『超兄貴』は1992年12月25日にPCE CD-ROM²用ソフトとしてメサイヤから発売されたシューティングゲーム。
2007年にWiiヴァーチャルコンソールで配信された(現在は配信終了・WiiUにて配信)ほか、2010年にはPS3・PSP用PCEアーカイブスでも配信、2020年に発売されたPCエンジンminiにも収録されている根強いファンを持つ作品である。
『超兄貴』とは
1992年のクリスマスに突如登場し、ゲーム業界に衝撃を与えたPCエンジン屈指のバカゲーである。
ゲームジャンルは横スクロールSTGであり、システムはメガドライブで発売された良作STG『ジノーグ』(1991年)を踏襲している。
登場キャラクターやグラフィックなどの全ての世界観が、筋肉美と下ネタに120%全振りされており、奇抜で意味のわからないイカれたゲームである(笑)。
ストーリー
「ボ星」を中心とする「ビルダー帝国」を支配する、大銀河ボディービルコンテストにおいて10連覇の偉業を成し遂げた帝王「ボ帝ビル(ぼていびる)」は、プロテイン資源の枯渇に悩み、ついに近隣星系を無差別侵攻しプロテイン採掘プラントを乱立させ始めた。
危機を感じた天界はビルダー軍討伐を命じ、イダテンとベンテンを派遣した。
かくして、イダテンらとビルダー軍の汗臭く暑苦しい戦いの幕は切って落とされた。
ゲームシステム
イダテン(筋肉ムキムキなお兄さん)かベンテン(お色気ムンムンなお姉さん)のどちらかを選んでゲームスタート。
Ⅰボタンでショットを放ち、Ⅱボタンでボム投下。
Ⅰボタンを押しっぱなし、溜めに溜めた状態でボタンを離すと、ドピュッと男の必殺一撃“メンズビーム”を発射する。
※実際の説明書通りの表現
敵が落とすプロテインを摂取すると「ビルドアーップ!」というボイスとともにビルドアップ(パワーアップ)する。
※本作では自機の強化をビルドアップという
ゲーム中盤では手枷・足枷・貞操帯をしたスキンヘッドのボディービルダーの2人が、自機の上下にくっつき攻撃サポートをしてくれる(グラディウスでいうところのオプション)。
この2人の名前はアドンとサムソンというのだが、当時発刊されていたそっち系の雑誌名である。
お供キャラにもHPが設定されており、0になると「兄貴ィ〜ッ!」の断末魔とともに撃沈してしまう。
残機が0になると、アドン&サムソンがカウントダウンとともにポージングをとりながら登場し、「もう、駄目だぁ〜ッ!」という台詞とともにゲームオーバーとなる。
奇跡のBGM
BGM担当はゲームミュージック専門の作曲家葉山宏治。
「あこがれのマッチョダンディー」「仁義なき兄貴」「ドイツ人ジャーマン」など本作の“ぶっ飛んだ世界観”に負けない濃い曲が揃っている。
ふざけた曲名ばかりであるが、BGMのクオリティーは高く評価されている。
葉山の個人名義で発売されたゲームサントラCD『超兄貴』は異例の販売枚数となり、ゲームそのものより売れたという逸話がある(笑)。
このサントラCDアルバムのシングルカット「仁義なき兄貴」がオリコン・POPS部門16位にランクインし、葉山のデビューライブとなった。
ライブにて、会場の観客動員を塗り替える800人を記録!
観衆から、大きな「兄貴コール」で迎えられ、それから“兄貴”という愛称で呼ばれるゲームミュージック生え抜きのミュージシャンである(笑)。
最後に
難易度は三段階から選べ、全5ステージと比較的短めの内容のため、しっかりやり込めばクリアすることができる。
あまりにもイカれた世界観であるためクソゲー扱いされてしまうこともあるが、ゲーム自体はバランスの取れたSTGである。
常軌を逸脱したゲームであったが、突き抜けたおバカ要素満載の内容にはコアなファンも一定数生まれ、『愛・超兄貴』(1995年)をはじめ、数々の続編が発売されることとなった。
余談ではあるが、メサイヤ作品の正統派SRPG『ラングリッサー』の隠しシナリオにアドンとサムソンが登場する。
『ラングリッサー』はシリアスでファンタジーな世界観であり、まったく畑違いなのにどうして(笑)。
今回は筋肉美と下ネタに全振りされたぶっ飛んだシューティングゲーム『超兄貴』の紹介でした!
あわせて読みたい