『Life is Strange(ライフ イズ ストレンジ)』は2016年3月3日にPS4用ゲームソフトとしてスクウェア・エニックスより発売されたADV。開発はフランスのDONTNOD。
世界で300万本超の販売を記録し、アメリカ・欧州を中心に多くのゲームアワードを受賞した。
主な受賞タイトルは下記の通り。
2015年 The Game Awards: Games For Impact賞
2015年 ゴールデンジョイスティックアワード : Performance of the Year
2016年 Game Developers Choice Awards: Audience Award
2016年 英国アカデミー賞ゲーム部門: 脚本賞
2016年 日本ゲーム大賞: ゲームデザイナーズ大賞
ライフ イズ ストレンジとは
アメリカ・オレゴン州の架空の田舎街「アルカディア・ベイ」を舞台に、時間を巻き戻せる能力が発現した女子学生・マックスの青春を描く。
時間を巻き戻して過去をやり直すことで、短期的にはより良い未来になったように思えても、長期的には「予期不可能な大変化」が生じる場合もある、というカオス理論の一つ『バタフライ効果』(一匹の蝶の羽ばたきが将来、遠くで竜巻を引き起こすか?)をテーマとしている。
全5エピソードから成り、基本的にはゲーム内時間の1日が各1エピソードに相当する、2013年10月7日からの5日間の物語である。
その物語の素晴らしさが全世界で絶賛され、ユーザーから多数のストーリーを絶賛する手紙が開発元のDONTNOD Entertainmentに寄せられたといい、ストーリーテリングについてここ数年でまれに見るほどの強いインパクトを残すことに成功したアドベンチャーゲームと評価されている。
あらすじ
5年ぶりに故郷アルカディア・ベイに戻ったマックスは、現在ブラックウェル高校の写真学科に通う女子学生。
ある日の授業中に「超巨大竜巻がこの街を壊滅させる」という白昼夢を見る。
授業終了後、女子トイレの隅で羽ばたく青い蝶を写真に撮っていると、青い髪をした女子が街で実権を握っているプレスコット家の長男ネイサンと口論し、ネイサンに射殺される瞬間を目撃する。
しかし気が付くと、先刻の授業中の状態まで時間が戻っていた。
マックスは自身に「時間を巻き戻す能力」が発現したことに気づく。
マックスは再び女子トイレに向かい、今度は二人が口論している最中に非常ベルを鳴らして発砲を阻止し、女の子の死を防ぐことに成功する。
その女子は、5年間連絡を取っていなかった親友のクロエであることが後で判明する。
登場人物
マックス・コールフィールド
本作の主人公。18歳。
本名は”マクシーン”であるが、自身を含めて皆マックスと呼んでいる。
ショートボブの女子学生。
5年前に両親の仕事の都合でシアトルに引っ越したが、写真について勉強するためにアルカディア・ベイに戻り、ブラックウェル高校に入学した。
時間を巻き戻す能力に目覚める。
自分に自信を持てず内向的な性格であるが、写真の腕は確かなようで著名な写真家であるジェファソン先生からは度々写真を「日常ヒーローコンテスト」に応募するように勧められている。
インスタントカメラを常に持ち歩いており、そのカメラで自撮りをするのが趣味。
クロエ・プライス
マックスの親友。19歳。
青いショートヘアの女子。
元々は優秀な生徒だったが、父親が亡くなり親友のマックスも街を離れたことで、すっかりやさぐれてしまい、エピソード1の開始時点で既にブラックウェル高校を退学している。
マックスが街を離れた後、レイチェルと出会い親友になるがレイチェルも失踪でいなくなってしまった。
マックスは5年ぶりにクロエと再会した際、風貌が余りにも変わっていたため、すぐにクロエだとは気付かない程だった。
本編内で印象的に登場する「青い蝶」はクロエのイメージと重ねられており、クロエの腕にあるタトゥーにも青い蝶が描かれている。
レイチェル・アンバー
マックスが街を離れた後、クロエの親友となった女子。
6ヶ月前に謎の失踪を遂げた。
行方不明のポスターが町中に貼られている。
ネイサン・プレスコット
マックスのクラスメイトの男子。19歳。
アルカディア・ベイで実質実権を握っている名家の長男。
成績は優秀であるが短気で素行が悪く、マックスやクロエと度々衝突する。
学内サークル「ボルテックス・クラブ」を取り仕切っている。
ビクトリア・チェイス
マックスのクラスメイトの女子。18歳。
裕福な家の生まれでマックスのような内向的な生徒に高圧的な態度を取ったり、テイラーやコートニーといった取り巻きを連れてケイトをいじめるなどの高慢な振る舞いが目立つ。
よくネイサンとつるんでいる。ジェファソン先生を信奉している。
ウォーレン・グラハム
マックスの男友達。16歳。
クラスは別(科学科)だが、マックスとは仲が良い。
良くも悪くも口が上手だが、マックスに気がある様子で、マックスのために躊躇なく男気をみせる場面も。
成績も優秀。映画マニアでテレビも趣味。
マーク・ジェファソン
マックスのクラスの男性教師。
90年代を代表する写真家であり、著書や雑誌の取材を多数持つ。
マックスがブラックウェル高校を選んだのも彼がいるからという面が大きい。
マックスに写真の才能を見出している。
フランク・バワーズ
RV車に住みアルカディア・ベイで売人をしている男。攻撃的な性格。
クロエには金を貸している腐れ縁の関係で、レイチェルとの関わりも持つ。
犬好きで、「ポンピドゥー」という名の犬を飼っている。
レイ・ウェルズ
ブラックウェル高校の校長。
厳格で学生に対して公平に接しているように見えるが、学校がプレスコット家の出資で成り立っているという現状、ネイサンに関する問題については消極的。
デイビッド・マドセン
元軍人であり、現在はブラックウェル高校の警備主任。クロエの継父。
彼なりに生徒の安全を考えているようであるが、学内に多数の監視カメラ導入を提案したり、些細なことで生徒に強く詰問するなどいささかやり過ぎの一面がある。
家族愛はあるが、クロエとの仲は険悪。
ゲームシステム
「ポイント&クリック」のアドベンチャーゲームで、プレイヤーキャラクター(マックス)を操作して様々なオブジェクトを調べたり人物と話をするなどして情報を集め、ゲームを進行させていく。
本作にゲームオーバーという概念は存在せず、たとえ悪い選択を取り続けたとしてもストーリーはその選択に沿って展開が変化し、最後まで進行するマルチエンディング方式。
特徴的なのは物語途中で突如マックスに発現する”時間巻き戻し”能力で、以下2つの能力を行使することができる。
ただしこれらの能力を多用した際にはマックスが鼻血を出したり気分を悪くするなどしており、マックスの身体に負担が掛かる点が暗示されている。
時間を少し巻き戻す能力
その場で時間を少し巻き戻し、会話での選択や、オブジェクトに対する行動などをやり直すことができる。
マックス自身の存在位置、一度取得したアイテムや情報は巻き戻しても保持される。
したがって「情報やアイテムを入手した後で巻き戻す」「移動してから巻き戻すことで、瞬間移動する」といった応用ができる。
いかに能力を上手く活用して状況を打開するかがゲームプレイの醍醐味となっている。
巻き戻せるのは長くても数分程度で、あまりにも前の時間まで戻ることはできない。
写真の撮影時点にタイムリープする能力
写真の撮影時点にタイムリープする事ができる。
マックスが撮った、またはマックスが写っているプリント写真にピントを合わせ能力を使う事で、その写真が撮影された過去の時点へタイムリープすることができる。
この能力でタイムリープした先の時間軸では遠方が霞んでおり、視認できる範囲内でしか移動できない。
またこの時間軸に居続けることはできず、あるタイミングでタイムリープ前の時間軸に戻される。
タイムリープ先の時間軸において以前とは異なる選択・行動を取った場合、その影響で未来が変化し、元の時間軸へ戻った時には激しく状況が変わっている可能性がある(バタフライ効果)。
吸い込まれるような物語
まるで映画を観ているような重厚な物語です。
マックスは一度経験した時をほんの少しだけ巻き戻す能力を持っていいます。
その能力により”経験”をやり直せますが、巻き戻した事により必ずしも未来が思い通りになる訳では有りません。
予期せぬ運命の連鎖により、過去を変えた事がさらに未来を悪い方向へ導いてしまうこともあります。
一人を救った事により他の何人もの犠牲者が出てしまう事も。
数々の選択肢やプレイヤーの行動が未来を左右し、予期せぬ展開がプレイヤーを驚かせます。
選択肢には正解や不正解がある訳ではありません。
このゲームはどのような行動を取ってもエンディングまで辿り着けるようになっています。
プレイヤーの”行動”そのものが物語となって紡がれてゆくのです。
貴方だけの物語となって。
それと嬉しい機能がもうひとつ。
このゲームをプレイしていると「もし違う選択をしてたら?」と思う事が多々あります。
そんなプレイヤーの思いに応えてくれるシステムとして、各章クリア後に「別の選択をした世界」を見ることができます。
パラレルワールド体験が可能という訳です。
これによりプレイヤーの胸のつっかえを綺麗に流してくれます。
心を打つサウンド
さらに特筆すべき事はそのBGMです。
このゲームを名作たらしめてる理由にサウンドと主題歌がとても素晴らしいという事も挙げられます。
この物語をクリアしたら是非サントラも購入して欲しいと思います。
きっとマックスの心境と重なり、切なくも幸せな気持ちになれるでしょう。
いえ、プレイの思い出補正が無くともこのサントラだけでも買う価値があります。
エレクトロニカやアコースティックサウンドにより心が洗われるような名曲ばかりです。
筆者はお風呂に入ってる時や読書時などによく聴いております。
これは持論ですが名作と呼ばれるゲームは往々にしてサントラが神懸かっているものだと思います。
この記事の前半のプロモーショントレーラーでも主題歌がバックサウンドとして流れてるので聴いてください。
最後に
20時間弱の短いプレイタイムでクリア可能な作品です。
しかし100時間の超大作ゲームをクリアした時と同様の、ひょっとしたらそれ以上の楽しさと感動をもたらしてくれるタイトルです。
筆者はたまたま三連休で20時間ぶっ通しでプレイして一気にクリアしたのですが、それがまた物語に入り込む事ができて良かったのかも知れませんね。
物語があまりにも素晴らしく、各章をクリアしてもその後の展開が気になってすぐに続きを始めてしまい、文字の如く寝食を忘れ没頭してエンディングまでプレイし続けてしまいました。
「アメリカの小さな田舎町」が舞台となり、サスペンス要素あり、友情あり、そしてタイムリープなどの不思議な出来事も絡む物語は鳥肌が立つほど面白く自信を持ってお勧めできます。
2018年6月7日に本作の3年前を舞台にした前日譚「Life Is Strange: Before the Storm」が発売されました。
もちろん筆者も購入済みです。時間がある時に一気にプレイしようととても楽しみにしてます。
前作をまだ未プレイの方はふたつ纏めて購入して遊んでみては如何でしょうか?
きっと忘れられない物語となり貴方の心に残ると思います。
2018年6月7日に本作の前日譚に当たる「ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム」が発売されました。
本作で失踪を遂げているレイチェルとクロエににスポットを当てた物語です。
本作のファンならきっと楽しめると思うので、そちらも是非プレイしてみてください。
今回は『ライフ イズ ストレンジ』の紹介でした。
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