。
このシステムが本タイトルの一番の個性であり、後述するリアル付属アイテムを利用することにより“冒険している感”が演出されている。
あらすじ
シェルドラドと呼ばれるこの世界には、昔から、背中に小さな貝をつけた貝獣という生き物が住んでおりました。
その昔、悪のかぎりをつくした暗黒大魔王を、不思議な4つの貝の力によって封じ込めた平和の守り神、それが貝獣なのです。
そのときの戦いで使われた不思議な貝は、今でもシェルドラドに大切に祀られていましたが、ただひとつ火の貝だけは、戦いの中で、どこか遠くへ飛ばされてしまったということです。
いつしかシェルドラドにはこんな言い伝えが生まれました。
「いつの日か、再び大魔王が甦るとき、天空のかなたより、火の貝をまといし勇者が舞い降りる。そのときこそ火・水・大地・大気の4つの貝をそろえ、大魔王を封じこめよ」
そして今、大魔王ファットバジャーが封印を打ち破り、千年の恨みを晴らさんと復讐を開始したのです。
たちまちのうちに魔物は世にはびこり、世界は闇におおわれてゆきました。
そんな中、シェルドラドでは選ばれし3人の貝獣の子供たちが、打倒ファットバジャーに立ち上りました。
そして時を同じくして、シェルドラドに1人の少年がやって来ました…。
付属品を駆使して冒険を進めよう
大きめの箱の中には、ソフト本体と別に付属品として、冒険の舞台の「世界地図」、不気味なドクロが描かれ封をしてある封筒「涙の密書」、そしてプレイヤーキャラクターとなる四人の勇者の小さな「フィギュア」が梱包されていた。
付属の世界地図には座標がふってある。
ゲーム中で主人公の場所を確認するコマンドがあるのでそれで確認して世界地図状に勇者のフィギアを配置する。
そうする事でそれぞれの主人公の現在地を本物の地図で確認できる仕様となっている。
「この中間地点の町で待ち合わせしよう。」
「このダンジョンは少なくとも3人が合流してからだな。」
などと想像しながらプレイを進めることで、より探究心を掻き立てられる面白いアイディアである。
そしてゲームに同梱されたもう1つの本物のアイテムである「涙の密書」の中身はラストダンジョン封筒にはゲームの中で出会うことができる「隠れ島の老人に会うまでは開けてはならない」という旨の注意書きがある。
まだ幼かった筆者は封書の中身が気になり何度も途中で開けてしまおうと思ったが、老人に会うまで我慢して開けなかった。
老人にやっと会えて開封し、ラストダンジョンマップを見た時はそれは感動したものだ。
最後に
本作は斬新なシステムの導入や今までにないアイディアが詰め込まれている意欲作である。
しかし細かなところで作り込みが甘く、不具合が多かったりバランスが悪いため残念な印象になってしまったタイトルでもある。
そこまで爆発に売れた訳ではないが、筆者の心には何故か深く残っているタイトルである。
手探りで冒険してやっと4人の仲間と出会ってラストダンジョンに辿り着いた時の感動は素晴らしく、大切な思い出となっている。
1992年12月22日には続編にあたる『大貝獣物語』が発売された。
こちらは発売元がハドソンに移っている。
本作は大ヒットした訳ではないが、筆者にとっては隠れた名作といってもよい作品だと思っている。
今回は斬新なシステムを果敢に導入した意欲作『貝獣物語』の紹介でした。
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