『マルサの女』は1989年9月19日にカプコンからファミリーコンピュータ用ソフトとして発売されたアドベンチャーゲーム。
1987年に公開された伊丹十三監督作品の映画『マルサの女』を原作としている。
本作では映画の監督を務めた伊丹十三が監修を行なっている。
映画『マルサの女』とは
『マルサの女』は国税局査察部(通称マルサ)にに勤務するやり手の女性査察官「板倉亮子」と脱税者との戦いを、コミカルかつシニカルに描いた邦画である。
1987年(昭和62年)に公開され、脚本・監督を伊丹十三が務めた。
この年公開された邦画の配給収入ランキングで4位になった作品である。
その翌年の1998年には続編『マルサの女2』が公開されこちらも前作を超える大ヒットとなった。
ゲーム『マルサの女』
1989年にカプコンにより発売されたアドベンチャーゲームである。
プロデューサーに伊丹十三を起用し、原作の雰囲気を損なわない世界観を作るのに成功した。
パッケージは映画『マルサの女2』のポスターを使用している。
ストーリー
港町税務署のやり手調査員・板倉亮子。
ある日、彼女は職務である税務調査を行った際に「脱税マニュアル」なる指南書が出回っている事を突き止める。
同マニュアルによって脱税に手を染めた企業等を調査して回るものの強制捜査権のない税務署員の身に次第に限界を感じるようになる。
その後、国税局査察官(通称「マルサ」)に抜擢された亮子はその職権を行使し、脱税マニュアルの背後に潜む暴力団や巨大組織との戦いに身を投じていく。
ゲームの流れ
細かい設定に違いはあるが、基本的に映画のストーリーをなぞる形でゲームは展開していく。
ストーリーに分岐は無く完全一本道となっている。
映画との相違点として登場人物の名前が変更されていたり、権藤が障害者であるという設定が削除されているなどがある。
斜め見下ろし視点で描かれたマップを移動して調査先を訪れる。
目的を達成して税務署に戻り上司に報告。
そして次の目的地へ向かうという流れを繰り返しながらゲームを進めてゆく。
物語の節目ごとにパスワードが表示され、それを入力する事によりその場面からゲーム再開が可能となっている。
任意の場面でパスワードを取ることはできない。
専門用語が多用されている
脱税と戦う国税局査察官を描く作品なだけあって、世界観に沿ったキーワードが多分に使用されている。
脱税の疑惑がある相手からの聞き込みでは、「おどす(脅す)」「なだめる(宥める)」といった専用の会話コマンドが用意されている。
ゲーム内文章にも「しとふめいきん(使途不明金)」「ちゅうかいてすうりょう(仲介手数料)」「かしだおれきん(貸し倒れ金)」などのワードがバンバン出てくるが、ファミコンソフトは小学生ユーザーが中心のため、どこまでファミっ子たちが理解出来たかは微妙だ。
しかも全てひらがなで読みにくいことこの上ない(笑)。
原作視聴済みが前提
ゲーム内で細かい登場人物や組織についての説明が無いため、ある程度原作の知識が無いとストーリーを理解し辛い。
原作を視聴しているのが前提条件であり『マルサの女』の基本設定を理解してこそ楽しめる作りとなっている。
しかし原作を視聴済みであるならばADVとしての設計は親切であり、物語も原作に忠実な分だけ非常に面白くドラマティックな展開を見せるため良作とも言えるタイトルである。
筆者と『マルサの女』
本作が発売された時、筆者はまだ幼く「マルサ」どころか「税務署」とか「脱税」というものもよく理解しておらず、当然このゲームにも関心がありませんでした。
しかし本作をお父さんが購入したという友達がいたので、一度その子の家で遊ばせてもらったことがあります。
筆者も友達もゲームの中のテキストの半分も理解出来ず、すぐにプレイを辞めて『スーパーマリオ』や『ファミスタ』で遊んでました。
それから数年が経ち、高校生になった頃に金曜ロードショーで映画『マルサの女』をたまたま視聴したのですが、めちゃくちゃ面白くて甚く感動しました!
こんなに面白い映画のゲーム化ならきっとファミコン版『マルサの女』も良作だっただろうと、当時プレイした歳が早過ぎたことを悔やみました(笑)。
しかしその頃既に時代はSFCであり、ファミコン本体も既に壊れていたので、もう本作を遊ぶ夢は叶いませんでした。
映画原作のゲーム化作品という事もあり、著作権やCEROレーティングなど超えなければならない問題が多く、リメイクやバーチャルコンソールでの配信などは望みが薄いでしょう。
大人になり「使途不明金」も「脱税」も知り尽くした今こそ、まさにプレイしたいゲームなだけに残念です(笑)。
今回は国税局査察官になり悪党どもの脱税を暴くADV『マルサの女』の紹介でした!
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