『御神楽少女探偵団』は1998年9月17日にPS用ソフトとしてヒューマンより発売されたテキスト形式のアドベンチャーゲームである。
ストーリー半ばで終了となるが、翌年の1999年10月07日に続・御神楽少女探偵団~完結編~が発売され完結する。
大正ロマンあふれる時代設定が魅力的なアドベンチャーゲームであり、全体を通して大正時代の良い雰囲気が漂っている。
『御神楽少女探偵団』とは
『御神楽少女探偵団』は大正後期から昭和初期の東京を舞台に起こる怪事件の解決を目的とした推理アドベンチャーゲームである。
「帝都一の名探偵」と言われた御神楽時人。
その助手である鹿瀬巴・久御山滋乃・桧垣千鶴の「御神楽少女探偵団」と呼ばれている3人の少女が主人公である。
彼女たちと御神楽時人の世話人・蘭丸が次々と起こる難事件を解決していく。
「御神楽」「続・御神楽」共に各6話構成であり全12話で完結となる。
どれも怪奇ミステリーとして完成されたシナリオ・キャラ設定であり、この手の作品が好きなファンの間ではかなり人気のあったタイトルである。
脚本・監督・ゲームデザインは『クロックタワー』(ヒューマン:1995年)のゲームデザイン・ディレクターを手掛けた河野一二三。
登場人物
御神楽時人
御神楽探偵事務所の所長。30歳。
「帝都一の名探偵」と異名を持つ男だが、着ている服の蝶ネクタイが曲がっていても気にしないほど生活には無頓着である。
一度事件が起こると天才的な推理力を発揮し、数々の難事件を解決に導く。
鹿瀬巴
御神楽探偵事務所で助手として働く三人娘のひとり。
真ん中のリボンの娘。御神楽探偵事務所の所員。17歳。長野県出身。
カフェー「山茶花」で女給として働いている時に客の事件を追いかけて御神楽時人と知り合い、そのすぐあとに助手となる。
その性格は明朗快活で、3人の少女の中では一番の行動派。
桧垣千鶴
御神楽探偵事務所で助手として働く三人娘のひとり。
左のメガネの娘。御神楽探偵事務所の所員。17歳。神奈川県出身。
助手の中では最古参だが、彼女が助手となった経緯は不明。
日本画家の広川千景の弟子。
小説家としての才能もあり、新聞の懸賞に入選した事もある。
久御山滋乃
御神楽探偵事務所で助手として働く三人娘のひとり。
右の気の強そうな娘。御神楽探偵事務所の所員。18歳。東京都出身。
新聞で時人の活躍を知り、半ば押しかけ同然の形で助手となる。
華族の令嬢と言う事もあってそちらの方の情報網は広い。
大藤流柔術の使い手でもあり、背負い投げで相手を倒す事もある。
蘭丸
御神楽探偵事務所の所員。12歳。
元々孤児であったが、時人に拾われ、時人の事務所に住み込みで身の回りの世話をしている。
中性的な顔立ちの美少年で、女装して潜入捜査を行う事もある。
ゲームシステム
システムは各章毎に「事件編」「捜査編」「解決編」という構成となっている。
事件編
事件編は殺人事件が発生してアニメーションムービーを挟みながら物語の展開を視聴するパート。
プレイヤーが操作する部分は無く、ゲームオーバーも存在しない。
アニメを鑑賞する気分で楽しもう。
操作編
捜査編は、実際の捜査を行い、推理の材料を全て集めるところまでを描く本作のメイン部分といえるパート。
現場をくまなく捜査して証拠を発見する。
そして聞き込みによって関係者の証言の矛盾点などを押さえてゆくのが目的。
関係者に聞き込みを行い、関係者の発言の中に“事件解決のヒント”となる情報があると推測したら“推理トリガー”を発動させる。
推理トリガーを発動すると、その発言に対して言及・追及することが可能となり深掘りすることにより新たな情報を得ることが可能となる。
推理トリガーの入力により事件の全貌に近づくたびに“推理ポイント”という値が増える。
この推理ポイントが一定値を超えることにより操作編パートはクリアとなり、解決編へと展開は進む。
しかしこの推理トリガーには使用回数制限がある。
見当違いな発言に対して推理トリガーを使用しても推理ポイントは増えない。
推理ポイントをクリア値まで増やす前に推理トリガーの残回数が0回になるとゲームオーバーとなってしまう。
解決編
捜査編で集めた情報を基に、御神楽時人の推理によって事件の真相が解き明かされるパート。
各話毎のシナリオの完結編部分となっている。
「御神楽少女探偵団」では事件編と同様にほぼオートデモであったが「続・御神楽少女探偵団」ではプレイヤーも推理に参加することになる。
シナリオ進行の途中でいくつかプレイヤーは選択肢の中から正解を選んでゆく。
正解は捜査編での情報を総合して考察をすることにより導き出せるようになっている。
この時、選択を誤っても特にゲームオーバーになるようなことはない。
しかしシナリオ終了後のプレイヤーの探偵適正の評値が減点されてしまう(笑)。
最後に
不気味な殺事件の謎に挑む3人の美少女。
奇妙な伝承を元にした連続殺人やしっかりと作り込まれたトリックはミステリー好きには堪らないだろう。
この雰囲気には既視感があると感じていたが、インタビューで開発陣は江戸川乱歩作品をお手本にしたと語っているのを目にして「なるほど。」と納得した。
本作を製作したヒューマンは1999年に破産している。
ファミコン時代から個性豊かなタイトルをたくさん発売しているメーカーで個人的にはとても好きだったので残念でならない。
しかし版権問題はクリアしているため現在はPSアーカイブにて購入可能となっている。
筆者も懐かしく思い購入して15年ぶりにプレイしたが、今プレイしてもゲーム自体の雰囲気や登場人物の魅力は素晴らしく楽しんでクリアまで遊ぶことができた。
ただし、あくまで筆者は思い出補正が掛かって楽しめたというのが正しいだろう。
古いゲームのため操作方法などが洗練されてなく、やはりグラフィックは現在のゲームと比べると荒いことは否めないので、次世代期に慣れた若いゲーマーには受け入れられないかもしれない。
しかしアドベンチャーゲームとしてはかなり良質なタイトルであることは間違いない。
現在の技術によりフルリメイクされれば、ミステリーファンを中心にもう一度人気に火がつくのではなかろうか?
そんな日が来ることを期待している。
今回は浪漫あふれる大正時代に巻き起こる、おぞましくも美しい殺人事件に少女探偵団が挑むADV『御神楽少女探偵団』の紹介でした。
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