『妖怪道中記(ようかいどうちゅうき)』は1988年2月5日にナムコからPCエンジン用ソフトとして発売されたアクションゲーム。
オリジナルは同社が1987年4月に稼働させたアーケードゲーム。
アーケード稼働の翌年にPCエンジン、そしてファミコンに移植された。
地獄巡りという独特の設定がもたらす絵巻風の雰囲気、おどろおどろしいながらもナムコらしいポップさも兼ね備えたキャラクターデザインなど意欲的な試みが盛り込まれた名作である。
あらすじ
稀代のいたずら者、少年たろすけ。
いつも村の人に悪さばかり、おまけにスケベ。
見かねた神様に寝ている間に地獄の入り口へと運ばれ、なんと生きながらにして地獄巡りをすることに。
閻魔様の裁きを受けるべく、裁きの谷へと歩き出す…はたして、その運命やいかに?
妖怪道中記とは
道中の様々な行動によりエンディングが分岐するマルチエンディングの採用、スクリーン半分をメーター類が占める画面構成、スコアの排除など当時としては画期的なシステムを存分に取り入れた意欲作である。
オリジナルはアーケード用タイトルであったが、当時まだ幼かった筆者はアーケードゲームに注ぎ込めるお小遣いは無く、駄菓子屋の筐体で年上のお兄ちゃん達がプレイするのをあんず棒を咥えながら喰い入る様に見ていた。
コミカルなサウンドに楽しげな“あの世”の世界。
お金の概念があって買い物や賭博もできる夢のようなゲームにワクワクしっ放しであった。
ゲーム中に登場する不気味な阿弥陀ババアみたいなキャラがやってるショップでのシーンなどでは「自分だったらあのアイテム買うのになぁ」とか考えながら楽しんでいたものだ。
ヤンキーと僕
ゲームをするお小遣いもアーケードゲームをプレイする腕前もない幼い筆者は、毎日のように駄菓子屋の筐体で中学生が遊んでるのを眺めていた。
きっとその時の筆者は余程プレイしたさそうに、食い入る様にゲームを見ていたのだと思う。
なんとある時太いズボンと短い学ランのお兄ちゃんが「おいガキんちょ。やってみっか?」とゲームをプレイさせてくれたのだ!
プレイさせてもらえたのは半か丁を選ぶだけの博打のシーンであったが、ずっと遊んでみたかった本作をプレイすることができとても嬉しかった(笑)。
運良くどんどん博打に勝利し大金を獲得すると、お兄ちゃんは大喜びで好きな駄菓子を買えと50円くれた。
めちゃくちゃ楽しくて嬉しかった事を今でも憶えている。
あのヤンキーのお兄ちゃん元気かなぁ?
PCEに移植される
そんなある日、妖怪道中記がPCエンジンに移植されると発表された。
半狂乱で大喜びする筆者(笑)。
駄菓子屋の筐体で毎日のように眺めてた、あの夢にまで出てきた『妖怪道中記』が我が家でプレイできるのだから!
PCエンジン版はアーケード版に比べると流石にハードの性能差で画面の精細さなどが少し劣るものの、移植完成度はかなり高いものになっており十分満足できるクオリティーだった。
本作を手に入れてからというもの、学校から帰るなり毎日のように夢中になって遊んでいた。
大興奮の乙姫エロダンス
しかしこのゲームはかなりの難易度であった為、なかなかクリアできずに苦戦した。
何度も投げ出そうになったが、筆者には“とある野望”があったため挫けずに挑戦し続けた。
その野望とは…
そう、3面クリアのシーンで見る事ができるあの乙姫のエロダンスだ!
駄菓子屋の筐体を見ていた時、そのシーンになるとヤンキーのお兄ちゃんは「お前にはまだ早い(笑)」などと吐かして、事もあろうに筆者に目隠しをして見せてくれなかったのだ!
「ふざけんな!このクソヤンキーが!(怒)」
と心の中で思ったが怖いから逆らわなかった。
エロダンス…本当にすごく見たかった…。
そしてその時の無念さ、悔しさをバネに何週間も頑張り続け、ついに子供時代の筆者はやり遂げた!
とうとう念願の3面クリア!
乙姫のエロダンスをこの目に焼き付ける時が来たのだ!
喰い入るように裸のドット絵の姉ちゃんが映るテレビを見つめる子供。
そんな我が子を怪訝な目で見つめるお母さん。
いつかはクリアしたい
結局この乙姫ダンスを見れた事で満足してしまった筆者の情熱はそこで冷めてしまい、そのあと『妖怪道中記』をクリアすることはできなかった。
あれから30年以上経ったが、その後プレイする機会がなく、本作は未だに未クリアのままだ。
それでも筆者にとって本作は、あの愉快な地獄の冒険や、ちょっとエッチな乙姫様、優しかったヤンキーのお兄ちゃんなどたくさんの思い出が詰まった大切なタイトルである。
今回はナムコの贈る名作ACT『妖怪道中記』の紹介でした。
あわせて読みたい