『ファンタジーゾーン』は1988年10月14日にPCエンジン用ソフトとしてNECアベニューが移植・発売したシューティングゲーム。
オリジナルはSEGA(セガ)が1986年に稼働させたアーケードゲーム。
ゲーム性、BGM、グラフィック、演出と全てが高いクオリティでありSEGAを代表するゲームとなった。
1986年6月15日『セガ・マークⅢ』
1987年3月21日『MSX』
1987年7月20日『ファミリーコンピュータ』
1988年10月14日『PCエンジン』
1989年8月4日『X68000』
などなど他にも様々な機種に移植されている名作STGである。
ファンタジーゾーンとは
1985年にコナミが稼働させ大ヒットした『グラディウス』を超えるシューティングゲームを開発しようとSEGAの全英知を結集させ開発されたのがこの『ファンタジーゾーン』である。
当時のシューティングゲームは『グラディウス』の影響により宇宙空間に無機質なグラフィックという物が主流となっていた。
しかし『ファンタジーゾーン』はそれとは対照的に、パステル調の鮮やかな色合いで曲線を多用して描かれる世界で、愛らしい自機『オパオパ』を操作するゲームとなっている。
敵もシュールではあるけど可愛い絵柄でニッコリしてしまうキャラばかりだ。
その斬新な世界観は他のSTGとは一線を画しており、ゲーマーたちから高く評価され歴史に残るヒット作品となった。
ストーリー
遥か昔、宇宙のかなたでの物語……。
B・G1422年、惑星間の公式通貨が乱れ、全惑星がパニックに陥るという事件が起こった。
宇宙協会の公式調査により、何者かがメノン星人を操り外貨を奪わせ、それを資金として、「ファンタジーゾーン」に巨大要塞を建造中であることがわかった。
正体不明の敵の陰謀を打ち砕くため、戦士「オパオパ」に指令が下る。
迫り来る敵からファンタジーゾーンの平和を守るため、オパオパは飛び立った!
ゲームシステム
敵基地とボスを破壊せよ
各ステージ10個の敵基地があり、すべて破壊するとボスが登場しボス戦となる。
ボスを倒すとステージクリアとなる。
横スクロールのSTGであるが、その特色は左右両方へ任意に進める事である。
ステージ自体は無限ループとなっている。
右にも左にもスクロールできるので、前の場所まで引き返したりなど自由にステージを飛び回ることが出来る。
お店で買い物して自機をパワーアップ
本作の一番の特徴は当時としては非常に斬新な、敵を倒すことによって落とすコインを拾い集め、お金をためてSHOPで買い物をする事によって自機をパワーアップさせるというシステムであろう。
この時代のSTGは敵を撃破すると出現するアイテムを取る事でパワーアップするのが殆どである中、この買い物できるシステムは大好評であった。
SHOPで購入できるアイテムは「スピードアップするNewエンジン」「残機増」「時間制限ありの特殊主砲」「使い捨ての特殊BOM」がある。
各アイテムは購入するたびに値上げされ、最終的に手が出ない値段になるので買いどころは慎重に考えなければならない。
個性的な8つのステージとボスたち
オパオパを操作しファンタジーゾーンの全8ステージを駆け巡る。
各ステージごとに個性的なボスが待ち構えている。
ラウンド1
緑の惑星「プラリーフ」
ボスは「スタンパロン」
口から吐き出してくる葉っぱ型の弾を避けながら開いた口に撃ち込む。
ラウンド2
火の惑星「タバスコーダ」
ボスは「ボランダ」
フラスコ上部からまき散らしてくる弾を避けながら、回転する内側のコアを破壊不能な外側のコアの隙間から狙って撃つ。
ラウンド3
砂の惑星「ラ・デューン」
ボスは「コバビーチ」
9つの砲台から五月雨式に繰り出されるレーザー攻撃を避けながら全ての砲台を破壊する。
ラウンド4
超惑星「ドリミッカ」
ボスは「クラブンガー」
ウネウネと動く2本の多関節の腕と弾幕を躱しながら腕の関節を破壊する。
ラウンド5
氷の惑星「ポーラリア」
ボスは「ポッポーズ」
ひ孫ポッポ、孫ポッポ、子ポッポ、親ポッポで構成されている。
弾幕を交わしながら全てのポッポーズを撃破する。
ラウンド6
雲の惑星「モクスター」
ボスは「ウィンクロン」
台風の回転に合わせ敵の周りをグルグル回りながら台風の目(コア)に12発当てると撃破。
横から撃つだけでなく斜め上のポジションではボムを投下してダメージを稼ごう。
ラウンド7
水の惑星「ポカリアス」
ボスは「IDA-2」
左右に動いて攻撃を避けながら、合体する瞬間を狙ってショットとボムを撃ち込む。
当時のセガの開発部長の「アイダ」さんがモデルとの事。
ラウンド8
悪霊の凝縮した星「サルファ」
最終面は今まで出てきたボスのラッシュ!
7体すべて倒すと出てくるラスボスは「パパオパ」。主人公「オパオパ」のお父さん。
お父さんは寄生虫に操られている。6匹の寄生虫を全て倒せばエンディングだ。
最後に
アーケードが稼働した昭和61年、筆者はまだ幼かった為アーケード版は未プレイでした。
駄菓子屋の筐体でお兄さんがプレイしていた『ファンタジーゾーン』を眺めているだけでした。
昭和62年にファミコンに移植されると聞いた時はテンションが上がりました。
しかし購入した友達の家で遊ばせてもらったファミコン版の『ファンタジーゾーン』はとても粗雑であり、思い描いていた物とはだいぶ違っていてガッカリしました。
ファミコンの52色ではそれが限界だったのです。
その1年後ファミコンの10倍近い512色を発色可能なPCエンジンで、移植には定評のあるNECアベニューから『ファンタジーゾーン』が発売されました。
それまでに発売されたセガ・マークⅢ版やファミコン版とは比べ物にならない移植度の高さの綺麗な画面で飛び回るオパオパに大興奮!
Huカードを購入して夢中になってプレイしました。
本当は「二重スクロールが完全に再現されてない」「パステルカラーではなく原色に近い色」「BGMの再現度が激悪」とアーケード版をプレイしたゲーマーからはこのPCエンジン版もあまり評価は高くなかったようです。
移植度の高さではその後、平成元年に発売されたX68000版が初めて完全移植を再現できた機体だと言われてます。
しかし幼かった筆者にとってPCエンジン版は、先に発売されたファミコン版に比べれば何倍ものクオリティであり満足に足るゲームでした。
心から楽しむことができた思い出のゲームです。
大人になってからも3DS版の『ファンタジーゾーン』を購入し、サントラもアーケード版を購入しております。
今でも1面で流れる名曲『OPA-OPA!』を聴くと、あの頃を思い出し笑顔になってしまいます。
今回は『ファンタジーゾーン』の紹介でした。
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