『聖闘士星矢 黄金伝説』は1987年8月10日にバンダイからファミコン用ソフトとして発売されたアクションRPGである。
キャッチコピーは「これが噂のシミュレーションバトル!!君は小宇宙(コスモ)を感じるか?」。
当時「週刊少年ジャンプ」にて連載中だった車田正美の人気漫画『聖闘士星矢』のゲーム化作品。
原作の冒頭から十二宮での黄金聖闘士との闘いまでを描く。
聖闘士星矢とは
週刊少年ジャンプにて昭和60年から平成2年まで連載された車田正美の漫画である。聖衣(クロス)を纏った少年が派手なバトルを繰り広げる展開が男の子に、ギリシア神話を題材としたストーリー展開が女の子にウケて昭和のジャンプ黄金時代を築いた人気作品のひとつとなった。
「聖衣(クロス)」「聖闘士(セイント)」「小宇宙(コスモ)」と言った造語が流行り一大ブームを巻き起こし、アニメ化、ゲーム化と多方面でメディアミックス化されたタイトルである。
ストーリー
原作の冒頭から黄金聖闘士との闘いまでのゲーム化であったが、発売当時はアニメが黄金聖闘士篇の途中であった。黒幕の正体すら明かされていなかった為、本作は途中からゲームオリジナルキャラにが多数登場し、最終的には中途半端な形でのエンディングを迎える。
それだけならまだしもストーリー自体が雑であり、よくわからない内に仲間が増えたり、今まで行けなかった場所に突如行けるようになったりする。
実はこれらは原作を熟知していれば、飛ばされた空白の物語を補完でき、話の辻褄が合うらしい。
あくまで原作を知り尽くしているのが前提とされており、原作を良く知らない者にはまったく意味の解らないストーリーとなっている。
これぞバンダイのキャラゲー!
当時のファミコンでのキャラゲーと言えば「バンダイ」だったのだが、この頃は人気漫画を題材にしたゲームソフトは内容如何に拘わらず子供たちに人気でヒットしていた時代だった。
「バンダイ」は多くのキャラゲーを手掛けていたが、高確率でクソゲーな事が多くバンダイのキャラゲーと言えば地雷とされていた(それでも売れる)
勿論中には良作もあったが、たくさんの大物クソゲーの中に埋もれ、一緒くたにされてしまっているのは残念である。
しかし『聖闘士星矢 黄金伝説』は紛れもなく「バンダイ」のキャラゲーと言えるタイトルであり、大好きな「聖闘士星矢」のゲームを楽しみにしていたファミっ子たちに絶望を撒き散らした(笑)。
余談であるが「バンダイ」は翌年の1988年に『聖闘士星矢 黄金伝説完結編』として本作では中途半端だった十二宮での死闘を全て再現している続編を発売した。
こちらも紛れもない「バンダイ」のキャラゲーであり、プレイヤーからの感想は辛辣なものが多かった(笑)。
筆者と聖闘士星矢 黄金伝説
ちなみに筆者は『聖闘士星矢』は肌に合わなくて、ジャンプでも読み飛ばしていた。
しかし友達の間では大人気だったので、流されて友達と一緒に購入してしまった。
小学生にとって5,500円は大金であり、購入して数日でとても後悔したことを今でも憶えている(笑)。
序盤から面白いと思えず、かと言って昭和の小学生がファミコンソフトを何本も買って貰えるわけもないので、仕方がなくこのソフトをプレイし続けた。
しかし物語の中盤に訪れる「富士の風穴」という、常識を逸脱した複雑な迷宮は意地悪なトラップのオンパレードの地獄エリアで苦戦。
この「ロンダルギアの洞窟」並みに難解なダンジョンをどうしても突破できず、購入してから1週間ほどでプレイしなくなってしまった。
なけなしの生活費から我が子の喜ぶ顔を見たくて買ってくれた母親が、「この前買ってあげたゲームで遊ばないの?」と聞いてくるたび「面白過ぎて、もうクリアしちゃった!」と幼心に気を使って嘘をついたことはちょっと切ない思い出だ(笑)。
その数か月後、「とうきょうとたいとうくこまがたばんだいのがんぐだいさんぶのほし」というはもはや昭和のファミっ子にはおなじみの最強パスワードを使ってクリアしたが、全てのボスキャラをほぼワンパンで倒していけるチートステータスのためクリアの感動は全くなかった(笑)。
最後に
なんだかんだ辛口なレビューになってしまったが、あくまで筆者が『聖闘士星矢』自体を読んでいなかったことが大きく作用してる部分もあるのでファンの方には許して欲しい。
きっと『聖闘士星矢』ファンがプレイしたならば、もう少し楽しめるとは思う。
あの頃は哀しい出来事であった本作とのエピソードも、30年以上経った今では懐かしい思い出として笑って語れるので、クソゲーとの出逢いもあながち悪い事ばかりではないものなんだな、と苦笑しながら本記事を書き終える。
今回は『聖闘士星矢 黄金伝説』の紹介でした。
あわせて読みたい